第25週「できました!萬平さん!」 第144回 3月22日(金)放送より
脚本:福田 靖 
演出:安達もじり
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」144話。鈴切腹、萬平天地逆転の夢を見る
川井憲次による、心はずむ楽曲、34曲収録

連続テレビ小説「まんぷく」オリジナル・サウンドトラック2 バップ

143話のあらすじ


腸が破裂した鈴(松坂慶子)の手術は無事終了、だが、三週間は入院する必要がある。
まんぷくヌードル開発には問題が立ちふさがる。カップに麺を入れる方法が難しいのだ。

そんなある晩、萬平(長谷川博己)は不思議な夢を見る。

「切腹したの?」


ドラマの後半、ぐだぐだになっていくことも朝ドラあるあるですが、最後に自由に面白いことをするのも朝ドラあるある化してきているようです(例:わろてんかの最終回の総集編寸劇)。
「まんぷく」はまんぷくヌードル開発という大物も残しつつ、ところどころ、インパクトを仕掛けてきて、飽きさせません。福田靖先生がヒットメーカーであることの所以が、いまこそ発揮されてきたといえるでしょう。
最後までどう守れるかが連ドラは大事です。
ここのところ、鈴の病気が描いていますが、朝ドラでよくある(年齢の)順番にお迎えがやって来て、天に召されていく、哀しいけれど順番だから、でも決して忘れない、という感動を狙った生々流転パターンではなく、医療ドラマふうの珍しい病名・大腸憩室症(命にかかわる病)を出してきます。
フルネームのついたのらりくらりしたお医者さんも意味ありげに今日は語ります。高齢なので開腹するのはやめていたというのはもっともらしく、のらくらしていたが信用できる医者なのかもと思わせて、次の瞬間には、命にかかわる病気を虫垂炎と思っていたと、ん? 大丈夫なのか?と心配にさせます。どっちやねん。
それはさておき。前半は事件もの、最後に医療もの、と人気ドラマのジャンルを盛り込みつつ、大手術を行った鈴さんに「切腹したの?」と武士の娘らしい台詞を言わせます。うまくまとまりました。
「こわい…」って言い方もかわいい松坂慶子さん。
そして、世良(桐谷健太)が面会時間を過ぎてから見舞いに来ます。うちわで風を送る仕草がやさしい。世良は調子がいいけど情はある人。「まんぷく」の登場人物は、その場その場で、よくいえば臨機応変、悪くいえば場当たり的な人ばかり。固定しないほうが、浮動票が稼げるという作戦のように思います。やるなあ。世良と詐欺師の話が出ましたが、これもいい意味で詐欺師的な戦法ですよね。

長谷川博己が面白い。


まんぷくヌードルがうまく容器に入らず、焦る萬平さん。何度やっても入らないにもかかわらず、何度も何度も入れて、入らない入らないとぶつぶつやってるところは、やばい。夢中になってしまう人なんですねえ…。
家族の食卓でも、気もそぞろ。

萬平「二十歳になったばかりじゃないか」
幸「21です」
萬平「21?」

源「トマトおいしいよ」
萬平「なんで呑気なんだ、最後の最後で躓いてるんだぞ、まんぷくラーメンは……ほんと美味しいな」

とぼけたお父さんの魅力が炸裂しました。
極めつけは、その夜、家がひっくり返って、萬平の体が床から天井に落下してしまう夢を見ているときの表情。
長谷川博己さんは、一見、育ちの良い知的な方ですが、園子温監督の映画や、ドラマ「鈴木先生」「MOZU」「デート〜恋とはどんなものかしら」「夏目漱石の妻」「獄門島」などのエキセントリックな役でがぜん力を発揮します。私はずっと「追い詰められ」演技が似合う俳優と書いていまして。ほんと、人間の極限を演じさせたら天下一品です。

それにしても、家が傾いていく場面、面白かったなあ〜 どうやって撮ったのか気になります。

メモ:あさイチには安藤サクラさんが登場しました。
(木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
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