三浦春馬、多部未華子が3度目の恋人役で共演した映画『アイネクライネナハトムジーク』が、9月20日(金)より全国公開となる。
シンガーソングライターの斉藤和義が、作家・伊坂幸太郎に自身の曲への作詞をオファーしたことをきっかけに生まれた連作小説集『アイネクライネナハトムジーク』を原作に、それぞれ異なる物語の主人公たちをひとつの映画に集結させて描かれた今作。会社員・佐藤(三浦春馬)と、その恋人になる紗季(多部未華子)とのストーリーをメインとしつつ、さまざまな人たちの出会いが温かな目線で綴られ、観たあとには自然と微笑んでしまうような作品となっている。
エキサイトニュースでは、佐藤の友人の高校生の娘・美緒(恒松祐里)の同級生・久留米和人を演じた萩原利久にインタビュー。子役時代から培われた演技力でさまざまなキャラクターを表現し、今年は菅田将暉主演のドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)でもキーパーソンとなる生徒役を好演。2019年、注目の若手俳優のひとりに名前を挙げられる萩原が、今作のことや、自身の転機となった菅田将暉との出会い、今、二十歳の彼が感じる大人とは? など、たっぷりと語ってくれた。
取材・文/瀧本幸恵 撮影/山口真由子
スタイリスト/鴇田晋哉 ヘアメイク/Emiy
“ザ・高校生”を意識した役作り
――最初に脚本を読んだときの感想を聞かせてください。
萩原利久(以下、萩原):面白かったです。ただ脚本を読んだときと、スクリーンで完成作を観たときの印象はまた違いました。もともとはそれぞれの話(原作は6編からなる小説)があって、一編、一編は視点も状況も違っているじゃないですか。だから脚本では、僕は自分が演じる久留米のパートだけ理解すればいいじゃないですけど、それくらい割り切って、僕らのパートをどんな物語にするか、っていうのを考えていたんです。
けど、つながったものを観てみたら、三浦さんのパートでしていることを、僕たちのパートでもしていたりとか、そういう小さなつながりが散りばめられていて。実はシンクロしてる部分を、僕は脚本の時点では探し切れてなかったな、って。なので、原作も素晴らしいのですが、今泉(力哉監督)さんマジックというか、映画でつながったものを観るとまた違った面白さもありました。こんなにそれぞれの話がつながって、一本のものになっているとは思っていなかったですね。
――演じられた久留米和人というキャラクターは、観ていて「こういう高校生っているよね~」って、言いたくなる人物でした。
萩原:こういう高校生っていますよね(笑)。“ザ・高校生”っていう感じだったので、そこはしっかり見せていきたいなと意識していました。なかなか思ってることが言い出せない感じだったり、親に対して、俺は(あなたたちとは)違うんだぞ、っていう感覚だったり。今、高校生の人も、かつて高校生だった人も、どこかしら、わかる~っていうポイントがあるのが、この久留米くんっていう役なのかな、って。今まで演じたどの高校生役よりも、一番“高校生”っていうワードを意識して参加した作品ですね。
――久留米が最初に登場するシーンにもなるのですが、ファミレスで親に反抗しているところは、「こういうのあるよね」って、思わず笑ってしまいました。
萩原:僕も学生の頃は、「こんな大人にはなりたくない!」とかって考えてた時期があったんです。大人から言われることに対して、「僕はそう思わない」「俺はもっとこんなこともできる」みたいな。謎の反抗心ってあるじゃないですか(笑)。ただ今となって振り返ると、自分、とんがってたな、って思います。別にあんなことを言う必要はなかったし、そもそも怒られてるとかじゃなくて、普通に提案してくれただけのことに、「僕はそうじゃない!」とかって言ってましたから。恥ずかしいですね(笑)。
――そういう自分の高校時代を振り返らせる要素が久留米にはたくさんありますよね。
萩原:そうですね。僕の中で久留米くんは理想の高校生でもあるんですよ。チャリ通とかもしてみたかったし、ああいう何気ない日常が溢れる高校生になりたかった。だから自分とは違う遠い存在でもありつつ、考えていたことはすごく近かったり、遠いけど近い、みたいな存在でしたね。演じていても楽しかったです。僕が憧れてたシチュエーションとかもあったので、演じながら高校生を満喫していたと思います。
――恒松祐里さん演じる美緒とのやり取りもキュンとするものがあって。
萩原:楽しそうですよね。結構、(恒松と)2人でも、この感じいいよね、って話してました。自転車置き場で犯人捜しをするシーンとかも、ノリノリでやってました(笑)。祐里ちゃんもこういうのを前のめりでやってくれる明るい子なので。現場で彼女から出てくるものがすごく面白くて、それをお互いに受け合ってお芝居ができたと思います。
それから、今泉さんがピックアップしてくれるものもすごく面白いんですよ。階段ダッシュとかも意味わからないですよね(笑)。ロッキーっぽくやってみたりとかも。そういうアイディアが次々と出てくるので、僕としてはそれをノリノリでやってたっていう感じです。だからすごく現場が楽しかったですね。
「俺、もう高校生じゃないんだ」。初めて意識した“年齢”
――今泉監督の演出で印象に残っていることはありますか?
