1話で、学食で働く飯島さん(馬場ふみか)への恋心を認めるに至った掛田氏(小瀧望)。
このドラマの特徴は、現実パートからちょくちょく「思索・妄想パート」「科学者パート」へと移行すること。掛田氏はどうしたらいいか悩んだとき、頭の中でひたすら考え始める。経験ゼロのわからなさ、自信のなさから有栖(今井悠貴)やテレス(ラウール)といった仲間から責められているように感じたり、飯島さんに嫌われてしまう妄想も広がる。そこを救ってくれるのがこれまでの歴史の中で人類に偉大な貢献をしてきた科学者たちだ。科学者パートも、思索・妄想の中のひとつではあるのだけど、科学者の姿勢や発見そのものが掛田氏に勇気を与える、という構造だ。
交流をすすめるテスラ、反対するエジソン
2話ではまず飯島さんと自然に接するべく、「女性との交流」を増やそうとする掛田氏。まずはパン屋で女性のレジに並ぶという低すぎる目標にさえ躊躇する掛田氏の前に現れたのが、「交流送電システム」を考案したニコラ・テスラと、対する「直流送電」を推進していたエジソン。エジソンはテスラの足を引っ張るため、「交流は危険」というイメージを広めるため、死刑用の電気椅子を作ったりしたという。このドラマを観ていると、発明王、自分のなりふり構わないっていうか、けっこう性格悪いんだあ……という知識も得られる。
交流ってそっちかーい! と思わず言いたくなる展開。それでもエジソンのネガティブキャンペーンに乗せられ(なんでだよ)、一旦女性と交流に自信をなくす掛田氏。

親しくなりたくて食べるゆで卵7個
飯島さんと親しくなろうとするも、食堂でゆで卵を頼むことしかできず、連続7個食べることになる掛田氏。結果「ちょっと(ゆで卵の食べ過ぎが)心配です」と言われて「心配された!」と有頂天に。
ここで挿入される喜びの時間がいい。片手にフランスパン(女性のレジに並ぶことに成功した)、片手にゆで卵(飯島さんとの交流の証)を持ち、緑かがやく芝生を踊るように駆ける掛田氏がスローで流れる。このレビューのために何度か繰り返して見てみたけれど、何度見ても「私は一体何を見ているんだろう……」という気持ちになり、どこまでもばかばかしくてつい笑ってしまう。この時間の意味の薄さ、害のなさに「なんて豊かなんだ」と感動すら覚える。
「飯島さんに名前を呼んでもらう」というおおきな目標を掲げた掛田氏はどうなったのか、そして恋心のスパイスとして使われているけどかなり迫力あるテスラコイルによる放電実験の映像は、今夜放送の2話再放送で確かめてほしい。
ちなみに、研究室で行われていた「素数大富豪」で高科教授(石黒賢)があがっていた2億5813万9117と、789億1011万1213。掛田氏による素数チェックが行われていなかったこの2つの数字、調べてみたらともにちゃんと素数でした。
(釣木文恵)
決してマネしないでください。 出演:小瀧望(ジャニーズWEST)、馬場ふみか、ラウール(Snow Man/ジャニーズJr.)、今井悠貴、織田梨沙、マキタスポーツ、石黒賢 ほか
原作:蛇蔵 脚本:土屋亮一、福田晶平、鎌田順也
演出:片桐健滋、榊英雄
制作統括:谷口卓敬、八木亜未
制作:NHK、大映テレビ