
見どころは黒木の下手な芝居『キワドい2人-K2-』2話
山田涼介と田中圭が異母兄弟刑事を演じる『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系 毎週金よる10時〜)。第2話は、池袋に猿が放たれた事件に端を発する殺人事件を山田扮する神崎隆一と田中扮する黒木賢司が追う。見どころは黒木の「下手な芝居」。
1話のラストで、突然、黒木が神崎の家に転がり込んで来た。2話の序盤、神崎は父・賢造(椎名桔平)の隠し子で、それを知った黒木と母は家を出たのだと語る。たしかに、賢司の“賢”は賢造の“賢”だ。隠し子を作られて黒木は賢造を恨んでいるのだろうか。ではなぜ、神崎と一緒に住もうとするのか。
神崎と黒木は生活様式が何もかも合わない。何かとまっすぐな神崎は黒木のラフさが気に入らなくて「あなたが兄だなんて僕は絶対に認めませんよ」と反発する。だが、傍から見ると、ふたりは仲良く見えるようで、池袋署の木村(江口のりこ)はふたりのシャンプーが同じになったことを訝しむ。
仕事場では兄弟であることを隠さなくてはならないが、隠しても滲んでくる親しさが別の意味にとられかねない。そこがふたりのキワドさ。
千の仮面を持つ俳優・田中圭
第2話は、あくまでも、美容室カイサルの池田社長殺人事件の捜査。容疑者はカリスマ美容師・芳村敏生(神尾楓珠)。事件の2日前に設置された防犯カメラにばっちり映っていたのだ。芳村には前科があったため余計に疑われてしまう。だが神崎は、芳村は少年院を出たあとは一切犯罪を犯していない事実を知って、彼が犯人ではないのではないかと考える。
芳村の事実を証明しようと躍起になった神崎は独断でとんでもない行為をして、逆に芳村の自白のきっかけを与えてしまう。いつも軽い感じの黒木や統括係長・末長(八嶋智人)がじつは実直に芳村の無実を証明しようと動いていたことを知って己の未熟さを恥じる神崎。ただただ生真面目なだけでは世の中渡っていけないもので、根回ししたり、足で捜査したりすることが大事なのであった。
新米刑事が現実を知って成長していくという真面目なエピソードもまぶしてあるが、『キワドい2人』は、え〜、そんな捜査? という方法で犯人をあぶり出す。第1話に登場した17歳の氏原彩乃(関水渚)や神崎の愛猫を捜査に駆り出すのである。
公安が協力者という民間人を使って捜査するエピソードはドラマでよく見るが、警察ってみんなそんなことしているの? しかもこの作戦がもう漫画みたいだった。
殺された池田社長が飼っていた猿が逃げ出して、それが病気を持っていて、噛まれたら命が危ないというデマを彩乃によって美容室に流す。そして店のブレイカーを落として停電を装い、猫を猿の代わりに放つと、猿が美容室に逃げこんだという狂言を行い、黒木が噛まれた演技をする。名付けて「モンキーブラッドプロジェクト」略して「モンブラン」。
そこで、黒木が「噛・ま・れ・た〜」「死・に・た・く・な・い・よ〜」とやって、神崎が「芝居が下手すぎる」と苦い顔をする。
田中圭は、この前日にフジテレビの『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』では癌に侵された役を演じ、死への恐怖や辛い治療に耐えられない感情を吐露するとき、「千々に乱れる」という言葉のごとく、まさに「千」もの表情の変化を見せるように演じていた。
しかもそれが熱演!というものではなく、じつにナチュラルにやっているように見えるものだから、すごいなこの俳優はと思って見ていた翌日『キワドい2人』では熱演し過ぎて下手に見える演技をやるものだから、驚きが何倍にも。さらにはラスト、澤登副所長(六角精児)と秘密を語っているときの顔はまた別の人。千の仮面を持つ俳優である。

そんな田中圭に対して山田涼介は真面目な一面しかない人物に徹して、染まらないようにしないといけないから重労働だ。でもそのうち兄色が混ざってくるのかも。
第2話の注目は、山田が美容室の店舗譲渡の書類を見つけたときの表情。
(木俣冬)
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番組情報
TBS 金曜ドラマ『キワドい2人-K2-』毎週金曜よる10:00〜10:54
番組サイト:
https://www.tbs.co.jp/kiwadoifutari_TBS/