じんわりポイント1 オープニング

 
「ひよっこ2」(2019年3月25日(月)〜28日(木) 夜7時30分〜8時)はじまりました!
2017年前期(4月〜9月)に放送された連続テレビ小説「ひよっこ」の2年後の物語。第1話は、その後のみんながどうなってるか紹介という感じではじまるが、単なる近況報告ではなく、最初から最後までじわーっとなる30分。こんなにじわっ〜となっていいのかと思うほどだった。


冒頭はみね子(有村架純)と秀(磯村勇斗)の結婚式。みね子の挨拶と花嫁姿に、ナレーションの増田明美が感極まって……桑田佳祐の「若い広場」が流れるなか、「2」用に新たに作られたミニチュア映像にじんわり。
同じ背景でも、「1」ではひとりだった少女が楽しそうにふたりになって踊るところや、バスを降りたら家族が待っているところや、夕暮れの田舎の風景などにじんわり。

実写に戻り、奥茨城の谷田部家の朝の様子と赤坂・あかね荘のみね子と秀、前田夫婦の朝の新婚生活とが交互に描かれる。それから、次々となつかしの登場人物が登場。
漫画家コンビもまだあかね荘。
豊子と澄子もあかね荘に暮らしている。
「いだてん」でも活躍中の白石加代子演じる富さんは元気はつらつ。
米屋では、相変わらず父娘喧嘩。
好き好き〜♪の「恋のうた」(太田裕美)が、なんとちよ子のテーマ曲に!
まだまだなつかしのメンバーが出てくる出てくる。
あかね荘とすずふり亭の間の中庭に、すずふり亭、福翠楼、柏木堂の面々。イチコまで出てきた。
のちに、あの犬まで!(同じ犬なのかは不明)
このへんの変化は、登場人物紹介欄に書き加えておく(ウィキペディアか…)。

奥茨城では、気になっていたタカちゃんこと佐藤仁美が痩せている理由が描かれた。
「ひよっこ2」1話はここが注目点。この2年、大人っぽい作品に出ていた有村架純が全力で素朴なみね子に戻ろうとしていることをはじめとして、出演者誰もが、2年経過したとはいえ、本質は「ひよっこ」に戻そうとしているように見える中、佐藤仁美だけキャラ変したかのよう。さすがに、この役のためにせっかく落とした体重を戻すわけにはいかないであろう。同じ事務所の鈴木亮平は役によって太ったり痩せたり自由自在に体重をコントロールするが、そんなことはなかなかできるものではない。そして別に、ある理由で別人のように変わったという流れでも、「ひよっこ」の場合、全然OKだ。
それにしても人は見た目で全然印象が変わる。最近の佐藤仁美の役割は、以前の、ちょっとふっくらした親しみやすいおばちゃん枠から、綺麗で親しみも感じさせるおばちゃん枠に。美魔女枠にも入れそうな勢いだ。この変化にも、ある意味、じんわりした。まあでもからっと明るいところは変わってない。
「ひよっこ」は俳優の濁りのない部分を引き出すドラマだ。

じんわりポイント2 三男家の次男の秘密と 時子の母の愛

 
みね子の母・美代子(木村佳乃)と時子(佐久間由衣)の母・君子(羽田美智子)と、三男(泉澤祐希)の母きよ(柴田理恵)が奥茨城母の会で集まり、よもやま話。
なぜ、角谷家は男子ふたりしかいないにもかかわらず、三男はなまえに「三」がついているのか、その理由が明かされた。
女の子(嫁)がふたりも家族になったと涙するきよ。
それから、君子が、女優として活躍している時子が電話してくるときはなにかあったときで、それをわかりながら、楽しい話で笑わせるのだという話をする。
子どもたちの未来を思って美代子は「うれしくて泣く自信があるよ」と泣く。
そのままおいおい泣いたかと思うと笑い出す三人の母。
三人の俳優が全力で素朴に素朴に演じているので、お涙ちょうだいものにならず、じんわりする。
木村佳乃、ついこの間まで、たくましき後妻業を、その前は、女の業満開の人妻をやっていたとは思えない、てっかてかな頬で顔中にっこにこ。
「ひよっこ2」すっかり痩せた佐藤仁美キャラ変。痩せた理由もドラマで描かれた1話

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じんわりポイント3 鈴子さんへの気遣い

 
秀もみね子もすずふり亭で、まだ働いている。秀はときどきコンロを使わせてもらえるようになった。
仕事を終えて家に帰ってきて、たまにはふたりで飲みにいこうと、みね子はお母ちゃんの手製の服に着替えてバー月時計にいくと、省吾(佐々木蔵之介)と愛子(和久井映見)が先約でいた。
二人水入らずになれなかったにもかかわらず、「うれしい」というみね子。相変わらずいい子だ……。

