
2016年8月にYouTubeで活動をスタートし、これまで総再生回数3億回以上、チャンネル登録者数48万人と、“日本一の野球チャンネル”として絶大な支持を集める「トクサンTV」。同チャンネルの主役を担うトクサンは、帝京高校時代に甲子園を経験、創価大学では主将として全国ベスト4やリーグ首位打者のタイトルを獲得した野球エリートだ。プロ野球のドラフト候補にもリストアップされたキャリアを持つ彼による説得力抜群の技術解説や、気のおけない仲間たちと全力で野球を楽しむ姿勢は、全国の野球少年や草野球を楽しむプレイヤーたちを夢中にさせている。
そんなトクサンが、このたび2冊目の著書『トクサンTVが教える 超守備講座』(KADOKAWA)を刊行。動画や書籍を通じて、既存のメディアとは異なる方法で野球の魅力や奥深さを伝えている彼が、ともに「トクサンTV」を運営する“相方”のライパチとともに、挫折の連続だったこれまでの足跡や、野球への熱い思いを語ってくれた。

「野手はアウトにしてなんぼ」トクサンが語る守備のイロハ
――『トクサンTVが教える 超守備講座』では守備の基本がとにかく楽しく、かつわかりやすく解説されていますね。子供のころに読んだ野球の教本はすごく字が多かった記憶があるのですが、そういったイメージとは真逆の一冊でした。
トクサン:ありがとうございます。本の読みやすさについては、完全にKADOKAWAさんのパワーですけどね(笑)。今回の本ではあくまでも守備のイロハの「イ」の部分を解説しているんですけど、だからこそ初心者の方はもちろん、野球がうまい人にも読んでみてほしい。自分の成長のためにも人に教えるためにも、一度目線を落とすことが必ず必要になってくると思うので。
ライパチ:お子さんや、少年野球のコーチの方にもぜひオススメしたい内容です。
――守備の目的を「アウトにすること」と明確に定義づけているのがとても印象的です。また「両手で捕れ」や「体で止めろ」といったセオリーも否定しています。
トクサン:「守備がうまくなる」の先に、「アウトにする」という一番大事な部分が欠けている指導が多い気がしていたんです。選手は選手で、「うまくなろう」の矛先が違うな、と感じることが少なくない。尖ったことを言うと、「カッコよく見せよう」とか「速くプレーしよう」というのは“補欠の論理”。僕の高校時代がまさにそれで、試合での守備は全然ダメでした。要するに試合で使えないプレーばかりなんですね。大学野球での経験を踏まえたうえで、僕は「野手はアウトにしてなんぼだ」という結論に落ち着きました。
ライパチ:結局のところ野球の守備って、どれだけカッコよくてもセーフになったら意味がないですからね。
――こと守備について、現在のプロ野球で「この人を見てほしい!」という選手を教えていただけますか?
トクサン:西武の源田壮亮選手です。一流のプロ野球選手さえも認めるくらいなので、とんでもない守備力なのではないかと思います。どうやったらあんなプレーができるんだろうと見とれてしまいます。いつか源田選手と、ぜひ動画でコラボしてみたいですね。
ドラフトで指名されず「俺の野球人生は終わった」

――名門・帝京高校のベンチメンバーとして甲子園を経験し、創価大学ではドラフト候補としてプロのスカウトから声がかかるほどの存在になったトクサン。やはり少年時代から夢は「プロ野球選手」だったのでしょうか?
トクサン:小学生のころからプロ野球選手になることが目標で、「絶対に帝京高校に入って甲子園に行くんだ」と決めていました。当時は甲子園に出ないとプロになれないと思っていたので(笑)。実際、3年の夏の甲子園ではベンチメンバーとしてベスト4に入りましたけど、正直、周りの選手がすごかっただけ。高校時代は「上には上がいる」とイヤというほど思い知らされました。
――それでもプロへの道を諦めず、大学で野球を続けようと決めた理由を教えていただけますか?
トクサン:甲子園の開会式に出たときに、帝京の中で一番背が低かったので最後尾だったんですけど、他の高校には僕より小さい人がたくさんいたんですよ。そこで「あれ? 俺、チビって言われているけど、意外とちゃんとした体格してるじゃん!」と思って(笑)。加えて他校の試合を見て、「あの選手がレギュラーなら、俺も絶対に上のレベルでできる!」と謎の自信が沸いてきたんです(笑)。今にして思えば、失礼な比較なんですけどね。
大学では2年生からスタメンで起用してもらえるようになりました。投げる、打つ、守る、すべての面でレベルアップできましたし、セーフティバントを覚えたことも大きかった。引き出しがどんどん増えて、プレーの幅が一気に広がりました。あらためて「野球って面白い!」と思いましたね。堀内さんというカリスマ的なコーチに出会って、さまざまな技術を叩き込んでもらえたのが本当にありがたかったです。
――大学のハイレベルな環境に揉まれ、4年生時は創価大学のキャプテンに就任。プロのスカウトから声をかけられたときの心境はいかがでしたか?
トクサン:正直、キャプテンだったのでドラフトのことは忘れていたんです。日本ハムに入団した八木智哉さんをはじめ、ひとつ上の先輩たちのチームが本当に強かったので、僕たちの世代がダメだったらなにを言われるかわからない。下級生たちにとって居心地がいい環境を作ったり、コミュニケーションをたくさんとったり、とにかくチームのことを第一に考えていました。そんな中でスカウトの方から声をかけられて、「あれ? もしかしたらプロの道があるのか?」と……。
――迎えた2006年のドラフト会議では2球団の指名候補になりながら、最後まで指名はされませんでした。当日はどんな気分で過ごしていたのでしょうか?
トクサン:今となっては笑い話ですけど、ドラフト会議の後は「ああ、俺の野球人生は終わったんだな」と感じていました。プロ一本に絞っていたこともあって、ドラフトの時期には実業団野球の採用枠も埋まっていましたし、独立リーグも今ほど盛んじゃなかった。現実的に、もう二度と野球をやることはないだろうと。

