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「自己肯定感」格差社会…ネットが社会の前進と劣化を同時に進めている

「自己肯定感」格差社会…ネットが社会の前進と劣化を同時に進めている

セクハラ告発の「#MeToo」のムーブメント。先週の記事でも書きましたが、ブロガーで作家のはあちゅうさんが口火を切ったことで日本でも俄かに盛り上がり、告発からしばらく経ってもネット上の話題は収まらず、数々の関連記事が出てきているようです。私のところにも取材が数件入り、セクハラ告発問題に対してメディアの注目が集まっていることを肌で感じています。


社会変革を促す世論をネットが作り出す


「#MeToo」のムーブメントがますます盛り上がることを期待していますが、ジェンダー・フェミニズム的な要素のある社会課題が、インターネット発でリアルな社会に波及して改善に向かうことはここ数年で目立つようになりました。2016年はその元年とも言えます。たとえば、匿名のブログ「保育園落ちた日本死ね」の拡散が、なかなか進まない待機児童対策にエンジンをかけさせたのは記憶に新しいところでしょう。

また、同年には人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」が取り上げたAV出演強要問題も、ネットで大きな注目を浴びて国会にも取り上げられました。まだ海外に比べると甘過ぎると思いますが、確実に日本のポルノ業界にもコンプライアンスの波が起こり始めています。

さらに、同年には元電通の高橋まつりさんの過労死問題も大きな話題となりました。とりわけ、高橋さんが上司から受けたパワハラ・セクハラをTwitterに如実に投稿していたことから人々の「怒りの共感」を呼び、インターネット上で電通の体質に対する激しい批判が起こりました。それ以降、まだごく一部ではあるものの、パワハラ・セクハラ対策を強化する企業が増えているように感じます。


2018年はどんなムーブメントが起きるのか


このようなインターネットを発端にした様々な動きが渦巻き始める中で、2017年はジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から受けたレイプ被害の件で立ち上がりました。なかなか取り上げないTVとは対照的に、インターネット上ではハッシュタグ「#Fighttogetherwithshiori」で伊藤さんを応援する人が多数現れて、今年を象徴する出来事だったように思います。

そして、「#MeToo」での告発に踏み切ったはあちゅうさんも、伊藤さんや高橋さんの流れを受けて、勇気づけられた面が非常に大きいと話しています。アメリカでは今年の言葉に「フェミニズム」が、今年の人には「告発した人々」が選ばれるほど、一大ムーブメントに発展していますが、遅れていた日本でもようやく賽は投げられたのではないでしょうか。

そして、おそらく2018年も1つか2つ、ジェンダー・フェミニズム的な要素のある社会課題がインターネットを発端に大きなムーブメントへと発展することでしょう。それが「#MeToo」の延長線上にあるのか、はたまた別の課題なのかは分かりませんが、これまで声を抑えられてきた人々の感情がインターネットというツールで爆発することは、今後も続いて行くのだと思います。


#MeTooは男性の良心に対する踏み絵である


生活の中でこれらのムーブメントが与える影響を感じられるという人はまだ少ないのかもしれないですが、このように社会に賛否の表明を突きつけるほど大きなうねりが起こることは、今後の人付き合いを考えると大変意味のあることです。とりわけ、今回の #MeToo や #HowIWillChange は、男性の良心に対する「踏み絵」となる役割が非常に大きいと思うのです。

つまり、男性はどちらを助けるのかが問われているのだと思います。セクハラや性暴力を許さないという態度を表明して被害者を助けるのか、それとも被害者叩きをしたり、被害を見て見ぬ振りをして加害者を助けるのか、そのアンサーを求められているのです。これによって私たちにとって「付き合うべき人は誰か」「関わってはいけない人は誰か」が非常にクリアになるのではないでしょうか。

これは個人だけではなく、組織や様々な業界に関しても言えることです。このような世の流れを受けて、「ジェンダー・フェミニズム的な要素のある社会課題を改善して行こう!」と取り組む組織と、アンテナも低く、改善意識も低く、ムーブメントが起こっても何も変わらない組織の二極化が進み、どんどん可視化され始めています。

子育て支援政策を充実させた茨城県神栖市に利根川の対岸である千葉県銚子市から若い女性が大量に移動していることは以前NHKでも報じられて大きな話題となりましたが、転職や引っ越しに対するハードルも低くなってきた今、改善の意識がある組織か否か、そのビジョンによって人々の大移動が起こる寸前に来ているのだと思います。


インターネットが生んだ権威主義の犬たち


これまでインターネットを発端にした様々な動きがとても良いことのように書いてきましたが、むしろインターネットがきっけかになって社会が悪化している側面も十分あると思います。自己肯定感が低いせいで権威主義にすがり、ひたすら誰かを叩き続けることに終始する人々がとても増えていると思うのです。

必要以上に自国民を賛美して他国を唾棄するレイシスト(人種差別主義者)はその典型例でしょう。トランプ大統領を支持する白人の労働階級が有名ですが、日本でもレイシズムに堕ちて行く人は近年急激に増えているように感じます。

彼らは権威主義のもとに弱者になってしまっているのに、その権威主義的な構造自体を無くそうとするのではなく、その怒りの矛先を自らの敵として叩きやすい者たちに向けてしまうのです。権威主義から脱却したフラットな社会を実現すると期待されていたインターネットが、今や権威主義をより強固にする手段として使われていることは、世界でも非常に問題となっているところです。

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