のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

女優・創作あーちすととして活躍するのんが主催するフェス「NON KAIWA FES」。第二回目の開催は、チリヌルヲワカ、阿部真央、リーガルリリーを迎えて、2月29日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われる予定だった。弊サイトでも、イベント開催に向けて、のんの持ち込み企画という形で、出演者との対談を実施。ファンも本イベントを心待ちにしていたことだろう。

だが、2月26日。のんはコロナ感染拡大防止の観点から、「NON KAIWA FES vol.2」の中止を決定。ライブを無観客で行い、後日MTVでその模様をオンエアすると発表した。放送日は3月29日。今でこそ無観客ライブは多く行われているが、のんのこの決断は、非常に早いタイミングだった。

この一連の動き、その最中にいたのんの心境など、近くでずっと見てきた「チームのん女子部」のスタッフが、舞台の裏側を話してくれた。

取材・編集/田上知枝(エキサイトニュース編集部)


のん主催フェスは「誰かに言われてやっている」のではない


のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

――「NON KAIWA FES vol.2」(以下「のんフェス2」)の開催が決定して、出演者との対談企画「のん女子KAIWA」を提案してくださいました。そこに至る経緯を教えてください。

前回の「のんフェス」から少し期間が空き、次の開催はどうする? となった時に、のんさんから「次は女子部でやりたい」との提案があり、“「のんフェス2」女子部開催"が決定しました。のんさんを中心に、まずどういう風に「のんフェス2」を進行・宣伝をしていくかの全体会議で問題になったのが、「のんフェス2」の「女の子の怒りはポジティブなパワーになる」というテーマをどう伝えるか? です。

これまでの様々なインタビューでものんさんは“怒り”についてお話しているのですが、どうしてもこの言葉自体にネガティブなイメージが強いので、のんさんと参加アーティストとの女子会のようなトークで、このテーマをそれぞれの視点から会話できれば面白くお客様に伝わるのではと考えました。結果的に、のんさん自らが選出し、ファンに勧めたいアーティストの魅力も同時に伝えられたことがとても良かったのではないでしょうか。

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また、「誰かに言われてやっている」のではなく、本当にのんさん自身が中心・主催者としてフェスをやっているということが、今回ご参加くださったアーティストの皆様に伝わったことも、連帯感が生まれ素敵なフェスになった要因の一つかと思います。

――いつくらいから、もしかしたら観客を入れての実施は難しいかもしれないと思い始めましたか? また、それが具体化しそうになり、どのような気持ちでいましたか?

本格的なのんシガレッツのリハーサルが始まる直前に、今回の新型ウイルス問題が日本国内でも大きく取り扱われるようになりました。これを受けてすぐに「のんフェス2」の形を変えていく必要があるかも? と、これものんさんを中心として話し始めました。その時点では、予定通り観客を入れて実施するケース、完全中止のケースのどちらか日々状況が変わる中で、2週間後に世の中がどういう状況になっているかを想像しつつ決めることは非常に難しかったです。

ですが、それよりものんさんが一年前から「やりたい!」と願い、実現に向け頑張っている姿を知っていたので、スタッフは皆悔しく思っていました。

のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

――無観客ライブはまだ少ない時期での実施でした。どのような選択肢の中から、どのような理由で実施に至ったのですか?

最終的に決断を下したのは主催者であるのんさんで、「のんフェス2」の約1週間前でした。リハーサル1日目が終わった後、舞台監督も含め話し合い、色々な形の案を出し合いました。その時はまだ、世間的にも「ライブなどの興行を中止するのはやりすぎなのでは」という意見も多かったのですが、のんさんは主催者としてお客様、参加アーティスト、そして会場スタッフのことを最優先で考えていきました。そこで、最終的に「無観客ライブの収録」を選択するに至りました。

しかし、のんさんが一年かけて思い描いてきた「参加アーティストと“お客様”が音楽でKAIWAする」という趣旨のフェスをそのまま実現することは叶いませんでした。実質的には「フェス中止」です。スタッフ全員の前でその発表をする時、のんさんが悔しさからか「フェス中止」となかなか言葉に出せない様子を見守るしかなく、私たちスタッフも本当につらい思いでした。

のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

――結果、その無観客ライブを収録し、MTVでオンエアするに至りました。収録というのは通常ライブ想定の時から予定していたものですか?

