『BANANA FISH』(→公式サイト)の「第三話 河を渡って木立の中へ」が、今日7月19日(木)25:05より、フジテレビ”ノイタミナ”ほかにて放送である。Amazon Prime Videoで毎話フジテレビ放送開始1時間後より配信予定だ。
「第二話 異国にて」もハイテンポで展開してドキドキであった。
第二話で、原作フラワーコミックスの2巻77ページぐらいまでが描かれた。
基本的に原作に忠実。
アッシュと英ニを中心に描いて、それ以外のシーンを絶妙な工夫で若干省略、ぐいぐいと物語を推し進める。
セリフも随所で端折っているが、尺を考えると適切かつ巧妙に行っているので自然だ。
原作厨が「あのセリフを削るとは許せん」的な部分は少ない(よね?)。
特にアッシュと英ニのセリフはしっかり残す方針のようである。
なのだが、なぜか第二話では、あのセリフがなかった。
コミックス1巻で、印象に残るセリフベスト3に必ずランクインするであろう、あのセリフが。
アッシュがマービンをぶっ倒して、スキップと英ニを引き連れて逃亡する。
迷路のような道を走るが、行き止まり。しかも後ろからは追手がやってくる。
ってところで、英ニが水道管を使って、壁を飛び越えようとする。
「どーせ死ぬんならなんだってやってやらあ!!」
いつになく英ニがド根性的なセリフを吐いて、
原作ではさらに以下のような対話が続く。
スキップ「そーいうの“カゼカミ”って言うんだろ?」
英ニ「“カミカゼ”だよ!」
このスキップと英ニのセリフはカットされた。
そして、飛ぶ英ニ。
原作厨(でごめん)は、「ああ、なんで英ニの飛ぶポーズが反転してんの?」と細かいところが気になってしまうが、そんなことはどうでもいいぐらいのカッコいいシーンである。
アニメ版では、飛んでいる英ニが映っているアッシュの瞳がアップで描かれ、英ニに対するアッシュの想いが強調されてグッときた。
飛び越えた英ニ、「ちっくしょお……待ってろよ」。
アニメ版だと、この後、走る英ニの後ろ姿でセリフなしなのだが、原作漫画では、正面向きでがっつり集中線を背負った疾走する英ニが「大和魂見せちゃうぜぇっ!!」と叫ぶのだ。
けっこうな決めゴマで、あの大人しい英ニが「大和魂見せちゃうぜぇっ!!」って叫んでて、異国の地でとんでもないことに合ってドーパミン出まくってる感がめちゃくちゃカッコいいシーンなのだが、なぜか、なぜか、カットされてるのだ。
アニメ版は、全体的にオシャレ風にアレンジされているので、カミカゼ→大和魂という流れは、セリフとして野暮ったいと考えたのだろうか。それとも、特攻や愛国を連想してしまう炎上しがちなワードだからだろうか。
いや、でも、だが、しかしなー「大和魂見せちゃうぜぇっ!!」のコマは、ここにもってくるために他があるんだってぐらいに決め決めのコマだったから、これを消すっていうのは残念で遺憾で口惜しい。
とかなんとかいいながら、夢中になって見ている。
もう一度原作漫画を読み、あああ、ここが違う、ここが削られてると嘆くのすら楽しい。
『BANANA FISH』の前日譚「Fly boy,in the sky」(傑作!)を読み直し(『PRIVATE OPINION』収録)て、エイちゃんは、飛ぶ姿で、アッシュをメロメロにしただけでなく、伊部さんもメロメロにしたんだよなーと感慨にふけりつつ猛暑をしのいでいます。
第三話、盛り上がること必至、楽しみです。
(米光一成)

アニメ『BANANA FISH』(→公式サイト)
フジテレビ”ノイタミナ”
Amazon Prime Video
原作:吉田秋生
監督:内海紘子
シリーズ構成: 瀬古浩司
キャラクターデザイン:林明美
音楽:大沢伸一
オープニングテーマ「found & lost」Survive Said The Prophet
エンディングテーマ「Prayer X」King Gnu
CV
アッシュ・リンクス 内田雄馬
奥村英二 野島健児
マックス・ロボ 平田広明
伊部俊一 川田紳司
ディノ・F・ゴルツィネ 石塚運昇
ショーター・ウォン 古川慎
フレデリック・オーサー 細谷佳正