
クリント・イーストウッドか! ムロが演出も担当『親バカ青春白書』6話
『親バカ青春白書』(日本テレビ系 毎週日曜よる10時30分〜/以下『オヤハル』)。第6話(9月6日放送)はムロツヨシが演出。主演俳優が演出もやるプライムタイムのドラマはなかなかない気がする。
そのような偉業が、一見とてもゆるく見える『親バカ青春白書』で試みられたのである。ハイ注目。
さくら(永野芽郁)とガタロー(ムロ)が大学に入学して2年弱。成人式も近づいてきた冬休み。さくらは畠山(中川大志)と淡い恋を育んでいるようだが、ガタローは何かにつけ邪魔を続けている。
そんなおり、ガタローの家がシェアハウス状態に。美咲(小野花梨)に続き、寛子(今田美桜)、根来(戸塚純貴)、さらに畠山もやってくる。
さくらと畠山がひとつ屋根の部屋に住むことになって、ますます接近チャンスは増える。
ひとつ屋根の下、若い男女が集えば、恋が生まれる? 根来は美咲が好きになって、告白するなど本能がむき出される場面やら、寛子がガタローに自分の過去をしみじみ語る場面やら、シェアハウスを定点観測するとありそうなシチュエーションの数々が繰り広げられていく。シェアハウスものをフィクションでやってみたという感じ。
みんなですき焼き場面では、ガタローの小説を褒め合う畠山と美咲と、「やめろよ〜」と照れるガタロー。彼らの『半沢直樹』みたいにはエグくないアップのカットが続く。
亡き幸子とガタローとさくらの家族愛が今回も素敵
ガタローが、自分が大学生になった体験を小説で書く企画が持ち上がると、訪ねてきた担当編集者・尾崎(谷口翔太)に「梅干しどうぞ」と言うさくら、「さあさあ」とお酌する寛子、「全部さくらさんの手料理なんです」と差し出す根来。ここは完全に間違った接待コント。梅干し、お酌、料理、そして、畠山と美咲の小説褒め。この繰り返しに尾崎が「もういいで〜す」という「です」は、半沢の「Death」を意識したものだろうか。そうこうしているうちに、成人式がやってくる。美咲と寛子は各々の事情で成人式に行かないが、さくらだけは出る予定になっていた。
ところが、さくらが熱を出してしまったため、回復したあとに、家でみんなで成人祝い。さくらは初めてのビールを「これダメ」と、あくまでも幼く描かれる。
ゆずの主題歌にのって、素敵な回想シーンがめくるめいたので、今日で最終回?と思ってしまったが、最終回は来週。感極まった美咲がガタローにキスして、さくらがショックを受けて……つづく。
回想では、幸子の成人式の年はカレンダーが2001年になっているのに、さくらの成人式の年のカレンダーになぜか年が書かれていなかった。2020年にしてしまうとその後のコロナ禍を思い出してしまうからだろうか。ちなみに2020年の成人式は1月13日。日本で初めてコロナ感染者が確認されたのは1月16日だったとか。この頃からコロナ禍がはじまっていたのである。それさえなければ、ムロが演出まですることもなかったのではないだろうか。
ムロ演出回は、俳優がわざと棒立ちしているシュールなところがあれば、やたらとキラキラ描かれているところもあった。新垣結衣は毎回キラキラ白い光のなかにいるが(でも今回は言ってることが残酷トークだった)、永野芽郁の晴れ着、料理、今田美桜のキラキラ正面顔。ついでに中川大志もやたらキラキラさせていた。

6話で面白かったのは、ガタローの作品をあれもこれも挙げて良さを語る畠山と美咲。実際に存在しないドラマのなかの小説をいかにもな感じで夢中で語るふたり(とくに畠山)がじつに楽しげだった。架空の小説の表紙を何冊もつくっている美術スタッフさんもすばらしい。
今回は福田雄一演出ではなかったが、脚本統括、演出の福田雄一が監督した映画『今日から俺は!!』からのゲストコーナーはあって。今回は若月佑美。着物売り場の店員役だった。
次回、最終回!
(木俣冬)
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番組情報
日本テレビ『親バカ青春白書』毎週日曜よる10:30〜
番組サイト:https://www.ntv.co.jp/oyabaka/