萩原:さっき、“高校生”っていうワードを意識したって話をしましたけど、演じていた当時、僕は19歳で、そのときに今泉さんがポロっと「高校生ってもっと幼いんじゃない?」みたいなことをおっしゃったんです。自分が現役の高校生のときは、意識しなくとも高校生感って出ていたんですよね。そのときは気にかけたこともなかったけど。だから、その言葉を聞いたとき「あっ、俺、もう高校生じゃないんだ」っていうのをすごく感じたんです。もうフラットにしてたら高校生感は出ないんだ、って。それをきっかけに“高校生”っていうものを考えるようになりましたし、演じる上で“年齢”っていうものを考えるきかっけになりました。
――そうだったんですね。
萩原:それを言われたのが、確か、リハーサルのときだったと思うんですけど。最後にポロっとおっしゃった言葉が、僕にはズシッと残って。核心を突かれたようなところもあったんだと思います。だからリハーサルのときの久留米くんと、現場に入ってからの久留米くんって、像としては一緒かもしれないですけど、テンションだったり、キャラクターの色みたいなものはすごく変わってると思います。自分が最初のインスピレーションで作った役と、その言葉を受けてから再構築した役とは全然違うと思いますね。
あとは、演出法で言うと、今泉さんはすべてを肯定してくださるんですよ。僕らから出たアイディアを「面白いですね」って言ってくれる。もちろん今泉さんにもご自分のプランがあるんですけど、最終的に僕らの案を「いいですね」って言って、使ってくださるんです。ただそうやって作っているのに、最終的に完成作を観ると、ちゃんといろんなつながりができているじゃないですか。それは、何でだろう?って。不思議ですね(笑)。
――では、わりと萩原さんのアイディアが反映されているシーンも?
萩原:ウィストン小野(成田瑛基)が負けて、わーーー! ってなるところとか。最初はもうちょっと内にこもるイメージだったんですけど、僕があの感じのパターンをやって。他にも何パターンか撮ったんですけど、結果的にあれを使ってくださっていて。それは嬉しかったですね。
――あそこも「こういう子いそう」って思って、笑えました。
萩原:高校生って1人でいたらこれくらい感情的だよなって思って。面白くできてよかったです(笑)。
菅田将暉との出会いで進む方向が明確に変わった
――萩原さん自身は、どんな高校生だったんですか?
萩原:ちょっとひねくれてましたね(笑)。まさしく親に反抗する久留米くんのように、僕はそれを学校の先生に対してやっていた感じです。ホント、なんなんでしょうね、あの感じは。友達は広く浅くというより、一部の子と深い方のタイプでした。未だに高校3年間一緒だった友達とは会ってますし。クラスの中では中心にいるような感じではなかったですね。かと言って、一匹狼的な感じもなく。周りから見たらよくわかんないヤツだったかもしれないです(苦笑)。こいつ、何考えてるんだろう、って思われる感じだったと思います。
――(笑)。思い出に残っている学校行事はありますか?
萩原:高校のとき、体育祭には1回しか出られなかったんですけど、そのときは全力of全力ですよね(笑)。他の2年は予行を本番だと思ってやりました。普通はみんな予行ってだらだらやるじゃないですか。でも、僕一人だけマジでやる、みたいな。走るのは得意だったので。
――そしたら体育祭はヒーローになれますね(笑)。
萩原:楽しいですね。僕、高校は体育をモチベーションに通っていたので(笑)、体育祭は最高でした。
――この映画はいろんなエピソードが集まって、ひとつの物語になっていますが、運命と感じるような劇的な出会い方をするんじゃなくて、振り返って運命だったと思うような出会いが、運命の出会いだっていうエピソードは深いな、と思いました。
萩原:これから先も出会いはたくさんあるとは思いますけど、すでに出会った人を改めて振り返りたいな、と思いました。今、出会っている人たちも、大人になって振り返るとまた違った見方になったりするのかな、って。何気なく現場で会って、ありきたりの出会いをした人も、振り返ると意外に面白い出会いになったりするのかな、とか。人生が先に進んだとき、この出会いを振り返ることが楽しみになりましたね。
――萩原さんにとって、今思う、運命の出会いというと?
