戦争に翻弄される根来家に、つらい運命が次々と襲いかかる。
昭和の芸能人はヤクザとの付き合いなんて普通!?
週後半の「道」パートの重い展開のせいで、すっかり印象が薄くなってしまったが、週前半の「やすらぎの刻」パートも、なかなか衝撃的な展開だった。
まずは、乃木坂テレビで繰り広げられた騒動の後日談。
往年のスターたちに無礼な態度を取った上、老人にボコボコにされた情けないヤツらという非難が集まってしまった豊臣家康(木下ほうか)率いる豊臣軍団は、老人たちに復讐をするため「やすらぎの郷」へ向かう。
やはりこの豊臣軍団、たけし軍団をモチーフにしているのだろう。「フライデー編集部襲撃事件」ならぬ「やすらぎの郷襲撃事件」だ。自動車に乗り込む豊臣家康の、クイッと首をひねる動作も明らかにたけしだ。
「やすらぎの郷」に乗り込もうとした豊臣軍団だが、途中の山道で、秀サン(藤竜也)を「オレたちの神様」と崇めるヤクザが待ち構えており、行く手を阻まれる。
「お年寄りの眠りを妨げようっていうんなら、そりゃあちょっと行儀が悪いぜ」
「見ての通りこの辺はな、山奥で誰ひとり通りゃしねえ。兄さんたちの穴をあっちにいくつか掘ってあらあ。穴に入ったらな、土をかけてやるから静かに眠るか?」
反社会的勢力との交際がどうこうと、これだけ騒がれている時期に、昭和の時代の芸能人は、ヤクザとの付き合いなんて当たり前だと言わんばかりの展開。よく放送したな……。
戦争に翻弄されすぎな根来家がつらい
豊臣軍団との騒動も(ヤクザのおかげで)落ち着きを見せ、ようやく、周囲からの雑音をシャットアウトした菊村栄(石坂浩二)が執筆を再開した「道」パートは、引き続き召集令状を受け取った三平(風間晋之介)問題。
行方不明となっていたしの(清野菜名)に会えたことで徴兵される覚悟を決めたのかと思いきや、
「戦争に行くのはやっぱりオレ、嫌だ。どう考えても殺し合いはできん。
なんて言い出した。
徴兵破りをして山奥に逃げ込んだいとこの鉄兵(平山浩行)のように、自分も山へ逃げたいと考えているようだ。
しかし鉄兵が逃げた時でさえ、根来家は厳しい取り調べを受けていた。さらに三平まで徴兵破りをしたとなっては、あれ以上のヒドイ目に遭わされることは必至。家族を守る長男・公一(佐藤祐基)の立場としては許すわけにはいかないだろう。
「日本は今、列国相手に一生懸命みんなで戦ってるんだ! お前ひとりだけ逃げようなんて、そんな事は許されん!」
「金もいらんし豊かにもならんでいい。今までどおりの貧しい暮らしでいい。貧しくてもこの村で一家が楽しく固まって……」
「いつもみんなで話し合ったわしらの夢じゃ。その夢を果たさんで……死ぬのはたまらん!」
当時は日本全体が「戦争に勝ったら日本人みんなが豊かになって、全部が上手くいく!」という雰囲気に流されていたと思われるが、三平のように、戦争に巻き込まれるくらいなら「今までどおりの貧しい暮らしでいい」と考える人も多かったんじゃないだろうか。
結局、戦争に行くことにも耐えられず、逃げることも止められた三平は、その夜、毒を飲んで自殺してしまう。
かつて軍人から「お国のために命を投げ出す覚悟はあるか?」と聞かれた際、ばか正直に「死ぬのが怖いからであります! 命を捨てるのが恐ろしいからであります!」と答えてボコボコにされていた三平。その三平が、自ら命を捨ててしまった。
あれほど怖れていた「自分が死ぬこと」以上に、「他人を殺すこと」に耐えられなかったのだろう。
家族を守るため仕方なかったとはいえ、結果的に三平を死に追いやってしまった公一の気持ちを考えるとつらすぎる!
さらに、追い打ちをかけるように、海軍に入隊した公次(宮田俊哉)が戦死したという報せまで届く。根来家、戦争に翻弄されすぎだ。

戦争よりも気になる誰の子なのか問題
たたみかけるような重い展開となった今週だが、最後の最後の予告で、すべてを吹っ飛ばすような発言が。
「実は私、お腹に赤ちゃんがいるの」
しのちゃん……妊娠しとったんかい!
いずれ、公平と結婚することが確定しているしのちゃん。三平が死んだことで、悲しみを埋めるためにイキオイで……みたいな展開を予想していたが、まさの妊娠!
相手が三平で、その子どもを一緒に育てるために公平と結婚というのなら、まだ救われるが、既に妊娠6ヵ月ということで計算が合わなそうだ。
激しさを増していく戦争以上に気になってしまう、しのちゃんの妊娠問題。お相手によっては、もう立ち直れない!
【配信サイト】
・Tver
『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日)
作: 倉本聰
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
主題歌: 中島みゆき「進化樹」「離郷の歌」「慕情」
音楽:島健
チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)、山形亮介(角川大映スタジオ)
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日
【配信サイト】
・Tver
『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日)
作: 倉本聰
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
主題歌: 中島みゆき「進化樹」「離郷の歌」「慕情」
音楽:島健
チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:中込卓也(テレビ朝日)、服部宣之(テレビ朝日)、山形亮介(角川大映スタジオ)
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日