アパレル店舗などで導入が始まっている最新型セルフレジ。コンビニでも昨年末から実証実験が行われ、本格導入が検討されている。
経済産業省の支援を受け、ローソンでセルフレジの実証実験を行ったパナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社の担当者にセルフレジについて聞いてみた。
カゴの中で重なっていても読み取りOKな理由
一般の利用者からすると、買い物かごに入れた商品をかざしただけでパッと機械が読み取り、商品の値段が画面に表示されるのは驚く。なぜこれほど簡単に読めるのか、そのしくみをセルフレジ「レジロボ」を開発した同社の担当者は次にように説明する。
「パナソニックの完全自動セルフレジ機『レジロボ』は、バーコードを使うタイプと電子タグ(RFID)を使うタイプの2種類があります。
バーコードタイプでは、スマートバスケットという買い物カゴに商品を入れる前に、お客様自身がカゴについているセンサーに対して、バーコードをスキャンするしくみです。スキャン後、カゴの中で商品やバーコードが重なっても問題ありません。
将来的に普及が見込まれる電子タグを使うタイプでは、商品に貼り付けられた電子タグの情報を、機械が電波を使って読み取ります。よって重なっていても瞬時にどの商品がいくつ入っているか識別できます」
カゴの中で商品がごっちゃになってもOKなのは、カゴに入れる前にスキャンする仕組みと、電波で読み取る仕組みによるものだった。
セルフレジの「ここがすごい」
他に、セルフレジの「ここがすごい」ところを教えてもらった。
「レジロボは商品を投入されたバスケットを専用レジに置くだけで、自動的に清算と袋詰めをします。まずはここがすごいところだと思います。レジで店員が商品のスキャン登録や袋詰めをする必要がないため、お客様は会計を素早く済ませることができますし、お店側にとっても店舗オペレーションの省力化につながります。
定型的な業務から開放されたスタッフが、新たなサービス展開などより付加価値の高い業務に向かっていただけると考えております」
セルフレジはその性能のすごさだけでなく、人手不足の一助となり、サービスの質を向上してくれるという点にも隠されているようだ。
セルフレジの今後の可能性
ところでセルフレジで懸念されるのは万引きだ。万引きを防止する機能はあるのかと尋ねたところ、「防犯上、詳細はお答えできませんが、いくつかの方法を組み合わせて防止する方法を検討しています」という答えが返ってきた。
また、パナソニックの担当者によると、電子タグについても次なる展望があるという。
「電子タグの特性を利用して、単にレジ業務の効率化だけでなく、物流工程との連携や売り場管理などを通して、コンビニの生産性向上に貢献していく予定です」
電子タグを用いると、その場で「何がいくつ売れた」などの情報が店舗や物流センターに伝達される。リアルタイムな在庫管理ができるようになり、過剰生産や大量廃棄を防ぐことができるのだそうだ。
2017年2月に実証実験を終え半年が過ぎた今、次なる展開が楽しみである。ぜひセルフレジのさらなるすごさを披露してほしい。
(石原亜香利)
取材協力
パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
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