今年の邦画では最大の話題になりそうな映画「シン・ゴジラ」は、日本人なら誰もが知っている「ゴジラ」の映画シリーズ第29作にあたる作品。前評判をはるかに凌ぐ人気で大ヒットを記録した。

前作の「ゴジラ FINAL WARS」以来、「シン・ゴジラ」は実に12年ぶりに日本で製作された作品となる。現在にいたるまで多くのバージョンが発表されているこのゴジラ作品シリーズだが、1990年代にも絶えず固定ファンを生みながら観客動員数を記録していることは、意外と知られていないかもしれない。

過去の「ゴジラ」シリーズ


「シン・ゴジラ」よりも四半世紀前になるが、1989年(平成元年)公開の17作目「ゴジラvsビオランテ」から1999年(平成11年)公開の第28作目「ゴジラ FINAL WARS」まで、映画シリーズはほぼ毎年のように東宝によって製作・公開され、いずれもヒットした。

「ゴジラ」作品の物語のテーマには、その時代の社会的背景や社会問題が反映されている。最新作の「シン・ゴジラ」も同様だ。
平成に入ってからの「ゴジラ」シリーズでは、登場する怪獣もキングギドラやモスラ、メカゴジラなどシリーズ初期から人気のあったキャラクターに加え、スペースゴジラやデストロイアなどの新しい怪獣も登場。様々な怪獣同士の対決の試みがなされている。


長澤まさみも…「ゴジラ」に出演したヒロインたち


出演しているヒロインに注目してみると、そのキャスティングの意外さもうかがえる。
2003年の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」では、モスラに仕える小美人という妖精の役で、東宝シンデレラ出身の長澤まさみも出演している。他にも歴代ヒロインとして新山千春や釈由美子、いまではベテラン実力派女優となった沢口靖子や小林聡美なども出演していた。

平成元年以降も全ての作品で興収10億円を超えたヒットシリーズとなっていた「ゴジラ」。そのため今年12年ぶりに製作された「シン・ゴジラ」への期待も各方面から大きかっただろうと感じるが、その予想をはるかに超える50億円を凌ぐ興行収入と観客動員は、まさしく圧倒的な存在の作品へ到達する勢い。
長い間日本人の中で受け継がれたゴジラシリーズという得体の知れない空想のシンボルは、更新されてゆく日本社会を映し出しながら”クラッシュ&ビルド”していくことで、今後も「進化」していくのかもしれない。

(空町餡子)

※イメージ画像はamazonより【映画パンフレット】 シン・ゴジラ SHIN GODZILLA 監督 庵野秀明 キャスト 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