目隠しをしたまま4方向どちらかに跳ばなくてはならない「クォータージャンプ」決着編。
安全な「セーフゾーン」は1方向だけ。それ以外は壁&奈落の「アウトゾーン」という殺人ゲームだ。
各方向には、目隠しをされた「跳び役」を惑わせるガイドが配置されており、あの手この手で「跳び役」を自分の方向に跳ばせようとしてくる。

何だこの取って付けたような感動シーン……
「声役」のひとりとして、壁のある「アウトゾーン」に配置されていたのが、ゼロの高校時代の同級生・カズヤ(増田貴久)。
「友達だから騙すわけないだろ!」というのを前面に押し出して自分の方向に跳ばせようとするカズヤだが、実は高校時代からゼロに対してコンプレックスを抱いており、騙す気マンマンだったのだ。
せっかくの加藤シゲアキ vs 増田貴久という、NEWSメンバー同士による騙し合いバトル。もうちょっと引っ張ってくるかと思ったら、わりと盛り上がりのないままアッサリと終了してしまった。
確かに、原作においてはカズヤって思いっきりチョイ役なので、活躍度もこんな程度。原作に忠実といえば忠実なんだけど、じゃあ何でそんなチョイ役にNEWSメンバーをキャスティングしたのか。
かつての同級生がゼロを騙してくる、という展開をさらにドラマチックに盛り上げたいという意向と、スピンオフ(「Hulu」で配信中!)を作りやすそうなキャラクターだから、というチョイスだろうか?
さて、ゼロは「声役」も壁に空いた小さな穴からのぞいているから視界に死角があるというのを利用し、カズヤの嘘をサクッと暴く。
天才キャラのハズなのに、ここのところ優柔不断なだけのボンクラに見えていたゼロ、久々の見せ場だが、カズヤに対して最後にかけた言葉が「何じゃそりゃ」だった。
「生きてここを出られたら、また一緒に泳ごうよ。
「生きろ……」
何だこの取って付けたような感動シーン。カズヤ、さっきまでゼロを殺す気マンマンだったじゃーん!
チョイ役のカズヤに最後にもうちょっと見せ場を。ということなんだろうけど。
「何じゃこりゃ」展開の連続
ゼロは迷いまくりながらも、あの手この手で「声役」の嘘を見抜いていき、時間切れギリギリでセーフゾーンに向かって跳ぶことに成功。
一方、対戦相手である標(佐藤龍我)は、たった45秒でアッサリと跳んでしまった。
靴ヒモがほどけたの、持っていたコインを床に置いて何円か当てろだの、色々やって何とかかんとか正解を導き出したゼロ。
前屈みになって、壁越しでは絶対に見えない位置に手を置き、指がくっついているかどうかを当てさせるという、シンプル&確実な方法でサクッとセーフゾーンを割り出した標。
結局、ゼロと標の実力差を見せつけられたゲームだった。
細かいところにちょいちょい気になる穴はあるものの、ゲーム自体は、すんごく賢いゼロをアッサリと超えてくる、さらに賢い標という図式も面白く、ハラハラしながら見ることができたのだが……。
ゲームの後は「何じゃこりゃ」な展開の連続。
そもそも、勝者の報酬がリング1個なのに、その勝者の取り巻きにはリング2個ずつ
与えられるというルールが謎。どうして実際に生存率25%という殺人ゲームに命を賭けて挑戦した本人がリング1個なの!?
そこは「先にリングを4個揃えた者が優勝」という勝利条件が早速足かせになっているのだろう。
標は既にリングを2個持っていたので、ここでさらにリング2個手に入れちゃったら、1000億円争奪ゲームが終了しちゃうのだ!
しかも、標の取り巻きは基本的に、自分で王になろうとは思わず、王になるであろう標に取り入ることで、賞金の1000億円、さらにその後の利権のおこぼれにあずかろうという連中ばかり。
だったら自分のリングを標に進呈して、さっさと優勝を確定しちゃった方がいいと思うのだが。
他人からリングを強奪したり、盗んだりするのが黙認されているのだから、譲渡がダメなはずないと思うが、なぜやらない! ……というか、死ぬほど賢いはずの標が、なぜそれに気付かない!
カリスマ性の標、人柄のゼロ!?
超絶能力を見せつけることによって、取り巻きを増やし、王としての道を着々と歩んでいる標。
対するゼロは、ちょっとクイズや謎解きゲームの得意な兄ちゃん、くらいの実力は見せているものの、ついていってもあまり得はなさそうに見える。
だって、まだリングを1個も獲得できていないんだもん。それなのに、なぜか取り巻きは増えていく。
標が圧倒的なカリスマ性で取り巻きを増やしているのに対し、ゼロは「人柄の良さ」で仲間を増やしていってるようだ。
王の場合はどうか知らないけど、中小企業だったら、社長の一番の売りが「人の良さ」って、会社を潰すパターンだとは思うが……。
ゼロの人柄に惹かれてついていくことを決めた取り巻きのひとり・スナオ(杉野遙亮)は、仲間のリングをネコババしていたことをゼロに告白する。
ところがゼロは、怒るでもなく、咎めるでもなく、こんなワケの分からないことを言い出す。
「相手を縛るのではなく、自分をゆるめる。あるがままです。川の流れのように、あるがままを受け入れて、ただ流れていく。
……ちょっと何言ってるのか分からないんですけど!? しかし、それを聞いた取り巻き・ヒロシ(岡山天音)は興奮した様子で、
「オレは、ただ勝負に勝つのが王じゃないと思う。本当の王がゼロだってことだよ!」
……やっぱり何言ってるのか分からないよ!
金の力にモノを言わせて、人々を自分の思い通りに支配している王・在全無量(梅沢富美男)に対して、支配しない王としてゼロが君臨していくということか?
かと思えば、
「勝負に勝たなくちゃ王にはなれないんです。ここで勝って1000億手に入れて王になること。それが在全に勝つことだと今日、思い知りました!」
とか言ってるし……。
ま、まあ、とりあえずがんばれ、ゼロ!
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・日テレオンデマンド
・Hulu
・TVer
『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系列)
原作:福本伸行『賭博覇王伝 零』(KCデラックス 週刊少年マガジン刊)
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
主題歌:NEWS「生きろ」(ジャニーズ・エンタテイメント)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