高畑充希主演のTBS「メゾン・ド・ポリス」毎週金曜22時〜)第4話の視聴率は、10.2%と相変わらず強い。おっさんたちが面白かっこいい、西島秀俊がただただかっこいい、高畑充希の演技楽しい、事件が二転三転する、と、見どころがいくつもあるため、これからも安定しそうだ。


「メゾン・ド・ポリス」は、夏目惣一郎(西島秀俊)、伊達有嗣(近藤正臣)、迫田保(角野卓造)、藤堂雅人(野口五郎)、高平厚彦(小日向文世)という退職警察官だけが住むシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」の住人に振り回されながら、新米刑事の牧野ひより(高畑充希)が難事件に挑む一話完結の刑事ドラマ。
高畑充希「メゾン・ド・ポリス」めんどくさい老害おじさん角野卓造が体現した正しい老害4話
イラスト/Morimori no moRi

老害おじさん角野卓造


「メゾン・ド・ポリス」は、“老害VS若い力”という構図がしばしば描かれていた。シェアハウスのメンバーは、いつもひよりにパワハラまがいの命令をするし、他の現役刑事たちからも疎ましい存在として扱われるシーンも少なくなかった。正しいとか悪いとかいう話は別にして、「メゾン・ド・ポリス」のメンバーは、めんどくさい存在だった。

第4話は、老害に特化した話。スポットライトが当たったおじさんは、元・現場にこだわった叩き上げ刑事の迫田だ。冒頭から、角野卓造が老害感をフルに表現する。
師範を務める柔道場では、「先生が子供の頃だったらひっぱたかれてるぞ!」とわかりやすい老害セリフで子供を指導。飴玉を手に吐き出させ、それをまた気にせず口に押し込むというデリカシーの無さも老害あるあるっぽい。にもかかわらず、ギリッギリかわいく見えるのだから角野卓造すごい。

「コスモクリーチャー」事件あらすじ


そんな迫田は、強豪バスケ部に所属する大学生・貫井秀之(山本涼介)がバットで殴打された事件に興味を持つ。夏目とひよりの3人で秀之の病室を訪ね、口からデマカセを並べて事件について聞き出した。すると、事件の前にも自宅のバスケットボールに画鋲が刺さっている嫌がらせを受けていたことが明かされる。自宅でドリブルの練習をしていた秀之を、近所に住んでいる元同級生で浪人生の櫻井陽斗(福山康平)が、恨んでいたのではないかと推測される。


しかし事件当日、陽斗は自宅でネットゲーム「コスモクリーチャー」をしていたというアリバイがあった。そのゲームを「メゾン・ド・ポリス」のメンバーが実際にプレイすると、ゲーム内に暴行依頼ばかりが並ぶ掲示板が発見された。中には、パソコン教室に通う老人・田口哲也(清水章吾)への殺害を要求するものまであった。

事件がサクサクと展開していく。今話ではなんとネットゲームの世界にまで話が拡がった。ここでゲームが全くわからない迫田と夏目がぶっきらぼうな口調でひよりに教えを請う展開かと思いきや、なんと高平(小日向文世)がコスモクリーチャーの日本1位というぶっとんだキャラ性を見せる。
それなりに人気のソシャゲの1位ってとんでもないゲーム廃人なので、せめて200位くらいにしとけばいいのに。

ドラマの数シーンのためにわざわざオリジナルのゲームを作ったのだろうか?そんなに作れるものなのだろうか?気になる点は多々あるが、コスモクリーチャー内で有名人の高平は、あっという間に事件の核心に近づく。

老害のやり方


今話で、迫田が奥さんに熟年離婚を突きつけられていたことが発覚する。それ以来子供にも会っていないらしいが、酔っ払ったひよりにそこをつつかれると迫田はまたしても老害ぶりを見せつける。

「男はな、仕事してなんぼなんだよ」「男が仕事するためには、飯作る奴が必要なんだよ」「男が稼いで女が家を守る」ドラマ内じゃなかったら炎上必至の言葉を吐きまくったのだ。

これにひよりは、「夫婦のことはわかんないんですけど、子供はどうなるんですか?」と反論。
幼くして父親を亡くしたひよりの言葉に、迫田は言葉を失ってしまう。

しかしひよりが酔いすぎて寝てしまうと、「ようやくこいつ、腹の中を少し見せたな」と迫田はつぶやく。ねじ曲がった考えだろうが、自己中心的な主張だろうが、思ったことを吐き出し合うことで、「人と人はわかりあえる」と考えているようだ。無責任にわがままをブチ撒けるだけの老害ではなく、迫田には迫田なりの、老害に老害なりのやり方があったのだ。

その後も迫田は、ビンタなど古いやり方で秀之と陽斗の関係を修復。さらには事件のキーとなった老害・田口に対し、「てめーのわがままに若い奴らを巻き込んでいる老害だ」「次の奴らに残せなくなった奴に出来るのは、黙って死ぬのを待つことだけだ」と正しい“老害の在り方”を語った。


あくまで、「男が稼いで女が家を守る」という古くさい考えを、肯定しているわけではない。しかし、少しは老害と呼ばれる人間に思いを寄せてみてはどうだろうか?と問いかける話となった。

実際、迫田のようなおじさんが自分の上司だったらどうだろう。“老害にも老害なりの意地やかっこよさがある”がしっかり描かれていたが、近寄りたいかといったらそうでもない。ドラマで見るかっこいい老害が、1番丁度いい距離な気もする。

(沢野奈津夫)

「メゾン・ド・ポリス」
金曜 22:00〜21:54 TBS系

キャスト:高畑充希、西島秀俊、近藤正臣、角野卓造、野口五郎、小日向文世、西田尚美など

原作:加藤実秋「メゾン・ド・ポリス」シリーズ
脚本:黒岩 勉
演出:佐藤祐市、城宝秀則
主題歌:WANIMA「アゲイン」