そんな風に思ってしまうヤツは、ただのモテない男なのかも知れない。

(講談社プラチナコミックス)
ブサイクと美人の恋物語
今回の依頼人は、八百屋の店員・星野(宇野祥平)。閉店間際にネギだけを買っていく女性、七菜子(橋本マナミ)の素性を調べて欲しいとのこと。星野は、その七菜子に片思いしているという。
「別に職業差別するわけじゃないけど、高給美人OLと八百屋のブサイク店員じゃな」
これは、写真で七菜子の顔を見たグレ(森田剛)のセリフだ。五郎(瑛太)も同調し、この恋は実らないという前提で話を進める。たぶん、これを見た男性視聴者のほとんどが同じ意見だろう。これはさすがにムリだと。高嶺の花にもほどがあると。
五郎と蘭子(深田恭子)が調査をしてみると、七菜子がとんでもないビッチだということが判明する。毎日のように男を替え、高級なプレゼントをもらっては一夜を共にしていた。
しかし、それは不況に陥った実家のネギ農家に仕送りをするためだった。そして、男に疲れた七菜子は、実家に帰り仕事を手伝う決意をしていた。
あれ?星野をブサイクって言ってるの男だけ?
いやいや、確かに良い話だが、こんなことってあるのだろうか?美人OLがそう簡単に八百屋のブサイク店員に片思いするとは思えない。これだと、ラブロマンスと言うよりは、男の妄想を実現させたファンタジーのように思える。ちょっと設定がAVっぽい気もするし。
これが、星野が何度も何度も諦めずに告白をし続けて、その純情さに胸を打たれたというのならまだわかるが、ちょっと地元のネギを褒められただけで好きになってしまっている。どうも納得がいかない。
そう思い、最初から見直してみると、あることに気付く。それは星野をブサイク扱いして叶わない恋と決めつけているのは、五郎とグレだけ、つまり男だけなのだ。女性陣は、最初から星野をそれほど否定はしていなかった。
かほる(山口智子)「味のあるイイ顔してたけどね」
蘭子「どんな男性でも誘われたら嬉しいものですよね。お受けするかは別として」
立場の釣り合いだとか、見た目の釣り合いだとか、そんな事にこだわって行動しないのは男だけなのかも知れない。
そう考えると、この第7話をすんなり受け止める事が出来ない僕のような男は、女心がわからないモテない男なのかもしれない。悲しいことだが、「イケメンで金持ちがモテる男」という固定観念にとらわれているだけなのかもしれない。
ただ、原作の弘兼憲史先生も脚本・演出の大根仁監督も、どっちも男なので、やっぱり男の妄想を描いたファンタジーな気もしてしまう。
(沢野奈津夫)