――なるほど……。あと一歩でプロ入りが叶わなかったトクサンとは違い、ライパチさんはごくごく普通の野球少年だったそうですね。
ライパチ:僕は元々柔道をやっていて、中学校から軟式野球を始めました。「ライトで8番」を略した名前の通り、ずっと外野手一筋です。高校時代は、レギュラーでもなんでもなかったですね。大阪から埼玉の高校に転校したときは「大阪のやつだ」って妙に期待されていたんですけど、最終的にはスタンドにいましたから(笑)。それでもやっぱり野球が好きだったので、大学でもサークルに入って友達と遊びで野球をして過ごしていました。
――トクサンはライパチさんのように、趣味として野球を続けようとは考えなかったのでしょうか?
トクサン:僕が通った道では、そういった考えには至りませんでしたね。ドラフトにかからず意気消沈している当時の自分に声をかけられるのなら、「野球界はもっと広いよ」と言ってあげたいです(笑)。
ライパチ:僕は逆に、もしやり直せるんだったら小学生の自分に「きちんと野球やれ!」と言いたいですね(笑)。もちろん今までの人生があるからこうして野球に関わっていられるんですけど、もう1回しっかりやってみてくれ、と。
トクサン:たしかにライパチ少年が真面目に野球に打ち込んだ未来を見てみたいよね! 僕は一生懸命にやったつもりだったけど、それでもプロには届かなかったから。

野球とは「人生をとても豊かにしてくれるもの」
――トクサンはその後、紆余曲折を経てライパチさんやプロデューサーのアニキさんが所属する草野球チーム「天晴」に入団。ひょんなことから「トクサンTV」をスタートすることになりました。動画の投稿を始めたころは、ここまで多くの人に見てもらえるチャンネルに成長すると想像できましたか?
トクサン:僕自身は最初に動画に出たときは全然意識していなくて、アニキとライパチが盛り上がっている感じでした(笑)。
ライパチ:当初は「ライパチボーイTV」だったんですけど、トクサンがバッティングの技術を解説する動画の再生回数が伸びたときに「これはトクサンを前に出した方がいいな!」と(笑)。すぐに「トクサンTV」に切り替わりました。とはいえ、ただただ自分たちが楽しく野球をしていることを伝えたいだけだったので、ここまで大きくなるとはまったく考えていませんでした。とりあえず3ヶ月やってみよう、じゃあ次は半年やってみよう、と続けてきた結果ですね。
トクサン:ただ、アニキには「これは面白くなる」という確信があったみたいです。1年目や2年目のヒット企画のアイデアの大半はアニキ発でした。アニキはテレビ業界の人なんですが、やっぱり一般の人にはなかなか思いつかない発想力を持っているんですよね。そういったプロのノウハウを、僕たちのような素人に遠慮なくぶち込んできた結果、今の「トクサンTV」が出来上がったんだと思います(笑)。

