高畑充希主演のTBS「メゾン・ド・ポリス」毎週金曜22時〜)第3話も、10.7%と相変わらず好調。

「メゾン・ド・ポリス」は、夏目惣一郎(西島秀俊)、伊達有嗣(近藤正臣)、迫田保(角野卓造)、藤堂雅人(野口五郎)、高平厚彦(小日向文世)という退職警察官だけが住むシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」の住人に振り回されながら、新米刑事の牧野ひより(高畑充希)が難事件に挑む一話完結の刑事ドラマ。


1話と2話では、犯人や黒幕がひよりの想定よりも強い残虐性や、ねじねじ曲がった独自の思想のようなものを持っていた。これにひよりは面食らって人間の恐ろしさと刑事という仕事の難しさを知る……といった終わり方。どちらの犯人、もしくは黒幕も、なかなかインパクトの強い開き直り演技を見せてくれており、そこを楽しみにしてたのだが、3話はそれがなく、残念。どうやらお決まりの形式ではなかったらしい。
高畑充希「メゾン・ド・ポリス」橋本マナミがスゲー、あれはおじさん好きなのか天然物の魔性なのか3話
イラスト/Morimori no moRi

3話の事件


マンション建設予定地で、青いペンキがかけられた猫の死体が相次いで発見される「青猫事件」が発生。雑用を押し付けられるかのごとく、この事件を捜査することになったひよりだが、メゾン・ド・ポリスの住人たちは、どうしてもやる気が起きない。しかし、区の広報誌編集者である大槻仁美(橋本マナミ)から捜査依頼がくると、彼らは一気にやる気に。
その夜、事件現場を訪れると、そこには猫ではなく人間の死体があった。

死体が発見されたシーン。不思議と猫じゃなくて人間の死体で良かったと、ちょっと思ってしまう。現実世界でに発見したらとかは置いておいて、ドラマだと人間の死体より猫の死体のほうがよっぽど見たくない。なにかがマヒしてる。

橋本マナミがただただエロくて仕方ない


愛想を振りまき、手作り弁当を差し入れし、おっさんたちを虜にする仁美(橋本マナミ)があまりにも怪しい。事件現場に行くように仕向けたのも仁美だし、なにより、おっさんたちに取り入ろうとしている理由がよくわからない。


完全にネタバレになってしまうが、実はこれただのミスリードで、仁美は犯人でもなんでもなかった。作中では仁美に誰一人騙されておらず、視聴者のみに向けて作られた心理誘導だ。結局、ただのおじさん好きだったのか、それとも出会う男出会う男を全て虜にする天然物の魔性の女だったのかはよくわからないが、すごく真面目なただの良い人だった。
ひよりに「メゾン・ド・エロス」呼ばわりされた仁美だったが、よく考えるとまったくエロいことをしていない。露出が多い服を着ていたわけでもなく、必要のないボディタッチをしたわけでもない。おじさんたちに好意を寄せるようなセリフは多いが、それだって社交辞令でありえる範疇。
弁当の差し入れも、事件の捜査の依頼を一般人にしているのだから当然と言えば当然だ。つまり、橋本マナミは普通のことしかしていないのだ。

なのにエロい。髪をかき分けるだけでエロい。優しく微笑むだけでエロい。ひよりの「メゾン・ド・エロス」というタイトル文字りの皮肉が決まり過ぎなほど、しっくりエロい。
もともとのパブリックイメージ込みで、橋本マナミは視聴者に「エロい女」という印象を簡単に与える。もちろん、おじさん連中のメロメロ演技がこの印象の手助けをしているのは間違いないが、1時間という短い時間のなかでこれだけ完結にミスリードを誘えるのだから、橋本マナミすごい。エロいってすごい。

西島秀俊がかっこよすぎる問題


同ドラマは、「おじキュン」というワードを推していて、昨今の「おじさんかっこいい!」ブームをピンポイントで狙っているよう。ほのぼのおじさんたちが、最後に本気になるというフォーマットは、その目論見に最適解な気もする。

ただ、西島秀俊がかっこよく見える演出はちょっとブレる。
なぜなら、西島秀俊って立ってるだけでかっこいいから。西島秀俊は他のおじさんたちより若いし、ひよりに近い立ち位置にいて別物扱いなのはわかるが、西島秀俊を「おっさんかっこいい」という振り分け方にしてしまうと、他のおっさんたちがどうしても弱くなってしまう。

今のところおいしい場面も西島秀俊が多いし、他のおっさんたちがメインを張るのは今後だろうか?そのときは、西島秀俊を出汁に使うくらいの演出を期待したい。カッコよくなさそうなものが、カッコよく見える瞬間が見たい。

(沢野奈津夫)

「メゾン・ド・ポリス」
金曜 22:00〜21:54 TBS系

キャスト:高畑充希、西島秀俊、近藤正臣、角野卓造、野口五郎、小日向文世、西田尚美など

原作:加藤実秋「メゾン・ド・ポリス」シリーズ
脚本:黒岩 勉
演出:佐藤祐市、城宝秀則
主題歌:WANIMA「アゲイン」