萩原:やっぱり菅田(将暉)くんですね。出会ったドラマのタイトルも『運命の人』(菅田の弟役として出演)でしたし。今の自分がお芝居をしているのは、菅田くんとあのドラマでああいう形の出会いができたからだって、間違いなく思うので。もともとは違う役でオーディションを受けたんですけど、そっちはダメで、代わりに菅田くんの弟役になって。そこで初めて出会って、直に菅田くんを見て、追いかけるように今の(菅田と同じ)事務所に入った。自分の進む方向が明確に変わりましたし、逆に人生であそこぐらいだと思いますね、運命の出会いと言えるのは。
――「こんな大人になりたくない」というセリフもありましたが、萩原さんは今年の2月で二十歳になって、いわゆる“大人”になりました。今、どんな大人になりたい、って思っていますか?
萩原:人間的に大きな人になりたいですね。ちゃんと物事を考えられる人。あとはなんだろう……わからない(笑)。わからないから“考えられる人”ですよ。ていうか、こんな大人ですよ、なりたくないのは。10年前の僕が思い描いていた10年後の自分って、確実に今の自分ではないですよ。もっとスマートで頭が切れるのをイメージしてました。とはいえ、10歳の僕も、僕なので、大したことは考えられてなかったと思いますけど(笑)。でも、大人って何なんですかね?
――それって難しいですよね。永遠のテーマのようなものでもあるし。
萩原:まず大人ってものが何かわかってないかも(苦笑)。でも最低限、自分の責任は自分でとれる人ではいたいですね。一つひとつの物事に責任を持って取り組める人にはなりたい。せめて30歳までにはなっていたいな。
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映画『#アイネクライネナハトムジーク』の公開を記念して、#萩原利久 さん直筆サイン入りチェキを1名様にプレゼントいたします
— エキサイトニュース (@ExciteJapan) September 19, 2019
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(エキサイトニュース編集部)
作品情報
映画『アイネクライネナハトムジーク』
9月20日(金)全国ロードショー
出演:三浦春馬、多部未華子、矢本悠馬、森絵梨佳、恒松祐里、萩原利久、貫地谷しほり、原田泰造
原作:伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)
主題歌:斉藤和義「小さな夜」(スピードスターレコーズ)
監督:今泉力哉
脚本:鈴木謙一
(c)2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
公式サイト:https://gaga.ne.jp/EinekleineNachtmusik/
ストーリー
仙台駅前。大型ビジョンを望むペデストリアンデッキでは、日本人初の世界ヘビー級王座を賭けたタイトルマッチに人々が沸いていた。そんな中、訳あって街頭アンケートに立つ会社員・佐藤(三浦春馬)の耳に、ふとギターの弾き語りが響く。歌に聴き入るリクルートスーツ姿の本間紗季(多部未華子)と目が合い、思いきって声をかけると、快くアンケートに応えてくれた。紗季の手には手書きで「シャンプー」の文字。思わず「シャンプー」と声に出す佐藤に紗季は微笑む。
元々劇的な“出会い”を待つだけだった佐藤に、大学時代からの友人・織田一真(矢本悠馬)は上から目線で“出会い”の極意を説く。彼は同級生の由美(森絵梨佳)と結婚し、2人の子供たちと幸せな家庭を築いている。変わり者ながらも分不相応な美人妻と出会えた一真には不思議な説得力がある。
佐藤は職場の上司・藤間(原田泰造)にも“出会い”について相談してみるが、藤間は愛する妻と娘に出て行かれたばかりで、途方にくれていた。一方、佐藤と同じく“出会い”のない毎日を送っていた由美の友人・美奈子(貫地谷しほり)は、美容室の常連客・香澄(MEGUMI)から紹介された、声しか知らない男に恋心を抱き始めていた。
10年後。織田家の長女・美緒(恒松祐里)は高校生になり、同級生の和人(萩原利久)や亜美子(八木優希)と共にいつもの毎日を送っている。そして佐藤は、付き合い始めて10年になる紗季に、意を決してプロポーズをするが……。
プロフィール
萩原利久(ハギワラリク)
1999年2月28日生まれ、埼玉県出身。2008年より子役としてキャリアをスタート。以降、数々のドラマ、映画、舞台などに出演。2019年は1月期にドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ)に出演し、主要な生徒役の一人を演じて注目を集め、4月期のドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京)にて、主演を務める。映画は『十二人の死にたい子どもたち』(1月公開)、『あの日のオルガン』(2月公開)と出演作が続き、今秋は今作の他、『恐怖人形』が公開予定。