Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

ガチでマリファナ使ってる『クッキング・ハイ:マリファナ料理対決』

ワイドショーを連日見ていると「芸能界は大変だな」と思うことが多い。傍目からは華やかな世界だが、タレント当人は苦悩を抱えていたりするのだろう。

Netflixが2018年より配信している『クッキング・ハイ:マリファナ料理対決』はスレスレだ。
2人のシェフが30分以内にテーマ(ベイクドポテト、油ものフレンチ等)に沿った料理を作り、審査員が試食して勝敗を決めるという内容である。これだけなら『料理の鉄人』(フジテレビ系)や『どっちの料理ショー』(日本テレビ系)に似ている気がするが、似てない。食材に大麻が必ず使われている点が、この番組の肝なのだ。

つまり、試食した審査員はハイになる。そういう人間を見ることができるのも、この番組の見どころの一つだと思う。普通の生活を送っていると、そんな機会ってなかなかないもんな……。というか、この番組の噂を聞いたときはてっきりジョークだと思っていた。もしくは、大麻のテイでやっているとか。だが、さすがアメリカ、ガチでマリファナを使っていた。だから、タイトルが『クッキング・ハイ』なのだ。

Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

勝利のコツはマリファナの味を消すこと?

まず始めに言っておきたいのは、料理に関しては手抜きなしという点。だから、登場するシェフはみんな実力派だ。アメリカで有名な料理番組の優勝経験者、アメリカングリルの達人、伝統フランス料理を修めた料理人など、本物の経歴を持つ手練たちが腕を振るってくれる。
しかも、料理開始前にはこんな意気込みを語ったりする。

「ハッパらうの大好き」
「ハイで毎日料理している、一日中。自分にとっては栄養素と見てますから」

中には、大麻調理歴13年のシェフや食用大麻キッチン経営者、医療大麻の販売資格を持つ大麻料理の専門家も参戦している模様。その道のプロも登場するのは『クッキング・ハイ』ならではだ。

できあがる料理は見事にどれも美味しそうだ。決して「ハイになれれば何でもいい」というやっつけ仕事ではない。シェフはキマったまま料理をしているわけではなかった。それにしても、『クッキング・ハイ』で紹介される料理を試食する機会が我々(日本人)にはないと考えると、プレミア感が高まってくるな……。

ところで、ある回で勝利したシェフが発した優勝コメントが非常に興味深かった。

「草の味を消せば勝てると思った」(大麻調理歴13年のシェフ)

大麻の味をなくすことが勝利のコツならば、マリファナ料理番組として破綻しているのでは……。

Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

ラリってる人を見ることができる貴重な番組

味を消したとしても、大麻の成分は決して消さないのがこの番組だ。ハイになる成分「THC」がなくならないよう加熱しすぎに留意しているし、シェフは率先して審査員をハイに導こうとする。

さらに、この番組には最大の特徴がある。
それは、題して「THCタイム」。試食を終えたらすぐ判定に移ると思いきや、なぜか審査員を小休止させるのだ。時間を置くことでTHCを十分に染み渡らせ、ハイになってから判定させようという算段である。

すると、絵に描いたようにラリっていく審査員たち。俯いたまま動きが鈍くなったり、笑いが止まらなくなって喋れなくなったり、「ごめん、脳が……」とコメントできなくなったり、「世界の頂点にいる」と上機嫌になったり、「俺は宇宙人じゃない」と意味不明なことを言い出したり……。つまり、一流シェフが美味しい料理を作っても、判定する人のほうが正気を失っている。ただ、中にはあまり様子が変わらない審査員もいるので、耐性に個人差があることもわかった。この辺りも興味深い。

料理よりマリファナ失敗談のほうが大事

『クッキング・ハイ』いちばんの見どころは、個性豊かな審査員たちだ。全員に大麻の経験があるようだが、もっとも面食らったのは大麻好きを公言するラッパーだった。あまりにも衝撃的な自己紹介とともに彼は登場する。

「母が妊娠中に吸ったから、俺、生まれる前からハイ」

Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

これから大麻料理を食べるのに収録前から吸って名前のスペルが言えないほどハイになった審査員もいたし、こんな人らに評論ができるとは思えない。事実、ハッピーだからか10点満点を挙げる審査員ばかりである。
酷評しておきながら判定では8点という高得点を挙げたり、審査はメチャクチャ雑。愛すべき人たちである。

しかも、おっちょこちょいだ。キッチンで必死に料理を作るシェフがいるのに、カメラはその姿をほとんど追わない。マリファナを吸って起こした失敗談を自慢げに語る審査員ばかりがフィーチャーされているのだ。

・超ハイになって買い物に行き、「うまそう」と何でもかごに入れていたら会計が400ドルだった。しかも、財布を持っていなかったので全部棚に戻した。

・車で吸っていたらヒットして、吐こうと車を路肩に停めた。その前にオレンジを食べており、よく噛んでいなかったので一房がそのままの形で口に戻ってきた。「これは凄い」と車中のみんなにそのオレンジを見せた。

・19歳のときに友達だった売人が誕生日に大麻ケーキを作ってくれたが、入れすぎて顔が緑色になり、ゲロを吐きながらお礼を言った。

Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

キマったら、失敗を犯してしまうのは当然である。
審査員自身がそれを証明している。なのに、『クッキング・ハイ』はキマった人たちに審査を任せるのだから完全にどうかしている。文字通り、草しか生えない。

ちなみに、料理対決に勝利したシェフにはトロフィー代わりに「金のポット」を贈呈するのが番組の決まりだ。アメリカのスラングでは、マリファナのことを「pot」と呼ぶらしい。
(寺西ジャジューカ)

Netflixのマリファナ料理版『料理の鉄人』はキマった審査員が判定 どうかしてる

作品情報

Netflixオリジナルシリーズ
『クッキング・ハイ: マリファナ料理対決』
独占配信中

2018年/全10話
出演 ジョシュ・レイヴァ、ンガイオ・ビーラム
配信ページ:https://www.netflix.com/title/80988793

世界初、大麻を食材にした料理対決番組が登場! 各話2人のシェフが、マリファナ成分をふんだんに盛り込んだ極上の料理をイイ気分のセレブ審査員たちに振る舞う。

【関連記事】Netflix『ストリート・グルメを求めて: アジア』感情移入不可避な屋台料理人たちのド根性半生
【関連記事】Netflix『タコスのすべて』は単なる飯テロではない。一生分以上のタコスでメキシコの文化を知る

【関連記事】Netflixにて公開「オクジャ」食肉の闇とネット配信映画のこの先
編集部おすすめ