「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」(毎週月曜21時〜)。第4話は、ついに上戸彩(桜木泉役)の出番がゼロだった。


サクサク進んで気持ち良い!


「今回ミハンシステムが選んだのはこの人物だ!」というところからではなく、4話はすでに小田切唯(本田翼)が銀行員として忍び込んでいるシーンからスタート。その後、ミハンがリストアップした危険人物が、真面目で堅物な銀行員・佐伯卓郎(小野了)だということが明らかになる。

そこに2人組の銀行強盗が現れる。しかし、防犯カメラ越しに井沢(沢村一樹)は、佐伯と強盗犯の不審なやりとりに気づき、「佐伯は、強盗犯が入ることを知っていた……」と呟いてオープニングへ。ミハンが選ぶ危険人物の発表、ミハンチームが侵入捜査で近づく、そこに別の人物が強盗として現れる、危険人物と銀行強盗の繋がり発覚。大きな情報と展開を、たったの5分からそこらで処理し、サクサクと物語が進んでいく感じが非常に気持ちいい。

ここに、ミハンチームで客として潜入するも腹痛でトイレに籠もっていた田村薫(平田満)が強盗にバレずに別行動、そして人質の客の中に強盗犯の関係者・由梨(佐藤玲)がいるなど、様々な要素が入り交じる。
銀行行内で事件が現在進行形で起きているのに対し、他のミハンチームは外から捜査をして事件に迫っていく。様々な伏線と事実がカチカチと組み重なっていく様は、まるでよくできたワンシチュエーションコメディのようだ。
「絶対零度」本田翼の信念をアクションに見た!これは良い、断固支持する4話
イラスト/Morimori no moRi

女の敵をぶっ飛ばせ!


1話の評判の良さからか、4話では本田翼のアクションシーンが大幅に増えたらしい。しかし、ただ単にストーリーにねじ込まれたわけではない。

序盤で強盗犯の1人は、歯向かった由梨の腹を躊躇なく蹴り込んでいた。その後、再び強盗犯にたてついた由梨は、今度は顔面を殴られる。立ち向かった小田切(本田翼)はピストルで殴られて倒れこみ、腹を蹴り上げられている。


強盗犯は、こうした「平気で女を殴るクズ男」という人間性が強調されていた。そうなると、過去に男に襲われた経験から、“女としてクズみたいな男と戦う”という信念を持つ小田切は黙っていられない。

強盗が1人になったところを背後から持っていたバッグで襲いかかる。ピストルを向けられても、縛られた両腕でうまく挟み込み対処。相手の首に両腕をひっかけ、そのまま猛ダッシュで台に飛び乗るように体重をかけて絞め上げる。力任せにほどかれてしまうが、今度は田村に気を取られている強盗の腕を蹴り上げ、倒れ込んだところに急所を思い切り踏み込んだ。


ケンカは強いが、小田切は格闘技を学んでいたわけではないらしい。綺麗に技を決めるわけではなく、物や環境を上手く使った戦い方が魅力だ。セリフらしい声も一切出さず、「あぁあぁあああ!!」と野太い声を出すのが荒々しくて良い。筋力的に劣っているの前提とした攻撃選びも理にかなっている。腕を縛られていたらそれで首を絞めるし、体重で負けていたら助走をつけて負荷を大きくかける。最後の急所攻撃も、相手の一番を攻めた結果だ。
もちろん制作側には、「あの本田翼が金的を……」というM心を持った男性視聴者へのアプローチの意味もあったのだろうが、それも含めて全てが合理的だ。

こうして弱者の立場の小田切は、「平気で女を殴るクズ男」を打ち負かし、その信念を見せつけた。強くてカッコいい女を見せつけてくれた。

シリーズから独立してきた感じ


高視聴率を獲得しながらも「上戸彩の出番が少ない」「今までのシリーズと全然違う」そんな声がネット上を飛び交いがちだが、今回は上戸彩の出番がゼロだった。視聴率は上昇し続けているし、そろそろ絶対零度とは別作品だということが浸透しはじめたのではないだろうか。そもそも絶対零度って名前つけなきゃ良かったのに感は拭えないが。

(沢野奈津夫)

「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」

月曜 21:00〜21:54 フジテレビ系
今晩の放映時間直前までTverで4話配信

キャスト:沢村一樹、横山裕、本田翼、柄本時生、平田満、伊藤淳史、上戸彩 ほか

脚本:浜田秀哉
演出:佐藤祐市、城宝秀則、光野道夫
主題歌:家入レオ「もし君を許せたら」