
※本文にはネタバレがあります
現馬がハードボイルドに『24 JAPAN』11話
「夜のとばり作戦」とは何なのか。【前話レビュー】現馬(唐沢寿明)、朝倉麗(仲間由紀恵)、研矢(上杉柊平)にイライラ
『24 JAPAN』(テレビ朝日系 毎週金よる11時15分〜)第11話は午前10時〜11時。もう11話。
最初は、国家レベルの暗殺計画の捜査にあたっているわりに獅堂現馬(唐沢寿明)が平凡なおじさんに見えたが、切羽詰まってきてだんだんやばい人になってきた。「やることがエスカレートしている」と水石伊月(栗山千明)が心配するのもよくわかる。
民間人を脅すは、車は盗むは、テッド福井(飯田基祐)のリムジンの運転手のふりして彼を拉致。伊月も「エスカレートしてる」と釘を刺すわりに、現馬に協力的で、彼女が報告したテッドの周辺情報によって「じわじわと脅してこちらが主導権を握り、そこから一気に落とすのがよさそうだな」と踏んだ現馬は、世にもおそろしい拷問方法をテッドにしようとする。
伊月から実際に痛めつけるより脅したほうがいいと助言を受けてのこととはいえ、拷問方法を淡々と説明する現馬は、ちょっと違うとこにいっちゃった顔つきだった。でも流行りの熱血的な顔芸にいかず、口調も顔もあくまでクールなところが唐沢寿明の矜持を勝手ながら感じる。
旧ソビエトの収容所の拷問の手口は原始的で、身近なものを使っていたと、それをテッドに用いようとする。心臓の悪いテッドは、メンタル的にも身体的にも悪くなっていって……。どんなに酷くてもすべては家族のため。父は強し。
その頃、神林(高橋和也)のもとにアンドレ・林(村上淳)が来て、神林をクビにして、第2の計画をはじめると宣言。
ここへきて突然、テッド福井とかアンドレ・林とかハーフ系な人たちが出てきたことは意識的なものなのか偶然か。それはともかく、アンドレが神林に六花(木村多江)と美有(桜田ひより)の始末を命じているのを立ち聞きする研矢(上杉柊平)。
その前にふたりには「さっきは悪かった」と謝っていた。視線でケータイのありかをばらしてしまったのは、迂闊すぎたよ! 研矢にはそろそろ挽回してほしい。と思ったら、研矢は、殺された剛(犬飼貴丈)から預かった銃を美有に手渡す。だいぶ思いつめている様子だ。
六花も娘を守るために人を殺す
朝倉麗(仲間由紀恵)が現馬のことを調べると、任務のほとんどが機密扱い。こういうハードな案件に関わる人ほど、普段は普通のおじさんだったりする。警察ものの取材で、監修しているという元・刑事の方に何人か取材したことがあるが、皆さん、服装も顔立ちも地味めと言って過言ではない初老のおじさまだった。あえて目立たないようにしているらしい。現馬はなかなか一筋縄ではいかないと言う長田(綾田俊樹)に、麗は「そのひとつが7年前では?」と意味深な言葉を返す。
現馬にも何かありそうと思ったとき、現馬はテッドの反撃を受け、「すべては自業自得」「報いを受けろ」と謎の言葉をかけられていた。
そのままテッドは死んでしまう。六花たちの居場所を吐くこともせずに。あーあ、現馬が、精神的に追い詰めて心臓に負担をかけた末、激しくボディに拳を打ち込んだりするから。
そこでわかったことは、朝倉麗だけでなく、現馬の命も狙われていたということ。テッドがインドネシア人のハーフであることから、同じ東南アジアで現馬が携わった「夜のとばり作戦」に関係しているかもしれないと考える現馬。それが7年前。朝倉が「7年前」と言っていたのもきっとこれだろう。気になる「夜のとばり作戦」。

そして、「まさかの展開だな」。テッドが落ち合うことにしていた音守清介がリムジンに乗り込んで来た。彼は、美有の友達・函崎寿々(柳美稀)の父に扮していた人物(神尾佑)だった。音守と現馬は、娘の父として病院で会っていたっけ。
「お前が本当に痛みに強いか試してやる」とますます現馬は物騒な人になっていく。ドラマで現馬がかなりハードボイルドになってきているので、「さあさあビールを飲んじゃうぞ♪」と陽気に歌っている唐沢寿明をさすがにこの回に出すのは配慮したのか、この回のキリン一番絞り糖質ゼロのCMは木村佳乃バージョンだった(唐沢と木村のふたりが糖質ゼロのCMキャラクターになっている)。ドラマの現馬はやばみがすごいが、「さあさあビールを飲んじゃうぞ♪」とビールを飲みながら『24 JAPAN』を見る金曜の夜は悪くない(筆者もスーパーに行った折、糖質ゼロをつい買っちゃいました)。
父と母が離れたところで大奮闘。現馬の行動が荒くなっているのと平行して、六花は美有を守るために、発砲する。体調不良をおしながらも、毅然と、娘を守って生きようとする六花。母は強し。現馬と六花は一時期不仲だったとはいえ、似たもの夫婦なのではないだろうか。父も母も強し。
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木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
@kamitonami
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番組情報
テレビ朝日系『24 JAPAN』
毎週金曜よる11:15〜
番組サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/24japan/