これに先立ち9月29日に放送されたスペシャル版は、先週の記事でも書いたとおり、かなりシリアスなものだった。旧シリーズの軽さが好きだった者としては、新シリーズもこんな調子で行くのかとちょっと心配していたのだが、ふたを開けてみれば、第1回はかつてのシリーズ同様、強引な設定や小ネタ満載で軽快に進み、いよいよ「時効警察」が戻ってきた! と思わせた。スペシャル版より登場している新キャラクター、吉岡里帆演じる新人刑事・彩雲真空も、磯村勇斗演じる鑑識課の又来康知(ふせえり演じる時効管理課の又来の息子)も早くもレギュラー陣のなかに溶け込んでいた。
時効延長を荒ワザで処理
旧シリーズのあと、今回のシリーズが始まるまでには、法律の改正により人を死亡させた事件について時効が廃止あるいは延長された。旧シリーズに出てきた事件の大半は15年で時効を迎えたが、これらと罪が同等の事件は現在、時効が30年にまで延長されている。そのため、「時効警察」再開にあたってどう処理するのか気になっていた。
スペシャル版の事件は、法律が改正される前日に時効を迎えたという設定だったが、第1回の事件(1994年発生)はさらに前、10年前に時効を迎えていた。それというのも、捜査で押収した物品が箱に入れられ、冷蔵庫で保管されたまま忘れ去られていたからである。そもそもなぜ押収品が冷蔵庫にあったのかといえば、箱に書かれていた被害者の名前「要玲蔵(かなめ・たまぞう)」が、「要冷蔵」と勘違いされてしまったため、というのが強引すぎる。しかも時効になったあと10年も処理されていなかったとあれば、普通の警察なら大問題になるところだろう。だが、それもこれも「時効警察」にかかればまったく無問題。かつてのように時効管理課の熊本課長(岩松了)が嬉々としながら捜査書類に「時効」の印を押すと、主人公の霧山修一朗(オダギリジョー)はかつてのように趣味で事件の捜査を始めるのだった。