弟のためを思っていたはずが、知らぬ間に弟を傷つけていたかつての自分。すれ違いの原因は、裁判官として培った経験だった。

第6話あらすじ
「大酉寿司」で働く弟・雄太(佐藤勝利)の様子をこっそり見に行く舞子。外では、刑事2人が店内を見張っている。
同店の大将・新井英之(竜雷太)が、舞子に会いに斑目法律事務所を訪ねた。不動産屋・平田(三又又三)の殺害容疑で、新井は警察から疑われているのだ。
深山大翔(松本潤)と舞子は、煙草屋店主・飯田(ダンカン)から、事件当日、犯行現場に出入りした人間は新井と20歳くらいの若者の2人だけだと聞き出す。
深山らが事務所に戻ると、舞子の弟・雄太(佐藤勝利)が平田殺害の容疑者として逮捕されたというニュースが……。さらに、雄太は2年前に窃盗事件で有罪判決を受けていたことが判明する。
雄太に接見する深山と舞子は、申し出た。
深山 あなたの弁護人に選任していただけますか?
舞子 本当にあなたがやったの?
雄太 ……その人(舞子)は外してもらえますか。その人外してくれたら、あなたにお願いします。
雄太は深山に今回の事件への関与を、そして2年前の事件の犯行を否定した。
調書を鵜呑みにした裁判官時代の舞子
舞子と雄太の間にはわだかまりがある。きっかけは、2年前の窃盗事件。かつての舞子は「法廷での証拠」を最重要視する裁判官だった。肉親だからと肩入れせず、調書を頼りに弟の犯行を確信した舞子は、裁判を示談で収束させようとした。
「証拠が全て揃っていたので、雄太の犯行で間違いないと判断しました。だとすれば、被害に遭われた糸村社長にいち早くお詫びをすることが……雄太のためだと思ったので」(舞子)
裁判官としての経験が裏目に出た。「早めに謝罪した方が有利になる」と考えた姉の温情が、逆に弟を追い詰めたのだ。
深山 君は本人が否認してたのに、勝手に示談にしたんだよね?
舞子 雄太は最終的に犯行を認めたんです。
深山 じゃなくて、君はこの事件をちゃんと調べたの?
舞子 ……私は雄太を助けたんですよ?
深山 まさか事実を調べず、調書を鵜呑みにして雄太さんが犯人だと断定したんじゃないの?
舞子 ……
有罪判決を受けてもなお父の冤罪を信じて疑わなかった深山と“かつての”舞子は対照的だ。
雄太を一番信じてなかった、かつての舞子
雄太の友人だった坂本卓(古舘佑太郎)は窃盗を働き、裁判官の舞子から懲役3年を宣告された。坂本の仲間の大西(金子大地)は、雄太を通じ舞子に坂本の減刑を要求したが、雄太は応じなかった。2年前の窃盗事件は、大西がその仕返しとして仕組んだものであった。
舞子 なんで話してくれなかったの? 先に話してくれれば、他に対処のしようもあったのに
雄太 真っ先に示談するって言ったのは姉ちゃんじゃないか。
舞子 あの時は、被害に遭われた糸村社長にいち早くお詫びをすることがあなたのためだと思ったの。それに、弁償して反省の意を示せばあなたの罪を軽くできると……
雄太 (遮って)俺のこと信じてなかったってことだろ! 俺は、それが一番辛かったんだよ……。
“過去の自分”と向き合わざるを得ない舞子。それは償いであり、痛みを伴う作業でもある。
2年前の事件を再検証した深山らは、真相にたどり着く。窃盗事件は粉飾決算をごまかすために「沙々寿司」店主の糸村信彦(横田栄司)が、今回の殺人事件は新井が雄太に罪をなすりつけようと仕組んだものであった。
佐田 尾崎の弟さんに罪を着せようとしたのに、なぜ、わざわざウチに依頼に来られたんですか?
新井 あんた(舞子)巻き込みゃ、うまく行くと思ったんだよ! 弟を一番信じてないのは、あんただからな!
ショッキングな一言だが、判決を下すのに私情を挟まないのは裁判官の使命。「法廷での証拠」のみで判断するからこそ、舞子は雄太を信じ切らなかった。冷静な判断を律しているつもりが、逆にその姿勢が色眼鏡の効果になっていたのは皮肉だ。
殺人事件の無実が明らかになった雄太に、舞子は頭を下げる。
舞子 私が雄太のことを信じてたら、こんな辛い思いをさせなくて良かったのにね。本当に、ごめんなさい!
深山 「裁判官は弁明せず」じゃなかったの?
舞子 私、裁判官じゃなくて弁護士ですから。
これまで、雄太が逮捕されるシーンは所々でインサートされており、舞子が裁判官を辞めた理由に深く関わっていることは明らかだった。この“過去”を清算し、改めて弁護士として歩み始めた彼女。
『99.9』のSEASONIIのテーマは、「弁護士」と「裁判官」の攻防だ。元裁判官の舞子が、ようやく本格的に“対・裁判官”の貴重な戦力として参戦することになる。こうなると、元上司である川上憲一郎(笑福亭鶴瓶)の存在が余計に際立って見えてくる。
今夜9時スタートの第7話は、佐田の大ピンチが予告されている。
(寺西ジャジューカ)
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