夏美「医者が悲しんだところで、美結ちゃんは帰ってこない。
7月26日(木)放送の木曜劇場『グッド・ドクター』(フジテレビ系)3話。
絞扼性イレウス(腸閉塞)を発症した女の子・市川美結(竹野谷咲)が、病院をたらいまわしにされたのち東郷記念病院に搬送されてきた。高山(藤木直人)が謹慎中のため、夏美(上野樹里)が美結の手術を担当することに。最善を尽くしたが、発症から4時間以上経過して重篤な容態になっていた美結は、手術中に亡くなってしまった。

こどもの救急搬送の現実は? たらいまわしの恐怖
夏美「私は、ご両親から美結ちゃんを奪った。ごめん、あなたにもつらい思いをさせて」
初めての執刀で患者の命を救うことができなかった夏美は、気丈に振る舞うものの責任と後悔に押しつぶされそうになっていた。天国にいる美結を思い、亡くなった美結のために何かしてあげたいと思う湊(山崎賢人)に、夏美は詫びる。
しかし、夏美の執刀にミスがあったわけではない。こどもの患者を受け入れてくれる病院がなかなか見つからず、範囲を広げてようやく対応できたのが東郷記念病院の小児外科だったのだ。病院を探している間に美結の症状は悪化しており、本当は手術が始まった時点でどうすることもできなかった。
自分の娘がたらいまわしに遭っている状況を目の当たりにしていた両親は、怒りややるせなさを夏美にぶつけてしまう。「それでも医者か」「お前が死なせた」という言葉を、夏美は受け入れることしかできない。
総務省消防庁の統計では、消防への通報から救急車で患者が病院に運ばれるまでの搬送時間の平均は39.4分だそうだ(2015年/参考)。
日本に必要なのは自閉スペクトラムへの理解

原作となっている韓国の同名ドラマでは、数話にまたがって1人の患者と向き合う。1つの話の中で数人の患者たちが交流する場面もあり、それが患者や医師たちの成長や気づきに繋がっていくヒューマンドラマだ。
日本版では、未受診妊婦、未成年妊娠、たらいまわしなど、1話ごとにひとつずつ日本の小児科まわりの医療の問題をピックアップしている。湊が飛び込んだ小児外科の世界。そこで湊と一緒になって小児医療の問題に気づき、医療現場がどう在ってほしいかを考えることができるように再構成されている。社会派医療ドラマの側面も感じる。
韓国版が自閉症のパク・シオン(チュウォン)の人生を見守り応援する物語だとしたら、日本版は湊に共感していく物語なのかもしれない。
同じレジデントの中島(浅香航大)や丸井(松居大悟)らの湊への当たりのキツさは、だいぶ過剰に見える。でも、それも日本の自閉スペクトラムへの無理解を考慮したものとすれば妥当にも思えてくる。
今夜放送の第4話では、話ができない身元不明の少女が登場する。
今回はオペ室に入ることも許されず、医師としては何もできなかった湊。次回、いよいよ担当医となり、豊富な知識と感性でレジデントとしての活躍が見られることが楽しみだ。
(むらたえりか)
※山崎賢人の「崎」は「たつざき」が正式表記
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▼放送情報▼
木曜劇場『グッド・ドクター』
フジテレビ系にて、毎週木曜よる10時〜放送
出演:山崎賢人、上野樹里、藤木直人、戸次重幸、中村ゆり、浜野謙太、板尾創路、柄本明、他
原作:『グッド・ドクター』(c)KBS(脚本:パク・ジェボム)
脚本:徳永友一(ドラマ『海月姫』、『僕たちがやりました』など)、大北はるか(ドラマ『刑事ゆがみ』、『好きな人がいること』など)
プロデュース: 藤野良太、金城綾香
協力プロデュース:西坂瑞城
演出: 金井紘(ドラマ『コンフィデンスマンJP』、『貴族探偵』など)、相沢秀幸(『隣の家族は青く見える』、『貴族探偵』など)
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
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