
※本文にはネタバレがあります
あなたは決して一人じゃない『アノニマス』5話<奪われた居場所>
SNSの誹謗中傷問題が加速する現代。PCやスマホなどキーボードによる殺人、“指殺人”の対策室を舞台にした『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』。第5話は現実でもネットの世界でも居場所を奪われた男性が暴走した。【前話レビュー】衝撃のラストシーン 倉木は生きていた…… だが、その目に光はなく…
「何もわかってない」「死ねばいい」とサイトに書き込んでいた星野秀一(萩原利久)。目つきからは怒りが伝わってきた。司書の山名栞(鞘師里保)が閉館を呼びかけると、驚いて本を落とした。「すみません、すぐ出ます」意外にも星野の声は優しかった。落とした本は「日本近海における甲殻類の生態」上巻。
今回は、誹謗中傷の書き込みに悩む人気動画を配信する澤石啓太(さわてぃ/橋本淳)からの依頼。オンラインサロンで起こった人間関係のもつれに端を発し、誹謗中傷の書き込みが増えたと言う。犯人の心当たりに、澤石のサロン内を荒らして強制退会になった星野の名を挙げた。

実際にサロンに入った菅沼凛々子(MEGUMI)が得意げにサイト内を紹介。ここまでは良かったが……。万丞渉(香取慎吾)「おい…この写真なんだ」、凛々子「自分の写真晒したくなかったんですよ」。凛々子は万丞の画像をアイコン画像に、それも勝手に撮影したものを無断で使用。

さて、誹謗中傷を書き込んだ匿名アカウントは、図書館のフリーWi-Fiから書き込まれたものだと四宮純一(清水尋也)が特定した。万丞と碓氷咲良(関水渚)が調べをすすめるにつれて、星野の目撃情報、そして孤立無援な人物像が浮き彫りになった。

もっと社会に溶け込めばいいのに……と話す凛々子に、咲良は「でも…溶け込めない人もいますよ」と反論した。凛々子は「職場や近所くらいまともにコミュニケーションとるのが大人ってもんでしょ」。よくある正論っぽい主張に押され気味だったが、咲良は「ちょっとしたきっかけで社会と接点なくしちゃう人っていると思うんです」と続けた。
今回、星野の一連の行動もさることながら、友人の死に心を痛めたとはいえ、立場を踏まえると咲良もかなり暴走していた。

万丞が声を荒げた理由
「なんで単独で動いた! 澤石に会いに行くってなんで誰にも言わなかった!」「星野に入れ込みすぎだ! 頭を冷やせ!!」。咲良が勝手に単独行動を続けた結果、良からぬ方向へ導いてしまった。事態を受けてさらに暴走が加速しそうな咲良を引き留めて、きつく叱った万丞。しかし、「俺も相棒を救えなかったことがある……」から続く万丞の苦い経験、想いを踏まえれば、声を荒げるのも無理はない。元捜査一課の人間らしい迫力と説得力が感じられる一幕だった。そんな二人のやりとりを、偶然通りがかった羽鳥賢三(山本耕史)が聞いていた。星野の現場に先回りしていた様子からして、万丞の本音を知ったことで、羽鳥にも心境の変化があったのではないだろうか。

5話の冒頭、倉木セナ(シム・ウンギョン)の病室で、万丞は「あれからもう2年ですか」とつぶやくように語りかけた。ヒヤシンスが入った花瓶を持ってきた看護師は、「本人がこのままでいることを望んでいるのかもしれませんね」と万丞に言う。倉木は喋ることなく、真っ直ぐ前をみつめていた。今後回復するといいのだが……。ちなみに、青いヒヤシンスの花言葉を調べてみたら「変わらぬ愛」とあった。

「日本近海における甲殻類の生態」の下巻を持って星野のもとを訪れた山名。星野が探していた本をみつけてくるのは得意技か。司書と利用者の関係は保ちつつ、寄り添うように少しだけ踏み込んだコミュニケーションだった。山名も星野の言葉に救われたように、言葉一つで心を救うことができる。無理することなく、ごく自然に心を通わせられる人はいる。


「あなたは決して一人じゃない」――前回に引き続き、香取による提供読みが放送された。これも草なぎ剛と共にアンファー「スカルプD」のCMキャラクターを務める香取ならでは。こうしたサプライズ、遊び心が楽しい。
さて、3話で万丞は謎の男性(田中要次)から「anonymous@dwws com」のメールアドレスを入手していたが、あれから情報のやりとりはあったのだろうか。6話予告では、なにやら大きく展開しそうな雰囲気だった。
【関連記事】『アノニマス』3話 回を追うごとに明かされる万丞の熱い胸のうち
【関連記事】『アノニマス』2話「未来はいくらでも書き足すことができる」万丞(香取慎吾)の言葉が亜里沙の背中を押す
【関連記事】『アノニマス』1話 香取慎吾だからこその説得力で放たれる「強い人間なんていない」という重みある言葉
※第5話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします
●第5話あらすじ
指対室に、大人気動画配信者さわてぃ(橋本淳)から依頼が。SNSでの誹謗中傷が1カ月前に突然増加し、ついに「死んで詫びろ」という脅迫が届き怖くなったという。
その脅迫行為が晒されて大バッシングを浴びることになった星野秀一(萩原利久)は、現実世界はもちろん、ネットの世界でも居場所を失ってしまう。しかし、星野を知る司書の山名栞(鞘師里保)は星野のことをいい人だと言う。さわてぃも何かを隠しているようで……。
万丞(香取慎吾)と咲良(関水渚)は、星野の説得を試みるが、最後の望みの綱も絶たれた星野は最悪の選択をとることに……。
――番組公式サイトより
番組情報
テレビ東京系『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
毎週月曜よる10時〜
出演:香取慎吾(プロフィール)
関水渚(プロフィール) MEGUMI(プロフィール) 清水尋也(プロフィール) 勝村政信(プロフィール) シム・ウンギョン(特別出演)(プロフィール) 山本耕史(プロフィール)
監督:及川拓郎(プロフィール) 湯浅弘章 大内隆弘
脚本:小峯裕之 玉田真也 入江信吾
音楽:山下宏明 丸橋光太郎
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
(C)「アノニマス」製作委員会
番組サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
柚月裕実
Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。
@hiromin2013