――それぞれの長所が噛み合ったことによる化学反応ですね。動画への反響で、特に印象に残っているものを教えていただけますか?
トクサン:本当にたくさんありますけど、「野球をやっていないのに面白い」といった声や、息子さんや娘さんが野球をやっている方から「参考に見ているけど、すごくわかりやすい」と言っていただけることですね。コアな野球ファンだけでなく、ビギナーの方にも届いているのが嬉しいです。
ライパチ:僕たちの動画を見てもう一度野球を始めたという人や、「下手だけど楽しんで野球をやっています」といったコメントはやっぱりありがたいです。僕も下手寄りの人間なので、「ライパチよりうまくなります!」というコメントを見て「おお!」みたいな(笑)。
――仕方のないことではありますが、進学や就職、結婚といった人生の節目で、野球というスポーツから離れていく人が多いように感じます。そういった人に向けて、おふたりから伝えたいことはありますか?
トクサン:難しいところですよね。僕たちの動画を見て楽しんでくださる方が、実際に野球をやるかどうかは別だと思っているところもあるんです。極端な話、無理をして野球をやらなくてもいい。言うまでもなく、家庭や生活をないがしろにしてまでやる必要はないですから。ただ、ずっと野球を好きでいてほしいなとは思いますね。好きでさえいてくれれば、年齢に関係なくやりたくなるタイミングが必ずあるはずなので。
ライパチ:そうですね。もちろん、野球から離れていた人が戻ってきてくれるのは嬉しいことですけど……。実は野球をやれる環境って、意外とたくさんあるんです。草野球は強いチームも弱いチームもありますし、活動する頻度や時間帯もバラバラ。いざやりたくなったら、ぜひ自分の生活スタイルに合った場所で「もう一度どうですか」という気持ちはあります。

――おふたりにとって、あらためて野球とはどんなスポーツなのでしょうか?
トクサン:人生そのもの、というとありきたりすぎるかなぁ……。
ライパチ:それがなくなったら、なにをしていいかわからなくなるもの、ですかね。僕の人生になくてはならないものです。
トクサン:人生をとても豊かにしてくれるものであることは間違いないですね。学生時代はつらい気持ちになることもありましたけど、それも含めてかけがえのないもの。体が動くかぎりは続けていたいです。土手のグラウンドで、白髪のおじいさんたちが普通に野球をしている姿を見ると、「僕の目標はここにある」としみじみ思います。
――今後、大好きな野球をどのように盛り上げていきたいですか?
トクサン:正直、まだわからないです! しっかりと継続した先に、なにか答えが見えるのかなぁ……。野球の歴史は深いので、たかだか「トクサンTV」を始めて3年そこそこの僕らがどうにかできるほどのものではないとは思っています。それでも、野球に携わる人たちに「いいね!」と思ってもらえるようなチャンネルであり続けたいですね。
ライパチ:同じくですね。ひとりでも多くの野球ファンに楽しんでもらえること。それに尽きると思います。

トクサン&ライパチ直筆サイン入り著書を3名様にプレゼント!

インタビューを記念して、トクサン&ライパチの直筆サイン入り『トクサンTVが教える 超守備講座』を3名様にプレゼントいたします。
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応募受付期間:2019年10月7日(月)~10月21日(月)18:00まで
インタビューを記念して、トクサン&ライパチの直筆サイン入り『トクサンTVが教える 超守備講座』を3名様にプレゼントいたします
— エキサイトニュース (@ExciteJapan) October 7, 2019
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(エキサイトニュース編集部)
刊行情報

トクサン著『トクサンTVが教える 超守備講座』(KADOKAWA)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321905000252/
チャンネル登録数48万人を突破した日本一のスポーツYouTubeチャンネル「トクサンTV」が教える野球上達術をまとめた一冊。第1弾のバッティング編に続いて、第2弾は守備編。今回もトクサンTVでお馴染みのトクサンが独自の守備理論を解説。草野球を楽しむ大人から、野球をはじめたばかりの少年野球世代まで、幅広い野球人の悩みをトクサンが解決してくれる。アップデートされていない、古い知識を捨てれば守備の技術はぐんっと上がる! そして基礎の積み重ねがスーパープレイを生む!
東京都出身。本名・徳田正憲。小学3年生でソフトボールを始め、中学で軟式野球に転身。帝京高校時代にはベンチメンバーとして甲子園を経験する。創価大学では主将として全国ベスト4、リーグ首位打者、盗塁王を獲得。プロ2球団にリストアップされた実績を持つ。2016年8月に草野球チーム「天晴」のチームメイトであるアニキ、ライパチとともに「トクサンTV」をスタートすると、またたく間に人気YouTuberに。初の著書『トクサンTVが教える新・バッティング講座』に続き、『トクサンTVが教える 超守備講座』を刊行。
ライパチ新潟県出身。高校時代は大阪の高槻北高校、埼玉の朝霞高校でプレーするも、レギュラー獲得には至らず。大学でも野球サークルに入り、野球への情熱を燃やし続けた。「トクサンTV」の前身となる「ライパチボーイTV」のメイン出演者。「トクサンTV」となってからも、相方的存在として動画を盛り上げている。筋骨隆々の堂々たる体格を誇り、野球選手としても急成長中。