フードデリバリー事業を展開するスターフェスティバル(東京・渋谷)。全国各地の特産品や食材を活かしたお弁当の企画開発や販売なども手がけているこの会社にある日、青森県庁からこんな宿題が届いた。


Q.「青森の食材を使ったお弁当を作っていただきたい。できれば、青森のお米 『青天の霹靂』を使ってほしい」

食材の指定は特になく、アイディア出しから商品設計までの期限はわずか2週間。

ちなみに「青天の霹靂」とは、「2017年産のコメの食味ランキング」で、3年連続最高評価の「特A」を取得した青森を代表するお米なのだという。

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
適度な粘りがありながら、キレが良くさっぱりした味


そんな青森県庁から舞い込んだ、まさに「青天の霹靂」のこの宿題に、スターフェスティバルはこんな形で回答した。それが……花見の季節、咲いてる桜も思わず二度見する、豪華100種100マス、青森の名産品をふんだんにを詰め込んだ「青森史上最強」のご当地弁当!

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
すべて合わせて基本的には約10人前


「青天の霹靂」は、冷めても美味しく、適度な硬さがあるためどんなおかずにも合う、お弁当にうってつけのお米。ならばと、おかずの数を極限まで増やしたのだ。
それも100種類!!

ほかの花見客もうらやむ?ワンランク上の豪華弁当!


4センチ四方の小さなマスには、手間暇かけて作り上げた青森の郷土料理や特産品を中心とした料理が可愛らしく入っている。

もちろん「青天の霹靂」も、例えば、「いちご煮」(ウニとアワビのお吸い物)のダシで作った炊き込みご飯といった形で、きちんとマスに入っている。

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
一つひとつの段には、ある料理に桜の花びらが上に載せられており、それをすべて合わせると、桜の花弁が完成するという遊び心も。

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
風呂敷は、「青天の霹靂」のパッケージをモチーフにしてデザイン


ちなみにこのお弁当、どのお重も料理に偏りがないように、主食となるご飯のほか、肉や魚・卵といった主菜、さらには漬物といった副菜など各ジャンルが実にバランスよく入っている。さらには調理スタッフがマス目に手際よく料理を入れやすいよう、同じジャンルのメニューがどの重箱にもほぼ同じ場所に配置されている。まさに食べる人にも、作る人にもやさしい弁当なのだ!


チーム青森 涙の結晶!


このプロジェクトのために結集した会社のメンバーは約10人。開発だけではなく、営業、広報、WEB担当などが部署を越えて一堂に集まり、「100マス100種類」という基本コンセプトから、入れたい食材、重箱を包む風呂敷、重箱につける熨斗のデザインまで知恵を出し合い、話し合った。
 
ちなみに風呂敷はこんな感じ。


青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
風呂敷は、「青天の霹靂」のパッケージをモチーフにしてデザイン


開けると…

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
熨斗が添えられた重箱

 

青森の食文化の奥深さを知った2週間


そんなチームからの提案をもとに細かく料理を決めていったのは、管理栄養士歴約15年、野菜ソムリエの資格も持つ開発部の米倉淳子さん。

「東京出身だった私がまず始めたのが、青森県の特産品を知ることでした。青森県庁さんとも相談させていただいたのはもちろん、飯田橋にある青森県のアンテナショップ『あおもり北彩館東京店』と、新富町にある『青森特産品センター』にも何度か足を運んで調べたり、食材を送ってもらったり。店の方とはすっかり顔なじみになりました(笑)」
 
まずは1週間で100マスの料理と配置を決定。とは言っても、そもそも何を組み合わせればいいのか。正解のない宿題に、会社に一人残りながらひとマスひとマス埋めていったという。

「津軽・深浦町の名産で、肉厚のワカメを麺状にした『ツルツルわかめ』という料理がありました。
ヘルシーなので是非入れようと思ったのですが、やはり麺ということもあり、お弁当に入れるのは断念しました。また葉物はどうしても傷みやすいため、どんな野菜を入れるかも悩みましたね」

この後1週間で彩りなどを考慮に入れながら微調整。こうして青森の食に向き合うこと2週間、ようやく商品設計が完成したという。

米倉さんのオススメは、北国の雪の下で甘くそして強く育った、「深浦の雪下にんじん」をドレッシングにして緑黄色野菜にかけた一品。それぞれのお重にひとつずつあり、野菜は「一の重」から順に、「菜の花」「おくら」「ブロッコリー」「いんげん」「ほうれん草」の5種類。

また、一つの食材を数種類の料理にも転化。
長いもはバター醤油焼き、浅漬け、冬の保存食「なんば味噌」など青森の特産品と組み合わせ、ベビーホタテも味噌漬け、フライ、バター醤油焼き、マリネとバリエーションを広げた。
 
こうして、チーム青森のメンバーの思いを受けて米倉さんが作り上げた、こだわりのお弁当が出来上がったのだ。

「うなされるくらい青森のこと考えていたと思います。でも改めて青森の食文化の奥深さを知りました」(米倉さん)

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
ちなみに上の「五の重」は左上から、・ほうれん草 ふかうら人参ドレッシング ・赤かぶ十枚漬け ・若生昆布巻き 桜色ご飯 枝豆 ・揚げ長芋 うまダシ絡め ・ひじき煮


お弁当史上最長!?の名前


通称「100種類100マス青森弁当」と呼ばれるこの弁当。だが、実はこれ、別に正式名称がある。

弁当の正しい名前は……「あんた、ちゃんど飯(まま)食ってらが? 今日は、あんたが好きだ青天の霹靂、ほだで、りんごだの 青森のめーものばし使って、おかず100も、 一晩(はげ)寝ねでずっぱどこさえだはんで、 あんたのけやぐだぢど、みんなして食べへ。
そういえば、わもインスタグラム始めだはんで、見でけなぁ。 こっづも、わんつがずづぬげぐなってきたじゃ。 いづでも青森さ帰ってこいへ。へばな」弁当、なのだ!これで1つの弁当の名前なのである。 

名前を聞いた感じ、手紙のようになっているが、これはまさしく、故郷・青森の母親が、都会に出て行った我が子に宛てたメッセージというイメージなのだそう。

青森食材「100種100マス」に詰め込んだ豪華弁当の超長い正式名称
適度な粘りがありながら、キレが良くさっぱりした味


もちろんこの時期は花見だけではなく、新年度のタイミングでもある。
新入生の歓迎会や懇親会で是非使ってみてほしい。

注文受付期間は3月20日~4月2日。詳しくは「ごちクル」まで。弁当の名前にもなっている母からの言葉を、青森県庁の女性職員が読み上げた音声メッセージや、標準語では何と言っているかもこちらで確認できる。