年始頃に「遠方に住んでいるなどで来られないファンのために」というのんさんの発案があり、公演の様子を収録・後日放映していただく予定でお話をすすめていました。MTVさん側からご承諾をいただいた直後に新型ウイルス問題が大きくなり、前述した「開催するか否か」の話し合いになったのは不幸中の幸いだったように思います。無観客ライブを決定してすぐ、視聴者の皆さんのおうちがフェス会場になる「おうちフェス」というコンセプトをのんさんが打ち出し、MTVさんには演出の変更などハイスピードでこなしていただきました。感謝しかありません。

――無観客ライブから番組の放送まで、とても短い期間でしたよね。放送タイミングの希望などはあったのですか?

収録日以降の3月は、より感染についてセンシティブなタイミングになっている可能性があると話し合いました。それなら来場予定だった方だけでなく、よりたくさんの方に家の中で「おうちフェス」を楽しんでもらいたい、元気を届けたい…というのんさんの思いから、なるべく早いタイミングで「のんフェス2」を放送できないかお願いしました。MTVさんは大変だったと思います。

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のんからスタッフに緊急ネット会議召集! また何かが起こる……!?


――出演者に一連のことを伝える時の気持ち、伝えた時の反応など教えてください。

各アーティストの方々には、最終決定の前から随時状況を共有し、様々なケースをご相談させていただきました。まだその時は実施か中止かが半々で悩んでいる状況でしたし、無観客ライブ収録という形は誰しもが初めてだったので、アーティストの皆さまも迷われたのではないかと思います。ですが、先の「女子KAIWA」というのんとの対談企画で開催前に気持ちの共有ができていたことで、「たくさんの人に観てもらおう」「がんばろう、届けよう」という明るく熱い気持ちで参加をご決断していただけたのでは、と勝手ながら思っています。

――のんシガレッツのメンバーにはどのように伝えましたか? その時の気持ち、メンバーの反応などはどのようなものでしたか?

リハーサル2日目のはじめに、主催者であるのんさんから、スタッフ・のんシガレッツみんなに伝えました。先にもお話しましたが、のんさんがなかなかみんなに話を切り出すことができず、笑顔を作りながらも言葉に詰まっているようでした。しかし、のんさんが責任をもって出した決断を聞いてすぐ、のんシガレッツのメンバーが「無観客でもライブはライブだ! 頑張ろう!!」と言ってくれて、本当に救われました。

のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

――無観客でのライブはどのような状況下で行われましたか?

みんな揃ってマスクを着用、消毒スプレーを各場所に用意し、関係者も最小限にして行いました。

――放送された番組の制作にのんさんはどのように関わりましたか?

もともとは番組ではなく、フェスとして成立させようとしていました。それをMTVさんの協力で番組構成にしてもらいました。ステージのセット、特効、テーマ、出演順など全てのんさんのアイデアを元に決めていきました。番組になった段階でも、構成から最終的な音・映像の仕上げまで、のんさん中心に女子部で監修させていただきました。

――「チームのん女子部」のみなさんは、「無観客ライブから収録実施までののんさんをどう見ていましたか?

アーティストとして観客に見せるパフォーマンスのことだけではなく、主催者として多角的に「のんフェス2」のことを見つめ、決定していく姿が印象的でした。今までも我らがリーダーとして様々なことにチャレンジをしてきたのんさんですが、今回の件でもとても頼もしかったです。

のんの活動を支える「チームのん女子部」が語る“無観客”フェスの裏側

――コロナ禍で、のんさんは毎日をどう過ごされていますか?

服づくりやギターの練習....? さすがに我々女子部も“部屋充”しておりますので、細かいところまではわかりません! ですが、のんさんから緊急ネット会議召集がかかりました! また何か始めるみたいです。お楽しみに!

――おぉぉぉ。いきなりの予告! 楽しみです。なかなかない経験をされたと思いますが、フェス企画からそばで全てを見ていたスタッフとして、今回のことをどう思いましたか?

「のんフェス2」が、よりたくさんの人に見てもらえる「無観客ライブ収録」の形になったのは多くの皆さまのご協力のおかげです。ですが、のんさんがアーティストとしてだけででなく、経営者(リーダー)として発案・行動・決断の全てを担ってきたことが、皆さまにも伝わった結果ではないかと思います。この年齢で、このスピードで「フェス中止」「無観客ライブ収録」を実行に移せたのは、他ならぬのんさん自身の力でもあります。まさに女子部のリーダーです。

番組情報


MTV LIVE: NON KAIWA FES vol.2 拡大版
4月30日(木)20:30-23:00
※視聴方法など詳細はこちら