『アノニマス』2話「未来はいくらでも書き足すことができる」万丞(香取慎吾)の言葉が亜里沙の背中を押す
イラスト/ゆいざえもん

※本文にはネタバレがあります

負のスパイラル描く『アノニマス』2話

SNSの誹謗中傷問題が加速する現代。PCやスマホなどキーボードによる殺人、“指殺人”の対策室を舞台にした『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』

【前話レビュー】『アノニマス』香取慎吾だからこその説得力で放たれる「強い人間なんていない」という重みある言葉

「信じるってなんだ。
お前の信じるってのは耳ふさいで、目閉じろってこと?」――口数は少ないが、碓氷咲良(関水渚)に鋭い指摘をした万丞渉(香取慎吾)

交際中の彼、日下部翔平(田中俊介)と結婚の約束をした、芹沢亜里沙(深川麻衣)は幸せの絶頂だったはずが……。後日、SNSのデマに巻き込まれてしまい、“指殺人”対策室を訪れた。

店員に土下座を迫る中年男性の動画がSNSで拡散され、その男性の隣にいた女性の服装が亜里沙に似ていることから、あたかも本人を特定したかのような顔写真が流布。その数4万RT。会社には苦情の電話が寄せられ、取引先からも仕事のキャンセルが続くなど、何もしていないのに一瞬にして被害が広がった。

亜里沙は当初、犯人を特定して戦う姿勢をみせたが、翌日には被害届を取り下げた。バッグの中に入れられた「騒ぐな」という“社員一同”名義の怪文書もあるが、デマの中に一つだけ事実が。亜里沙が過去に出演したポルノ動画が流出してしまった。こうなると、彼・翔平も彼の母・日下部泰子(山下容莉枝)も、一緒にランチをした同僚の相沢美波(山谷花純)も、誰もかもが怪しく思えてくる。

早くもYouTubeでは全く関係のない人物がアクセス狙いで謝罪動画をアップ。ゴシップサイトには、ブス、整形…亜里沙に関するいくつもの記事があがった。
記事を担当した男性は、加害者意識はなく金目的…のわりには1記事200円、仲介料が差し引かれて160円だと逆ギレ。こんなにもライトに犯罪に加担してしまう。負のスパイラルだ。

「過去は消せない、それでも」万丞の言葉

じつは、翔平も少年時代に詐欺事件に巻き込まれ、不起訴になったものの逮捕歴が。さらに被害者が自殺したことでネットで炎上と重たい過去を背負っている。怪文書は息子を守りたい翔平の母親の仕業だった。

ちなみに、捜査の中で、万丞は女性とは腕を組まずに手を繋ぐ派であることが判明。紙とペン、地図は紙というアナログ派、釣りに興味があることに続いて思わぬ収穫だった。

さて、婚約破棄をして行方不明になった亜里沙。翔平との思い出の場所で発見された。翔平は「隠していた過去が明らかになって、けっきょく自分は炎上するのが怖かったんだ」。会社の同僚も亜里沙を心配して駆けつけた。「君を全力で守る、わが社の社員である君を誹謗中傷から守る」。
周囲のあたたかい言葉に亜里沙はもちろんだが、万丞も涙をこらえるかのように5~6回まばたきをした。元相棒の倉木セナ(シム・ウンギョン)の一件を重ねたのか。

『アノニマス』2話「未来はいくらでも書き足すことができる」万丞(香取慎吾)の言葉が亜里沙の背中を押す
第3話は2月8日放送。画像は番組サイトより

ドラマの中盤で、万丞は「あいつの冤罪は俺が証明する」と、羽鳥賢三(山本耕史)にすれ違いざまに伝えていた。「お前はもう一課じゃない。生活安全部になにができる」。あっさり交わされたが、“冤罪”というだけに、あの時こんな風に助けられたら……。何かある度に、自分を責めて後悔してきたのではないか。冒頭の「信じるってのは耳ふさいで、目閉じろってこと?」に通ずるシーンだった。

亜里沙の上司らしき男性が、“わが社の社員”と言っていたが、もし非正規雇用だったら。翔平に犯罪歴がなかったら、展開は違っていただろうか。また、友人や同僚、家族が側にいても、ひとり傷つき苦しむ人もいるだろう。誹謗中傷を気にしないと心に決めても、ネガティブな言葉はじわじわと時間をかけて心を蝕む。
これも消えない過去だ。

誹謗中傷に苦しんだ亜里沙だが、屈しない姿勢に反響が寄せられた。万丞は投稿をプリントアウトして亜里沙に見せ、「過去は消せない、それでもあなたたちの未来はいくらでも書き足すことができる」。背中を押すように言った。ただ、万丞の表情や過去を踏まえると、「生きてさえいれば……」と続くようにも思えた。

犯人逮捕に加えて、関与した人物123人を立件。関与した人物の多さよ……。

劇中では、土下座謝罪の要求、誤認情報による炎上、詐欺の受け子、アクセス数を狙った動画、SEO目的の記事――実際に報じられた事件、身近な事例がいくつも取り上げられていた。ある誤認情報をSNSで流した事件では、還暦近い人物が名誉棄損で賠償責任を負った例も。匿名でSNSに投稿したはずが、最後は実名で全国に報じられた。

さて、第3話では、万丞が男性と接触しているシーンが。予告には「罪の意識なき17歳の殺人犯!?」、「アノニマスから接触!?」とある。


2話の最後に「裏K察」サイトには、さっそく123人についての情報が投稿された。内部の人間が関与、もしくはどこからか情報が漏れている可能性はありそうだ。


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※第3話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします

番組情報

テレビ東京系
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
毎週月曜よる10時〜

出演:香取慎吾
関水渚 MEGUMI 清水尋也 勝村政信 シム・ウンギョン(特別出演) 山本耕史

監督:及川拓郎 湯浅弘章 大内隆弘
脚本:小峯裕之 玉田真也 入江信吾
音楽:山下宏明 丸橋光太郎

制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
(C)「アノニマス」製作委員会

番組サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/


Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013

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