TBS日曜劇場『グッドワイフ』(公式)、アメリカCBSの人気番組『The Good Wife』が原作のリーガルドラマだ。
第4話「過去との決別」。


荻原翔平(佐藤緋美)が傷害致死容疑で逮捕された。
翔平が突き落としたと友達が証言したのだ。
逮捕された少年を演じたのは佐藤緋美。
浅野忠信の息子だ。意志の強いキリッとした少年を見事に演じた。

翔平の母親は、荻原奈津子(須藤理彩)。

蓮見杏子(常盤貴子)が、高級住宅街に住んでいたころのママ友。
「最初に友達になってくれた人なんです。それで、最初に私を見捨てた人」
夫の逮捕後に、すぐに拒絶したのが荻原奈津子だった。
それを聞いた円香みちる(水原希子)は、「そういうものですよね」と言い、「そういう目にあいたくないから情報くれる友達以外いらないんですよ」と語る。

高校生の友情、ママ同士の友情、職場での友情が、パラレルに展開していく流れだ。

ライバルの友情も絡んでくる


朝飛光太郎(北村匠海)は、法廷に立ったことがなかった。
和解交渉が得意で、裁判にする必要がなかったからだ。

「光太郎、初めて法廷に立つ」の巻である。
有能でやり手の光太郎にしては、おどおどしすぎじゃないかってぐらいにしどろもどろ。
途中で代わる杏子。
朝飛光太郎(北村匠海)と一緒に裁判で戦うことで、ライバルの友情も絡んでくる。

さらに杏子と多田政大(小泉孝太郎)の友情を超えちゃうか超えちゃわないか展開もじょじょに盛り上がってきている。
夫の蓮見壮一郎(唐沢寿明)と多田政大が対峙して、政大とんでもないことを言い出すのだ。


今回のエピソードは、原作アメリカ版ではシーズン1第3話。
日本版でタバコだった部分は、アメリカ版では大麻。
傷害致死容疑だった部分は、重罪謀殺(重罪の過程で犯した殺人は故意でなくとも謀殺になる)。
さらに、友達の偽証は検察との取引というハードな展開だった。
ママ友も、めちゃくちゃセレブで住んでるところも高級住宅地。
格差も歴然としていて、そこが物語のキーになっている。

これを、日本版でやるのか!
なんてチャレンジングな。
どうやるんだろうとドキドキしながら観た。

日本的なやさしさを持つキャラクター


格差問題やハードな展開はすっぱり捨てた。
そのかわり友情をテーマに二転三転する物語になった。
基本的な流れは保ちながら、具体的な部分は日本に合うようにアレンジ。
ライバル関係の朝飛光太郎や、パラリーガルの円香みちるとの友情も絡めてきた。

「グッドワイフ」常盤貴子はママ友の闇をズバっと切り裂くのか4話
イラストと文/米光一成

そして、最後の台詞は捨てなかった。
自分を切り捨てたママ友に「また、ランチしましょう」と言われて、アメリカ版ではこう答える。
「口だけでしょ。きっと電話なんてくれないわ。でもいいのよ、ほんとに」
“You're not going to call.And we're not going to have lunch.And tht's okay.It really is.”
ズバッとものを言うのだ。
杏子は、日本的なやさしさを持つキャラクターになっているし、格差的なしがらみもない。

日本版でそのままやると不自然になるので、削られるか甘ったるい台詞に変えられるだろうと危惧していた。
ところが、そのままズバっと言った。
「口だけでしょ。きっと電話なんかくれない。でもいいのよ。
世の中なんてそういうものだって私も気づいたから」
物語のなかで、円香みちるがこの件について「そういうものですよね」と言い、杏子は息子に「人にやさしくなるには自分が強くなくちゃいけないのかもしれないね」と語っていたのが効いた。
さらに
「引っ越すときに言えなかったけど、十年間いろいろとありがとう。
お元気で。幸せになってね」
とつけたした。
この後の展開も日本オリジナル。
友達と決別したあと、円香みちるに呑みに誘われる。
杏子はそのことを「過去を失っても。ほんとはあるのかもしれないね、別の未来が」と多田政大に言うのだ。
こんなの言われたら、多田政大が自分との未来の意味に勘違いしたってしょうがないぞ。
杏子、天然な魔性の女なのかっ。

2月10日(日)第5話「夫婦の条件」は、宇崎竜童が資産20億のロックスター役、そのロックスターの妻を銀粉蝶、そして若い恋人役に松本まりかと、配役バッチリ。楽しみである。(米光一成

日本版:Paraviで配信中TVer最新話配信
アメリカ版:AmazonPrimeで配信中

チーフプロデュース 瀬戸口克陽
プロデュース 東仲恵吾
演出 塚原あゆ子
脚本 篠崎絵里子
主題歌 BUMP OF CHICKEN「Aurora」
制作 CBS Corporation、TBS

蓮見杏子(常盤貴子)
多田征大(小泉孝太郎)
円香みちる(水原希子)
朝飛光太郎(北村匠海)
小宮竹生(野間口徹)
戸梶涼太(中林大樹)
佐竹凛子(末永みゆ)
蓮見隼人(小林喜日)
蓮見綾香(安藤美優)
佐々木達也(滝藤賢一)
蓮見幸枝(高林由紀子)
林幹夫(博多華丸)
遠山亜紀(相武紗季)
神山佳恵(賀来千香子)
脇坂博道(吉田鋼太郎)
蓮見壮一郎(唐沢寿明)
荻原奈津子(須藤理彩)
荻原翔平(佐藤緋美)
宇佐美友也(水沢林太郎)
傍聴人(阿曽山大噴火)