30歳といえば、一つの節目。これからさらに飛躍していく時期だ。
海外で仕事をしたい三十路は約6割
東南アジアを専門に就職サポートを行う株式会社ファーストペンギンと三十路祭り 1987-1988 実行委員会が共同で行った「30歳のファーストペンギン実態調査」では、30歳の男女235名のうち、約6割もの人が海外で仕事をしてみたいと思っていることが分かった。
Q.今グローバルで活躍する日本人が必要とされています。一度、海外で仕事をしてみたいと思いますか?(N=235)
海外で仕事をするというと、外資系の企業の海外支社で働くといったイメージがあるが、海外移住して現地企業に就職するという方法もある。
しかし海外就職は採用のハードルが高そうな上に、言葉や文化の壁によりコミュニケーションへの不安も大きい。実際のところ、海外就職は失敗してしまうケースもあるようだ。
東南アジア就職のよくある失敗パターン
海外就職にはどんな失敗があるのか。ファーストペンギンの海外就職支援サービス担当・山田茂子さんは、現場でよくある東南アジア就職の失敗パターンを教えてくれた。
1.現地の人がイメージと違う! コミュニケーションに苦労…
「日本では、東南アジアの方は『大らかで優しい』というイメージがありますが、実際に働いた日本人の方からは『ルーズな割に頑固でプライドが高い性格面に苦労した』『日本以上に噂が回るのが早くて、言動ひとつひとつにすごく気を遣う』などの声をよく耳にします。このように現地の方の基本的な性格を、もっと日本で調べてから行けばよかったと後悔するパターンは多いです。
ちなみに東南アジアの方と恋愛をした人からは、『束縛が激しすぎる。
2.ノルマが日本よりシビアできつい…
「東南アジアの会社では、日本の会社より評価がシビアという声もよく聞きます。例えば営業については日本よりもノルマに忠実であるため、達成しないと解雇される可能性があるのです」
3.高額の医療費がかかってしまった
「金銭面で言えば、病気になることをまったく視野に入れておらず、高額の医療費に驚いたというパターンは多いです。貯金なしで移住してしまうと大変なことになります。
給与・待遇面の失敗は少ないようです。海外就職は、日本企業から派遣される海外駐在員と比べて給与や待遇に差があり、嫌気がさすといわれていますが、実際のところそのあたりは覚悟の上で行っているので意外と失敗には感じないようです」
4.安心して通える病院がない
「医療についての問題です。例えばインドネシアでは日本人にとって安心できる病院がないといっても過言ではありません。大きな病気になったら現地で手術などを受けるのが好ましくないと感じるため、日本へ戻る渡航費だけでも費用がかかってしまいます」
海外就職の失敗を防ぐには?
こうした海外就職の失敗を防ぐにはどうすればいいか。山田さんは次のように話す。
「良いところだけではなく、悪いところもしっかり棚卸ししてから移住を決める必要があります。どの仕事も仕事そのものは日本でも経験することができます。それをあえて、なぜ海外でないといけないのかをしっかり考えてから移住することが大切です。また、一度も行かずに国を選ぶ人も多いですが、移住する前に必ず一度はその国に行ってみる必要があります。
また日本で就職・転職活動に失敗したことを理由に海外に飛び出すという考え方がある。これについてはどうだろうか。
「特にアジアに関しては『チャレンジ』する場所です。失敗したから海外に逃げる、飛び出すという考え方が通用するほど甘くないと感じています。楽をしたいから、のんびりしたいからという気持ちで移住を考える場合は要注意かもしれません。むしろ日本のほうが楽なのではと感じます」
取材協力
株式会社ファーストペンギン 人材事業課 山田茂子さん
2017年6月から「海外就職支援サービス」に従事。前職では航空会社に勤務し、日々外国人対応をする中、海外と日本のギャップに気づく。また海外で働きたくてもなかなか上手くいかない人々に出会う中、サポートしたい思いにかられ、現職に就く。
海外就職支援「ココカラット」
(石原亜香利)