「大丈夫だ問題ない、俺が助けるから。そのあと、俺が殺す」。

佐伯教授(内野聖陽)の容体が急変して混乱する医局。それでも渡海(二宮和也)は至って冷静。「いまはまだ生かしてもらわないと困るんだよ」。心配しているのかと思いきや「佐伯を殺す」。医者が“殺す”とは……どういう意味か。
「ブラックペアン」9話ラスト、渡海はなんと言っていたのか、推理しながら今夜最終回待機
イラスト/まつもとりえこ

世良が土下座


佐伯教授を助けようと団結力をみせた医局。中でも世良(竹内涼真)が大活躍だった。

前例のないオペに戸惑う世良に、渡海は「あるかどうか聞きにいけよ。症例やら論文やら、日本一扱っているところに」とアドバイス。日本外科ジャーナルの池永編集長(加藤浩次)を訪ねた。

「お前はバカだろ?バカはバカなりに『じゃあどうすればいいですか?』って」
「言いたいこと言ってこい。ただ、バカなやつだと怒られて帰ってこい」
渡海の指示に従ったら、予想どおり編集長から「君はバカか!」と怒鳴られた。

呆れた様子の編集長に、「偉い人にインパクトファクターをあげて出世させるという、そういうお仕事にしか見えなくて…」。
言葉を選ばない様子にハラハラしたけど、ここから体当たりした世良がかっこよかった。
「東城大では佐伯教授の命は教授のオペを待つ何千人という患者さんの命でもありますから。僕なんてなんの役にも立たないと思いますけど、それでも諦められないんです。目の前にある命を諦められないんです、だからそのためにできることを全部したいんです。僕も医者でありたいんです」。
目を真っ赤にして泣きながら、額を床につけて土下座した世良。

不器用だけど、命のために土下座もできるまっすぐな性格。これで腕を磨いたらきっといい医者になる。

渡海はこれまで技術のない医者を非難してきたけど、世良には一億円を条件に俺の下で働けと告げた。世良がここまでやれることを見越していたのか、自分では選ばなそうな方法を伝えて、結果につなげた。渡海には人を見抜く力がある。

医者が“殺す”


術後、目を覚ました佐伯教授が、「やるべきことがある」といっていたのは、置き忘れたペアンを取り除くことか。
(ペアンが体内に残ったまま生活できるのか?)
渡海が探している飯沼達次は、極秘で東城大に転院してきた。花房(葵わかな)は藤原婦長(神野三鈴)から秘密厳守と釘を刺された上でケアを任された。
重い十字架を背負わされたようでなんだか酷だ。

9話の最後、佐伯教授と渡海が二人きりになった。
「ブラックペアンを使えるのは世界で一人だけだ。今のお前に譲るわけにはいかない」。
何かを察したのか、渡海が聞いてもいないことを喋りだした佐伯教授。渡海は「なら、奪い取るまでだ。ちなみに……」。
この先は、口は動いていたものの音がなくて聞こえなかった。
右の口角を上げて挑戦的な表情で話す渡海に対して、しだいに表情がかたくなっていった佐伯教授。命を助ける医者が指す“殺す”とは、医師生命を絶つという意味か。

「ちなみに……」のあとに続く言葉を予想してみたが、予告では渡海が「親父の全てを奪ったこのペアンでお前が全て失うんだよ」と怒鳴っていたこと、「これまで「おまえの退職金1000万で揉み消してやるよ」が口癖だったので、佐伯教授には「命と引き換えに、揉み消してやるよ」くらいのことは言いそう。

以前、二宮が最終回に向けてある提案をしようと思っているとラジオで言っていたので、原作とは異なる展開もありそうだ。
「ブラックペアン」10話は今夜9時から。
(柚月裕実)

【配信サイト】
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日曜劇場ブラックペアン(TBS系列)
原作:海堂 尊「新装版 ブラックペアン1988」(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎
音楽:木村秀彬
主題歌:小田和正「この道を」(アリオラジャパン)

医療監修:
下川智樹(帝京大学医学部附属病院)
山岸俊介(イムス東京葛飾総合病院)
須田康一(慶応義塾大学病院)

取材協力:吉田成彦(イムス東京葛飾総合病院)
医療用ロボット監修:渡邊 剛(ニューハート・ワタナベ国際病院)

プロデューサー:
伊與田英徳
川嶋龍太郎
峠田 浩

演出:
福澤克雄
田中健太
渡瀬暁彦

制作・著作:TBS