秀作「このときは想像もしていなかった。母が亡くなって以来の家族の危機が、間近に迫っていることを……」

2018年1月13日(土)よる10時から放送スタートのドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系列)。

主演は山田涼介(Hey!Sey!JUMP)。そして、山田の兄弟役として波瑠小澤征悦が出演する。脚本は、ドラマ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系列)や『世界一難しい恋』(日本テレビ系列)の金子茂樹だ。
「もみ消して冬」山田涼介の変顔の才能に見とれて呆れて今夜2話
波瑠が表紙の雑誌『anan (アンアン) 』2016/10/26号

第1話 あらすじ


エリート警察官・北沢秀作(山田涼介)は、天才外科医の兄・博文(小澤征悦)、敏腕弁護士の姉・知晶(波瑠)、そして私立中学校の学園長である父・泰蔵(中村梅雀)から、名家の末っ子としてさまざまなプレッシャーをかけられ育ってきた。エリート一家の彼らを、世間は「平成の華麗なる一族」と呼ぶ。
泰蔵は、生徒の母親に裸の写真を撮られ金銭を要求されていた。それを知った三兄弟は、父を助けるために奔走する。


いったい何百面相できるのか山田涼介


泰蔵「裸の写真を撮られた」
秀作「え?」
博文「え?」
知晶「裸って、どういうこと?」
泰蔵「寝ている間に、全裸の写真を撮られた」
秀作(嘘だろ? 嘘だろ、父さん。迂闊な行動にはあれほど注意しろと言ってきた父さんに限って、そんなことあるはずないよねっ!)

父の失態に驚いた秀作の顔がアップになる。
家族で食卓を囲んでいるだけなのに、まるで舞台の上にいるように、黒目にはいくつもの光が輝いている。
質の良いコーラルオレンジの口紅を薄く塗ったように色づく唇から、ほんの数ミリのぞく前歯。
触れた手がそのままするっと頬をかすめてしまいそうな、すべすべの肌。
産まれるときに、神様が持つ画力の全てを用いて描いてくれたとしか思えない形の眉。
顔がきれいすぎる。


知晶「相手の女性は誰なの」
泰蔵「生徒の母親だ」

あまりのショックに、ハッ! と両手で口を覆う秀作。
神に愛されし形を保っていたはずの眉は、原形をとどめないまでに歪んでいる。
目を見開きすぎて、まぶたが異常にくぼむ。
手で隠れて見えないが、口も大きく開いているのだろう。頬がこけ、いきなり静止画で見せられたら山田涼介かどうかわからないかもしれない。
なんなんだ。
なぜこんなに秀作の変顔に力を入れているんだ!

初回は10分拡大での放送だった。賞味約55分間のドラマの中、ほとんど変顔をしていたのではないかと感じるほど、秀作が顔で語りすぎていた。

秀作「そりゃね、僕だってできることなら力になってあげたいなと思うけど……」
知晶「へえ~、思うんだあ~?」
秀作「ええぇ……」

どこから声を出しているのか気になって、繰り返し再生してしまった秀作の「ええぇ……」。
唇から控えめに前歯だけがのぞいていたはずの美しい口元は、いびつな形に変わり上の歯も下の歯も丸見えになっている。
それだけで、こんなに間抜けな顔になってしまうのですね。

山田涼介の変顔の才能は、2017年12月公開の映画『鋼の錬金術師』(ワーナー・ブラザーズ映画)のエドワード・エルリック役でも発揮されていた。

漫画を実写化した作品である映画『鋼の錬金術師』。走っているときや戦いのときなど、山田は「それ、漫画で見たことある!」と思わせる動きを意識していた。特に走り方は、エドそのものだった。

そして山田は、漫画的な表現でも違和感がないよう、表情までも調整してきていた。

漫画的な表情は、ただ大げさに振る舞ったり顔を歪ませたりすれば成立するわけではない。
漫画では、1コマ1コマにキャラクターの一瞬の表情が切り取られ描かれている。
その表現に演技を合わせるには、表情の「決め」を作ることが大切。「決め」を作るとは、キャプチャを撮ったときに1枚でしっかりと絵になるシーンを作っているということだ。

録画したドラマを一時停止すると、まるでキャプチャを撮られることを待っているかのように、山田が演じる秀作の表情は“絵になる”。華麗なる一族の中で埋もれずに主役を張るためには、絵になる演技ができることも一つの武器だろう。
ただやみくもに大げさな顔や動きをしているだけではない。山田の演技の妙である。


末っ子成長物語


「もみ消して冬」山田涼介の変顔の才能に見とれて呆れて今夜2話
小澤征悦主演「TEAM ~警視庁特別犯罪捜査本部」 オリジナル・サウンドトラック

さて、ストーリー。
愛した女性・富士子(磯山さやか)に裸の写真を撮られた泰蔵は、写真1枚につき1,000万円を要求されていた。お金を出さなければ、マスコミにリークするという。恐喝未遂だ。
学校経営者が教え子の保護者に手を出したと世間に知れると、北沢家の名誉は地に落ちてしまう。それだけは避けたいと、博文、知晶は法律違反となるような解決策を提案する。

秀作「だって、二人がやれって言ってることは、全部犯罪だよ!」
知晶「あなたが一番大切にしていることは、家族より法律なの!?」
秀作「えっ……」
知晶「困っている家族がいたら、全力で助ける。お母さんが大切にしていた家族のルールよ」

たとえば、父親が車で連れ去られたとしても、法定速度を守って追いかけるのか?
父親が危険な目にあっているのに、車のエンジンをかける前に、車の下に猫や物はないか、タイヤの空気圧は問題ないか、座席の位置、シートベルトを締めての後方確認をしてから追いかけるのか?
知晶の問いに、秀作は「日本のみなさん聞いてください。姉は間違ったことを言っています。交通ルールは必ず守ってください!」と、心の中で叫ぶ。

博文にも知晶にも「言いたいことがあるならはっきり言え」と言われる秀作。出来が良くはっきりとものを言う兄と姉の下で、言いたいことを言わずに育ってきた。
そんな秀作が、家族と自分のため、自分で決めて危険を冒しに出向いていく。
『もみ消して冬』は、『世界一難しい恋』(各話レビュー)のような1人の男の成長とコミュニケーションの物語になっていくのかもしれない。

知晶「たとえ反社会的なことであっても、人としてこれは正しいという信念があれば、行動すべきよ。少なくとも私は、そう思うけどね」
秀作「姉さん1人でもそう思うなら、十分だよ」
知晶「私だけじゃないから」

知晶が亡くなった母親の写真を見やる。三兄弟の母親が亡くなった理由も気になるところだ。
第2話は、今夜10時から放送予定。次にピンチに陥る家族は、医者の出世争いをしている博文だ。秀作は、今度はどんなハードルを乗り越えるのか。変顔も楽しみにしています。

(むらたえりか)

日テレオンデマンドHuluにて配信中

ドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~
出演:山田涼介、波瑠、小澤征悦、中村梅雀、小瀧望(ジャニーズWEST)、恒松祐里、ほか
脚本:金子茂樹 
主題歌:Hey! Say! JUMP「マエヲムケ」(ジェイ・ストーム)
オープニングテーマ:もみ消して冬~24のカプリスfeat.高嶋ちさ子 (作曲ニコロ・パガニーニ)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
演出:中島悟
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