自分から親のことを考えて動く。親を赦す。それが大人だと私は思います」
「ひよっこ」史上、最強の名台詞。名台詞の収蔵庫の奥にしまって、数年に一度御開帳されるくらいのありがたさでございました。
みね子は、何も成さない、朝ドラ史上、平凡中の平凡ヒロインのように讃えられているが、こういうふうに物事を受け止めて、実行するほうが、どれだけ非凡で、難しいことか。
それが、みね子と同じ昭和21年生まれの、甘えん坊・由香によって、明確になった120回であった。
ぱるる、たまにしか出てこないが、とても重要な役だった。
脚本がうまいのは、めんどうくさい由香の葛藤の場面に、ヤスハルの弾き語り「この広い野原いっぱい」を挿入し、それを、たまたま省吾と鈴子が聞いて、和んでいることで、間接的に、由香と、省吾たちがつながっているように感じさせること。
ヤスハルは伝言係に相違ないが、とてもいい仕事をする伝言係だ。
大事なのは役割(肩書)ではなく、その仕事の内容なのだ。
おそろしい絵
夜、寝ていた愛子の部屋にやってきた富。漫画家たち(岡山天音、浅香航大)がいないと不安を漏らす。
部屋に入ってみると、ぎゃーーー!!!
この悲鳴に、帰ってきたみね子たちもびっくり。
富を戦慄させたのは、漫画家たちが描いた、富の絵だった。
「人間よ」と言わせてみたり、白石加代子を、そんなふうにおもしろとして描いて、いいのか不安になるが、圧倒的な超越者だから、いいのか。
白石加代子さまの、ピン!と張った表情筋は、これぞ、アンチエージング。ほんとうに鍛錬を感じさせて素敵だ。
そんなこんなで、楽しい劇伴(題名「茨城一番ごじゃっぺ伝説」)が21週の予告編に誘う。
「吹き荒れるミニスカートは、女たちの解放なのだ」と意気揚々と語るナレーション。
月時計会議は、女たちの解放の前哨戦だったのだ。
(木俣冬)
みね子はほんとにいいこと言うねえ。それにしてもヤスハルは音痴。素人っぽさを出すためにわざとはずしてるんだとしたら、うまい。
早苗さんが仕切ってくれたおかげで心の内をさらけ出す由香。誰かに聞いて欲しかったんだね。いきなり印象が変わって素直になったのは、不思議ですが…鈴子さん達との、わだかまりが解ける日も近そうです。
〝大事なのは役割(肩書)ではなく、その仕事の内容なのだ〟 私はこの言葉を年に1度見直したい。