皆川は誰にも気づかれずスナイパーになりすまされ、美有は寿々にしがみつくが、誘拐犯に追いつかれ、寿々から無理やり引き離される。七々美も最愛の恋人・亜矢子を殺されて涙するも、自分も狙われるのを察してテロの協力を続けるしかない。
時間は不可逆。立ち止まって死を嘆いている余裕はなく、前へ前へと行動していく人たち。この無常の荒野のような世界は、元祖もJAPANも同じ。だが、元祖と違和感がまだ拭えないのは日本が舞台になると、できるだけ日本風味を出さないようにしている努力は感じつつも、やっぱり時折見える日本情緒。
第3話でわざとじゃないかと思ったのが、道路の途中にお寺の山門のようなものが見える画。極めつけは、七々美と亜矢子が神林(高橋和也)を連れて向かった、皆川のプレスIDの隠し場所がーー祠(ほこら)だった。元祖だと、鉄塔の下で雰囲気があるのだが、祠って……。日本にも鉄塔はいくらでもあるだろう。
『24 JAPAN』を逆輸入したら、ジャパニーズホラー的なものが喜ばれること請け合い。こうなったら、富士山、芸者、忍者などを出すべき。

事件の重要さに反し、恋愛問題に心揺らす登場人物たち
湿っぽいのは、山門や祠だけではない。獅堂と水石のやりとりもなんだかねちっこい。第1支部A班暗号解読係・明智(朝倉あき)に、水石と付き合っていたから獅堂の情報が漏れていたのではと聞かれたとき、獅堂が、情報は漏らしていないと言いながら「信じていた」と無念そうにする。信じていたから、つい大事な話もしてしまっていたかもしれないという空気がそこにじわじわと漂う。その後、水石が内通者ではないと、獅堂に潔白を主張するときも、なんだか痴話喧嘩ふう。この一連の場面も、元祖にもあるのだが、元祖の会話のほうが乾いて聞こえる。英語と日本語の言語、および文化の違いは、鉄塔と祠のように差異が大きく、なかなか埋められない。