
ここで振り返ろう。今まで、どんなことがモチーフ(ネタ)にされてきたか。
1話……枕営業とアパ不倫(袴田吉彦)
2話……2世俳優と薬物中毒(高橋祐也?)
3話……アイドルとマネージャーの妊娠騒動
さて、第5話は……
枕営業が十八番のマネージャー
芸能事務所「フローライト」の社長・勅使河原友和(片岡鶴太郎)は、矢神亜梨沙(山口紗弥加)と花園由祐子(平岩紙)を呼び出し、「LALAヴィレッジの新CMの仕事を取ってきた方を、芸能2部のチーフマネージャーにする」と発表。LALAヴィレッジとは起業家の久保寺徹(笠原秀幸)が立ち上げて急成長したスマホアプリの会社で、CM出演者は、毎年、大物タレントやモデルを招いたパーティにて久保寺自ら選ぶのが常だった。「君たちがそれぞれ今一番推しているタレントを連れていき、CMを取ってきてほしい」と命じる勅使河原。亜梨沙は小嶋夏恋(小川紗良)を、花園はモデルのソフィア(瑛茉ジャスミン)を担当することにした。
クロアチアの貧しい家庭に育ったソフィアは身の上話を語り、久保寺の気を引きつける戦法だ。
「たしか、クロアチアって直行便がなかったよね。帰省するとき不便でしょ? もし良かったら、自家用機で送るよ」(久保寺)
プライベートジェットって、ZOZOみたいだな……。
一方の夏恋は、インテリジェンスで社長を引きつけようと試みる。久保寺の生けた花に興味を示し、花を生ける器についての印象も述べた。
「この器を作った人って、すごく孤独な人。(中略)誰も信じられない、何でも自分一人で全てを完成させるってエゴを感じます。
この器を作ったのは、実は久保寺だ。
「僕に、こんなに自分の意見をはっきり言ってくれる子は初めてだよ」(久保寺)
久保寺は夏恋に興味を持った。
焦りを感じた花園はソフィアに久保寺の部屋へ行くよう指示する。第1話では夏恋にも課していたし、花園のタレントを売り込む手段は枕営業ばかりだな……。
恐怖の赤ちゃんプレイ、ありえる
部屋へ行ったソフィアに久保寺が話しかける。
「さあ、服を脱いで。僕が脱がせてあげようか?」(久保寺)
CM出演者を決めるパーティって、枕相手探すパーティのことなのか? そういえば、昨年のLALAヴィレッジCMキャラクターは阿久津唯菜(松井玲奈)が務めている。唯菜も久保寺相手に枕をしてCMをゲットしたのだろうか……。
しかも、久保寺はアブノーマルだった。
「よいしょ、よいしょ! ママー、おむつ替えてほしいでちゅ!」(久保寺)
おむつ姿に赤ちゃん口調で現れた久保寺。彼は赤ちゃんプレイが趣味のようだ。そう考えると、夏恋に興味を示したのも合点が行く。自分に対してハッキリものを言ってくれる子なら、ママ役となりキツく叱ってくれる。
ここから、ドラマは振り切れた。
「おっぱい欲しい! ママのマネージャーさんがあ、ママには何もしてもいいって言ったんでちゅよ!」(久保寺)
抱きついてくる久保寺に恐怖したソフィアはバスルームに逃げ込んだ。言うことを聞かないソフィアに、久保寺は激昂。
「ベビーフェイスしてたらつけ上がりやがってよー!」(久保寺)
なるほど、赤ちゃんだけに。さりげなくうまいこと言うの、本当やめて……。
しかしだ。真剣に考えると笑えない。人はそれぞれ、様々な趣味を持っている。枕営業するとなったら、こんな状況もありえなくはない。
殺人をしたタレントの身代わりになるマネージャー
嫌がるソフィアは久保寺を突き飛ばし、頭を打った久保寺は息絶えた。
「あの……、人を……殺しました」(水谷)
ホテルで相手が絶命した。罪をかぶるのはタレント当人か、マネージャーか? 押尾学の件を思い出してしまう。
実は、ここに盲点がある。亜梨沙の“操り人形”となった「週刊星流」の記者・巻田健吾(片桐仁)はパーティ会場でソフィアのカバンに盗聴器を仕掛けている。それを公開すれば一部始終は録音されており、正当防衛を立証するのは容易なはず。加えて、ソフィアに枕営業を強要する花園の声もバッチリ入っている。罪から免れること自体は、実は簡単なのだ。
だが、全てが明らかになってしまうと芸能人としてキズになる。だって、枕営業しようとしていたのだから。
花園はソフィアを説き伏せた。この女、人の皮を被った悪魔だ。
「水谷が久保寺社長を殺したと言っている。良かったじゃない! もしあんたが捕まったら、もう一生故郷には帰れないかもね。大丈夫、あたしの言う通り仕事してれば、そんなことには絶対ならないから」(花園)
ソフィアは花園に完全に支配された。
CMの取り合い→スポンサーの枕相手物色のパーティ→赤ちゃんプレイ→タレントの正当防衛でスポンサー死亡→タレントの代わりに自首する元マネージャー→元マネージャーに罪をかぶせタレントを支配下に置くチーフマネージャー
CMの取り合いから、ここまでの騒動になるなんて。主演の山口紗弥加は週刊ポスト(2018年11月2日号)の取材で、以下の発言を残している。
「芸能生活が長いので、ドラマで起きている出来事はいい面も悪い面もどこかで見聞きしてきたようなこと(笑)」
エピソードがただ派手なだけじゃなく、タレントの世間体やマネージャーの悲哀をちゃんと盛り込んでいる点も見落とせない。枕営業から考察する芸能界。よくぞ、テレビでこんな切り口を!
(寺西ジャジューカ)
木曜ドラマF『ブラックスキャンダル』
脚本:佐藤友治ほか
監督:長沼誠ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:「ドグマン」(ゲスの極み乙女。
チーフプロデューサー:岡本浩一
プロデューサー:福田浩之、中間利彦、茂山佳則(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
制作協力:AX-ON
制作著作:読売テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中