『君の名は。』や『秒速5センチメートル』などで知られるアニメーション監督・新海誠の3年ぶりとなる最新作『天気の子』が2019年7月19日より全国ロードショーとなる。
天候の調和が狂っていく時代の東京を舞台に、家出少年・帆高(ほだか)と不思議な力を持つ少女・陽菜(ひな)が自らの生き方を選択するストーリーが魅力のこの映画。今作の主人公・帆高とヒロイン・陽菜の役を務めるのは、若手俳優の醍醐虎汰朗と森七菜。ともに声優は初挑戦だ。本田翼、倍賞千恵子、小栗旬ら豪華キャストも脇を固め、まさに盤石の布陣で公開が待たれている。
今回、約2000人が参加するオーディションで選ばれた醍醐と森。主人公たちの成長に伴い、2人にもかなりの役者意識や役作り、声の表現力の成長をもたらせたこの作品について、醍醐と森がそれぞれ語る。
オーディションをみて、きっと森さんに決まると思った(醍醐虎汰朗)
――以前、2人は日本テレビ系ドラマ『先に生まれただけの僕』でクラスメイトとして共演されています。今回のキャスティングでお互いが選ばれたと知り、驚いたと同時に、知人がいることでの安心感や心強さもあったのでは?
醍醐虎汰朗(以下、醍醐):ありました。それこそ森さんとはオーディションの現場で久しぶりにお会いしたんです。久しぶり~って(笑)。
森七菜(以下、森):「あっ、あの人…!」となったのですが、私、その時にパッと名前が出てこなかったんです(笑)。「名前なんだっけ…、あっ! ごだいごだ!」って(笑)。
醍醐:名前が間違ってるし、ごだいごじゃないし(笑)。
森:でも再会できてすごく嬉しかったですし、安心感もありました。自分も緊張しているはずなのに、私が緊張のあまりため息や深呼吸をしていたら、声をかけてくれたり。かなり気を遣ってくれて。「ああ、優しい人だな」と。
醍醐:とはいえ、僕の方は以前にドラマで共演した際に、森さんと話した記憶が全く無いんです。(笑)
森:ドラマの現場では実は話してたんです! 私も名前忘れていたので人のことはあまり言えないですが(笑)。でも、ドラマでのことは私はしっかりと覚えていて。小道具にあった画材で空き時間に一緒に絵を描いたりしてたんですよ。
――きっと醍醐さんは役に没頭していて、それでどころではなかったんでしょう(笑)。
醍醐:も、もちろんそうです(笑)。『天気の子』のオーディションの時は何人かの方と一緒にやらせてもらったんですが、これは森さんに決まるだろうという直感がありました。オーディションを終えた時にも自分のマネージャーさんに「きっと森さんに決まると思います」と告げていたりして。
――その直感はどこから?
醍醐:本当にヒロインの陽菜っぽかったんです。あとは一緒にやっていてすごく楽しかったんです。
――森さんはオーディション時の醍醐さんはいかがでしたか?
森:当日は自分のことでいっぱいいっぱいだったんですが、終わったあとに私もマネージャーに「もし私が決まったら相手は醍醐くんがいいな」と伝えていました。醍醐くんと一緒にやっていた時が一番上手くいった気がしたんです。何より楽しかったし。
――本作では、約2000人のオーディションの中から2人が選ばれたわけですが、何か「これが決め手だった」とお聞きしましたか?
醍醐:僕、新海誠監督に直接聞いたことがあって。その際に、「醍醐くんが主人公のキャラクターである帆高に似てたから」とおっしゃって下さったんです。正直、自分では実感がなかったんですが……。
森:私は「天気みたいに表情が変わるところが一番理想と近かったから」との理由だったとお聞きしました。あとは「陽菜(という役)を教えてくれそうな気がした」とも。嬉しかったんですが、私自身まだ当時は陽菜のことが全然理解できてなくて。その言葉がずっと心にありながらお芝居をしていました。時折、「果たして私は今、陽菜になれているのかな」と自問自答しなから演じてましたね。
CV初挑戦だったので、神木隆之介さんに心構えを尋ねたんです(森七菜)
――醍醐さんは帆高の役にどのような印象を受けましたか?
醍醐:演じながら思い浮かんだのは、「ああ、帆高は本当に真っすぐな子なんだな」ってこと。帆高は良くも悪くも一直線で物事を考え、それがいい方向に行くのか? 悪い方向に行くのか? が角度によって変わってくる印象があったんです。その分、自分もあえて周りのことを気にせず、目の前に起こっている現実だけと向き合ってお芝居をするようにしました。
――森さんの陽菜の方はいかがでしたか?
森:私の感じた陽菜の印象はまさしく「天気の子」で。それは私にも通ずるところがありました。私もちょっと気まぐれな面があるので。逆に積極的でお姉ちゃんっぽい面もあるキャラクターなんですが、それは実際の自分とは真逆でしたね。私自身は、人にお世話をされて生きているタイプなので(笑)。
――ははは、そうなんですか。
森:私、東京に来ている時はマネージャーさんの家に泊まっているんですが、脱いだものから、こぼしたものから全部周りの方が気づいたらケアしてくれるんです(笑)。現場でも醍醐くんにかなり引っ張ってもらった記憶があって。分からない箇所があると毎度丁寧に教えてくれて、まるで先生みたいでした。
醍醐:照れるから止めて下さいよ~(笑)。
――新海監督からは何かキャラクター設定について指示を受けたりしたんですか?