しかも、省吾がディープな話題をしはじめる。すずふり亭の今後について鈴子が最近、ちょっときつくなってきているので、愛子に仕事を辞めて、店に入ってもらえないかと相談しているという話。
鈴子は「オーダーの順番間違えたら引退する」と言っていて、でも、愛子は自分が代わりに店に入ったら、鈴子の生きがいを奪うと思って、わざと手伝っているとき使えない演技をしてみせていた。
「自分がいなくても大丈夫と思ってしまったら絶対良くないと思う」と。
気遣いに、じんわり。
このときの有村架純の「なんか…なんか…」の涙の流れ具合が、じんわりを高めまくる。和久井映見の口調も良すぎるほどいい。
さらに、そんな彼らの気遣いを、鈴子はわかっていたという流れ。
トランペットの劇伴から弦楽器と管楽器の劇伴へ、その流れも心を震わせる。ヤスハル(古舘佑太郎)のギター弾き語りも。

どこまで「ひよっこ」の人たちはあたたかくやさしいのか。
お互い、わかりあって、いい意味でのしあわせ芝居(という歌ありましたね)をし続ける。
こんなのありえない! と思う人もいるだろうけれど、ありえないから、あったらいいなあと思って涙が出る。そうできない現実に涙が出る。

「朝ドラなのに夜放送」感を出したのは、バー月時計で、大人のお酒(大人の話)をみね子が味わうところで終わったこと。
ああ、いい夜でした。明日もがんばろう。

登場人物とキャスト

 

◯奥茨城
谷田部みね子→前田みね子(有村架純)…奥茨城村出身。東京に出稼ぎに来て、前田秀俊と結婚。すずふり亭で働いている。
あかね荘にまだ住んでいる。目玉焼きを失敗したり成功したり(1話)

谷田部実(沢村一樹)…みね子の父。東京に出稼ぎに出て、泥棒に殴られ記憶喪失になり、女優・世津子に世話になっていた。記憶はまだ戻ってないが、奥茨城に戻った。


谷田部美代子(木村佳乃)…みね子の母。帰らぬ実をじっと耐えて待っていた。

谷田部茂(古谷一行)…みね子の祖父。頼りがいのある人。農業をやっていたが、現在は実とともに花も作っている。

谷田部ちよ子(宮原和)…みね子の妹。歌合戦に応募して、家族で参加。
バス通学で一緒になる天下井先輩(金子大地)にほのかな恋?(「ひよっこ2」1話) 

谷田部進(高橋來)…みね子の弟。

小祝宗男(峯田和伸)…みね子の叔父。インパール作戦に参加しトラウマを抱えながら、ビートルズを愛し、笑顔で生きている。

小祝滋子(南海キャンディーズ 山崎静代)…宗男の妻。こわそうに見えるが夫を愛している。
男子3人の母。

前田秀俊(磯村勇斗)…みね子の夫。すずふり亭の料理人。
去年からときどきコンロを使わせてもらえるようになった。(「ひよっこ2」1話)

助川時子(佐久間由衣)…みね子の親友。女優になる夢をみごとに叶えた。

助川君子(羽田美智子)…時子の母。ものすごく娘思い。「ツイッギーそっくりコンテスト」に娘に内緒で勝手に応募していた。

助川正二(遠山俊也)…時子の父。母に比べておとなしめ。

助川豊作(渋谷謙人)…時子の兄。奥茨城青年団副団長。

角谷三男(泉澤祐希)→安部三男…みね子の親友。時子に恋していたが、就職先の米屋の娘に慕われる。
米子と結婚したが、相変わらず妻と義父の間で板挟み状態。(「ひよっこ2」1話)

角谷きよ(柴田理恵)…三男の母。バイタリティー旺盛。美代子と君子と「母の会」を結成、おしゃべりに花を咲かせる。

角谷征雄(朝倉伸二)…三男の父。

角谷太郎(尾上寛之)…三男の兄。東京に出たくても長男として家のリンゴ農家を継いでいる。奥茨城青年団団長。

角谷高子(佐藤仁美)…元・朝倉高子。すずふり亭で働いていたが、ひょんなことから角谷家に嫁入する。
脚立が壊れたことをきっかけに痩せて輝いている。(「ひよっこ2」1話)

綿引正義(竜星涼)…茨城出身の警官。故郷が同じだったことから、実探しに協力する。

田神学(津田寛治)…みね子たちの高校の先生。集団就職を斡旋する。

益子次郎(松尾諭)…元バスの車掌、いまは村長候補。


◯赤坂・すずふり亭 
牧野鈴子(宮本信子)…赤坂に古くからある洋食屋の店主。愛情にあふれた人。
ちょっと仕事にお疲れ気味で、みんなを心配させる。(「ひよっこ2」1話)

