
堂本光一の“Show Must Go On”精神そのもの『Endless SHOCK』
9月15日から大阪・梅田芸術劇場メインホールで開幕した、堂本光一主演舞台『Endless SHOCK -Eternal-』が10月12日に千穐楽を迎えた。コロナ禍を踏まえ、『Endless SHOCK』のスピンオフ作品として、『Eternal』と掲げ、主人公・コウイチの亡き後を描いた。初演から20年もの間上演し続けてきた代表作。『Endless SHOCK』は、ニューヨークの小劇場に出演する若者たちが、ブロードウェイでの成功を夢見る姿を描いた物語。堂本が演じるのは、カンパニーの中心人物であるコウイチ。今回はライバル役に、KAT-TUNの上田竜也が抜擢された。劇場のオーナー役に前田美波里、コウイチを慕うリカ役には梅田彩佳、ふぉ~ゆ~などジャニーズJr.も多数出演している。
2020年公演は2月4日に開幕したが、コロナ禍の影響を受けて2月28日から公演を中止した。その間、公式Instagramの開設に、期間限定でグッズの通信販売を開始。3月22日には帝国劇場史上初となるInstagramでライブ配信を行った。演目を本番さながらに披露し2時間に及ぶ配信で6万人が視聴。ショーを完全に止めることをしなかった様は、劇中で描かれている“Show Must Go On”そのものであった。
コロナ禍で見せた堂本率いるカンパニーの強さ
8月に出演した『ミュージカル「ナイツ・テイル」in シンフォニックコンサート』での様子、そして9月『SHOCK』の梅田公演にあたり、開幕までの試行錯誤は堂本の連載「エンターテイナーの条件」(「日経エンタテインメント!」2020/11)で詳細に綴っている。演者同士の身体の接触、舞台裏にはけたときの手指の消毒、衣装替えの工夫……想像をはるかに超える舞台裏の細かな感染対策に頭がさがる。
10月4日にはJohnny's net オンラインで、シリーズ初となる無観客、有料配信が行われた。劇場での観劇は、物語に沿って視線を移動させたり、自分なりの視点で切り取ったり、各座席によっても印象が左右される。配信にあたり綿密に計算したであろうカメラワークによって、制作側の意図や、見せ場などを逃さずに目にすることができ、劇場とは一味違う楽しみ方があった。
配信の終わりには、約8万人が視聴したと伝えられた。SNSでも、会場に足を運べない地域であることから応募時から断念していたと配信を喜ぶ声、ただでさえ日本一チケットの入手が困難と言われているプレミアムな舞台、配信で初めて『SHOCK』の世界に触れたという声も寄せられた。
守りに入るのではなく、できる対策を徹底して行い、新しいツールを取り入れることも、長らく演じてきた演目の変更も厭わない。これまでのルールにとらわれることなく、柔軟性を持って挑む姿に、堂本率いるカンパニーの強さ、たくましさを感じた。
キャスト、スタッフ、舞台演出、装置……限界まで軽量化に挑戦したというスピンオフだが、新たな試みの重なりは、結果として演劇への門戸を広げたのではないだろうか。心を揺さぶる演目、終演後に晴れやかな表情でステージに立つキャストの表情に、劇場で生の拍手を送りたいと思った。
3月から「何かできることはないか」と奮闘してきた座長・堂本光一。
(柚月裕実)
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