醍醐:ある程度の境遇等の説明はありましたが、それ以降は「醍醐くんが帆高であり、帆高が醍醐くんだから」と任せていただいて。「自然体にリラックスしてやって欲しい」とだけ言われました。もちろん自分なりの役作りはしましたが、その言葉のおかげで自分に自信を持つことができて。“何があっても帆高は僕なんだからブレることはないだろう”という安心感はありました。やっていくうちに映画内の帆高もですが、自分も成長していく実感があったんです。
森:私もそこまでは役作りはしていなくて。やっていくうちに役が作られていく実感がありました。あと、以前ドラマで二度ほど共演したことのある、神木隆之介さん(前作『君の名は。』にて立花瀧のCVを担当)に心構えみたいなものを尋ねたんです。そのなかで、「抑揚は自分が思っているほど、実際は出ていないから特に意識した方がいい」ということで。にも関わらず、意識して強調してやったつもりでも、まだ足りない、まだ足りないって自分で感じちゃって……。声優さんの抑揚の付け方の難しさを知ると同時に、それができる声優さんを改めて尊敬しました。
声優経験はないけど、俳優の自分らしさが出せたら(醍醐虎汰朗)
――プロの声優ではなく俳優である自分たちが選ばれたことで、逆に役者の自分たちだからできる何かがあるんじゃないかと考えたりは?
森:逆にそればかりを考えてました。映像での芝居をやっている私だからこそできる表現があるんじゃないかって。もちろん声優さん的なテクニックも必要だし重要だけど、俳優ならではの良さは消さずにやるように意識して挑みました。
醍醐:僕も同じです。声優経験はないけど、俳優の自分らしさが出せたらなと思っていました。特に新海監督の作品は、描写も非常にリアルで実写に近い部分もあるので。
――これまでの俳優業と決定的に違ったのはどこでした?
醍醐:ずっとマイクの前で演じなくちゃいけないところでした。初めての経験だったので当初は戸惑いましたね。それこそセリフを喋っている際に手持ち無沙汰で身体をどう使っていいか? が全然わからなくて(笑)。
森:私もこれまでやってきた役者としての表現とはまるっきり異なっていたので、最初はすごく戸惑いました。あとは自分の気持ちだけでできないところは特に難しかったです。
――その「自分の気持ちだけでできない」というのは?
森:陽菜の気持ちに合わせなくてはいけないので。常に陽菜の気持ちを理解できる人でなくちゃならない。それから一つのキャラクターの中でも色々な声のバリエーションをつけなくちゃいけなかったり。それこそ“試されてるな、私”と想いながらずっと挑んでました。
年齢問わず、老若男女のみなさまに観てほしい映画(森七菜)
――映画中で印象に残っていたシーンがあったら教えて下さい。
醍醐:観た方のお楽しみもあるので、詳しくはお伝え出来ませんが、やはりラストシーンですね。そこで全ての話が集約される感があって。もう帆高としても自分的な目線としても最も心が動かされました。
森:私は映画の中で好きなシーンは帆高と凪(陽菜の弟)とともに晴れ女ビジネスをやるシーンで。実際に自分たちがやっているようで楽しかったです。質問とは多少違いますが、醍醐君のことを“凄いな……”と感じた場面があって。醍醐君が苦戦してなかなかアフレコがハマらなかった時があったんです。“どうしようか”とみんなで思案していた時に、醍醐くんが「いったんちょっと集中してきます」と消え、しばらくして戻って来たんです。その際は一発OKで。もう耳を疑うぐらいバシッと。あのとき、醍醐くんは何をしてたの?
醍醐:自分と向き合う感じで、控室の更に奥の控室に閉じこもって部屋を真っ暗にして集中力を高めてました。
――そんなこともあったんですね。では、最後に映画の見どころを。
醍醐:新海監督の作品はやはり風景描写が圧倒的に綺麗だと思います。背景や景色はもちろん、部屋の本の背表紙の一つ一つにまで書体を変えたり、台所でも食器の向きを変えたり等々、細かくリアリティを込めて書き込んでいらっしゃるので、その一瞬を切り抜くのも見どころが沢山ですが、それが大きなスクリーンで流れるなんて本当に贅沢なことだなって。それもあり、きっと何度も観返したくなるでしょう。あとは映像と音楽の組み合わせはさすが新海監督とRADWIMPSさんのコンビだなと。その辺りも是非劇場で体感してほしいです。
森:ストーリーも魅力的で、この夏の最高のエンタテインメントなのでぜひ観に来て欲しいのと、それこそ幅広い方々が楽しめる映画だし、誰もがどこかで共感してもらえる場面があったり、気持ちを重ねたり、同じ気持ちに浸ってくれるんじゃないかなと。年齢問わず老若男女のみなさまに観てほしい映画です。
取材・文/池田スカオ和宏 撮影/稲澤朝博
編集/日野綾(エキサイトニュース編集部)
森七菜
ヘアメイク/佐藤寛(KOHL) スタイリスト/申谷弘美
衣裳協力:&lottie、AS NOW AS PINKY、JELLY BEANS
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応募受付期間:2019年7月16日(火)~7月30日(火)23:59まで
映画『天気の子』の公開を記念して、2名様に醍醐虎汰朗さん&森七菜さん直筆サイン入りチェキをプレゼントいたします。#天気の子 #新海誠 #醍醐虎汰朗 #森七菜 @tenkinoko_movie @arbre_staff @daigokotaro
— エキサイトニュース (@ExciteJapan) 2019年7月16日
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(エキサイトニュース編集部)
作品情報
天気の子
2019年7月19日(金)
原作・脚本・監督:新海誠
音楽:RADWIMPS
声の出演:醍醐虎汰朗 森七菜
本田翼 吉柳咲良 平泉成 梶裕貴 倍賞千恵子 小栗旬
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:田村篤
美術監督:滝口比呂志
製作:「天気の子」製作委員会
制作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝
公式サイト:https://www.tenkinoko.com/
(C)2019「天気の子」製作委員会
■ストーリー
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。