牧野省吾(佐々木蔵之介)…鈴子の息子。妻を亡くしてひとり、洋食屋の料理長としてがんばっていたが、愛子と再婚する。
鈴子を心配し、愛子に仕事を辞めて店に専念してほしいと考えるが…。(「ひよっこ2」1話)

牧野愛子(和久井映見)…乙女寮の舎監だった。戦争で亡くした恋人を忘れられず独身だったが、省吾と結婚する。
自分が店に入ったら鈴子さんががっかりすると心配。(「ひよっこ2」1話)   

牧野由香(島崎遥香)…省吾の娘。母が過労死したのは鈴子と省吾のせいと思って、家を出ていた。
素直じゃない性格。 
すずふり亭の手伝いに駆り出される。(「ひよっこ2」1話)
 
井川元治(やついいちろう)…すずふり亭コック。ひょうきん者だが、「ひよっこ2」の予告編では「戦災孤児」だったことを明かしている。

安部さおり(伊藤沙莉)…本名・米子だが勝手に「さおり」と名乗っている。三男がとても好き。
結婚したが、父とは相変わらず喧嘩している。(「ひよっこ2」1話)

安部善三(斉藤暁)…米子の父で、米屋の店主。娘と仲が悪い。
パン食になった。(「ひよっこ2」1話)

◯赤坂・あかね荘とその近所
立花富(白石加代子)…あかね荘の大家さん。元赤坂の芸者で、客から恋人になった人物を思い続けていた。
どんどん元気になっている。(「ひよっこ2」1話)


島谷純一郎(竹内涼真)…みね子の初恋の相手。佐賀の製薬会社を継ぐため故郷に帰る。

久坂早苗(シシド・カフカ)…おしゃれなOL。恋人とともにアメリカに行く。

坪内祐二(浅香航大)…漫画家。貧乏だったが、やがて売れっ子に。
まだあかね荘に住んでいる。(「ひよっこ2」1話)

新田啓輔(岡山天音)…坪内とコンビで漫画を描いている。
まだあかね荘に住んでいる。(「ひよっこ2」1話)

竹内邦子(白石美帆)…バー月時計のママ。お客さんの出身地に合わせた方言で話すことを心がけている。

河本世津子(菅野美穂)…人気女優。記憶を失った実を家に住まわせていた。

福田五郎(光石研)…あかね荘の近所。福翠楼の店主。

福田安江(生田智子)…五郎の妻。

福田茜(上杉美風)…五郎と安江の養女。
養女になったばかりのときははにかみ屋だったがすっかり元気な小学生に。(「ひよっこ2」1話)

柏木一郎(三宅裕司)…あかね荘の近所。和菓子屋・柏木堂の店主。

柏木ヤスハル(古舘佑太郎)…一郎の息子。アンコが嫌いで、歌が好き。
相変わらず、犬と一緒にギターを弾いている。(「ひよっこ2」1話)


イチコ…薬局のマスコットキャラ。リニューアルしたあかね荘の制服はイチコのボディカラー。17年紅白歌合戦にも登場した。

◯向島電機 乙女寮
青天目澄子(松本穂香)…福島から集団就職して来た。のんびりしたメガネっ子。食いしん坊。おばあちゃんっ子。
あかね荘に住んでいる。(「ひよっこ2」1話)

兼平豊子(藤野涼子)…青森から集団就職して来た。学業優秀で、クイズ大会で優勝する。
あかね荘に住んでいる。(「ひよっこ2」1話)

秋葉幸子(小島藤子)…乙女寮のリーダー格でちょっぴり不良なところも。結婚して高島幸子に。

夏井優子(八木優希)…体が弱く、秋田に戻って結婚。仙葉優子に。

高島雄大(井之脇海)…乙女寮の歌の先生。幸子の恋人(のちに結婚)。音楽家をめざし、ウイーンに留学する。綿引とは思想は違うが、屋台でラーメンを食べる仲に。

松下明(奥田洋平)…向島電機、工場の主任。倒産後は電気修理の仕事をしている。
森和夫(陰山泰)…乙女寮の料理人。のちにレストランでみね子と再会する。
(木俣冬)

「ひよっこ2」
制作統括:菓子浩
演出:黒崎博 堀内裕介
音楽:宮川彬良
主題歌:桑田佳祐(「若い広場」)
タイトルミニチュア制作:田中達也
タイトル映像制作:森江康太
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