日曜劇場「グランメゾン東京」第9話が12月15日に放送された。
店に馴染んで調子に乗った芹田(寛一郎)、尾花(木村拓哉)のマネして脇に手をはさむように腕組みをしてた。
スポットが当たった中盤以降、目立つ活躍こそしないものの、「グランメゾン東京」と一緒に成長していく様がところどころで描写されていて、丁度いい存在感を出している。
「グランメゾン東京」木村拓哉のライバル尾上菊之助がドンドンかっこいい、気になるリンダの過去9話
イラスト/たけだあや

混入事件再び?


栞奈(中村アン)が「グランメゾン東京」を辞め、再びフードライターに戻ると言い出す。そんな中、萌絵(吉谷彩子)がノロウイルスで倒れる。相沢(及川光博)は、生ガキを持ち込み、謎の小瓶を持っていた栞奈に疑いを持つ。

萌絵が倒れたことを知ったリンダ(冨永愛)は、「ノロウイルスを店の判断で隠ぺいした」とリークし、「グランメゾン東京」を潰そうと画策。しかし、尾花はウイルスの出どころがわかるまで店を休業し、その真摯な態度で客に安心感を与えてこのピンチを乗り切った。

陰湿すぎるリンダに復讐の理由はあるのか?


結局のところ、萌絵のノロウイルスは、日常生活で勝手に感染したものだった。「ナッツ混入事件」で外務省の秘書官の父が失脚してしまった栞奈は、料理にウイルスを混入させようと企むも、「せっかくの料理を台無しにできない」という思いから踏みとどまっていたのだ。


栞奈の過去と、「エスコフィユ」や料理への思いが発覚した第9話。しかし、気になるのは、ラスボスとしてどっしり構えるリンダだ。

手下的な存在の栞奈が重い過去を持っていただけに、ボスのリンダが「メンツを潰された」だけでは、どうにも理由がふんわりしている。リンダだって栞奈と同じように料理に対してフェアな精神を持っているはずだし、現在でも確固たる地位を築いているし、こんなにも恨み続ける理由がない。

思い浮かぶのは、元恋人ということから尾花への恋愛感情のこじれだ。だが、京野(沢村一樹)の倫子(鈴木京香)への思いを、「暴走」として描き、恋愛ドラマではなくグルメドラマだと一線を引いた今作だけに、ちょっとそれは考えづらい。
というか、「好きだったのに、なんで消えたの!?」とかそんなこと言われても困る。

この先の10話、11話でリンダの過去は明らかになるのだろうか? ならないとしたら、「私の顔に泥を塗りやがって!」というプライドの高さ一つで押し切る、冨永愛の存在感に期待したい。

今週の丹後


丹後(尾上菊之助)がドンドンかっこよくなる。初めは江藤オーナー(手塚とおる)と一緒に小ズルいことをしてくるのかと思ったが、尾花を正々堂々倒す事に執着する気位の高さを見せ、最高のライバルという立ち位置を確立している。

今話では、フランス大使館の男(マイケル富岡)が祥平(玉森裕太)を「ナッツ混入事件」の件で訪ねてきた時も、「ハッキリとした証拠もないのにうちの店の人間を疑われるのは心外です」と追い返すなど、厨房の主としての威厳を見せた。また、祥平が罪を認めて店を去る時も、「お前の料理、最高だぞ」と男前な一言を言い放っている。


丹後は、「才能では尾花や祥平の方が上」と認めているような節がある。祥平が残していったマイタケ料理を食べて悔しそうな表情を浮かべていたのは、祥平が料理を辞めてしまうことだけが理由ではない気がする。

もともと馬の合わない江藤オーナーと組んでいるのも、スーシェフとして祥平を抱えておきたかったのも、全ては三ツ星と尾花に勝つためだ。丹後は、「才能では尾花や祥平の方が上。それでも負けないよ」と胸を張っているからかっこいいのだ。

(さわだ)

■『グランメゾン東京』
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太 (Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、冨永愛、中村アン、手塚とおる、及川光博、沢村一樹脚本:黒岩勉プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾演出:塚原あゆ子、山室大輔、青山貴洋。
料理監修:岸田周三(カンテサンス)、トーマス・フレベル(INUA)、服部栄養専門学校音楽:木村秀彬主題歌:山下達郎「RECIPE(レシピ)」