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亡き友人への手紙を綴りSNSで大きな話題を集めた作家あさのますみの随筆『逝ってしまった君へ』が書籍化

声優の「浅野真澄」として、数多くのアニメや洋画、ナレーションなどで活躍。2007年、「第13回おひさま大賞」の受賞をきっかけに「あさのますみ」の名義で文筆業も本格的に始動、作詞家としても活躍している

声優でもある「あさのますみ」の話題のノンフィクションが発売

人気声優「浅野真澄」として数々の作品で活躍する中、2007年に公募形式の新人賞である「第13回おひさま大賞 童話部門最優秀賞」を受賞して絵本作家としてもデビュー。現在までに10冊の絵本を発表するだけでなく、小説、エッセイ、作詞など、精力的な活動を続けてきた作家「あさのますみ」

6月30日(水)には、亡くなった古い友人への手紙という形で綴られたノンフィクション『逝ってしまった君へ』が小学館から発売される。

2019年1月、大学時代からの友人が自らの意志で死を選んだことを知らされた著者。突然の別れに対する深い哀しみと、「なぜ」「どうして」という答えの返ってこない問いが心の中で渦巻く日々の中、その思いなどを「君」への手紙という形で記した文章をSNS「note」へ投稿し、大きな反響を集めた。

その投稿『逝ってしまった君へ』を書籍化した本書では、SNSの投稿では書き切れなかった思いや出来事も、より詳細に記されている。

エキレビ!では、発売日を間近に控えた著者にインタビュー。この前編では、本書を執筆するに至った経緯などを改めて語ってもらった。

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脳の70%が「君」のことで占められているような状態だった

──本書は、昨年3月のSNS「note」への投稿『逝ってしまった君へ』を書籍化したものです。冒頭の「はじめに」でも触れられていることですが、古いご友人である「君」の死によって考えたことや体験したことなどをSNSに投稿しようと思った理由などを教えてください。

あさの 「君」が亡くなってからは、常に頭の中に「君」のことがあって、脳の70%くらいが占められているような状態だったんです。朝起きてから寝るまでずっと。仕事をしていても、何していても、ずっと頭の中にありました。でも、日常生活の中で突然そんなことを人に話し出すと、びっくりされちゃうじゃないですか。話すにしても、「君」との関係を説明するのも難しいし、時間もかかる。だけど、とにかく頭の中にずっとあるから苦しくって。ちょっと整理をしたい気持ちというか、とにかく、外に出したいという感じだったんです。

それに、同じような苦しみを抱えている人がたくさんいるかもしれないから、文章という形にすることで、そういう人の目に止まって、辛い思いが少しでもなくなるといいなという思いもありました。それで、最初は本にして出版できないかなと考えたんです。

──最初から書籍化を考えていたんですね。

あさの はい。当時、別の本を執筆中で、編集者さんに毎月毎月、原稿を送っていたんですね。ただ、そんな状態だったので書けなくなって、「すいません、今月は書けそうにないんです。実はこんなことがあって」と伝えたんです。その後、このことを本にしたいと相談したら「ちょっと内容が重たいかも」みたいな反応で、やっぱり本にするのは難しい内容かなと思ったので、noteに書くことにしました。

──その投稿はnoteの投稿を対象にした「cakesクリエイターコンテスト2020」に入選し、大変多くの人に読まれることになりました。

あさの 「cakesクリエイターコンテスト」は、投稿に規定のハッシュタグをつけると応募したことになるという形式のコンテストだったんです。だから、コンテストに応募したいというよりは、そのハッシュタグをつけることで、私のことを全然知らないけど、同じようなことで苦しんでる人の目に留まるかもしれないと思って、ハッシュタグを付けました。私自身、同じような経験をした人が書いた本を読んだりすることで、ちょっと気持ちが楽になったこともあったんです。だから、そういうきっかけになったらいいなという気持ちでした。

──長い時間、考えてきたことだけに、文章にまとめるのも大変だったのでは?

あさの 逆に、とにかく吐き出したいという気持ちがすごく強くて、言葉がもう喉まで来ているような状態だったので、けっこう、あっという間に書けたんです。2時間ぐらいで書いて、そのまま投稿しました。

「君」が亡くなってから思ったことを章立てて書いた

──投稿後、コメントなどでたくさんの感想が届いたと思うのですが、特に印象深かったものを教えてください。

あさの 内容に共感するというか、「私もこういうことがありました」とか「これを読んで少し気持ちが楽になりました」といった感想をたくさんいただきました。

あと、これは知り合いの方なのですが、「自分は長い間、うつに悩まされているのだけれど、お説教されたり、責められたりする文章ではなかったから、読んでいても苦しくならなかった」と書いてくださった人がいたんです。「君」のことを通して、私も「一番苦しい思いをしているのは本人だ」と思ったから、「死ぬなんてだめだよ!」とか「なんでそんなことしたんだよ!」と責めるようなことは書かないようにしようと考えていたので、そのことがちゃんと伝わったのだったら良かったなと思いました。

──「君」のご家族からはどのような反応がありましたか?

あさの 「君」が亡くなって以降、お姉さまとはかなり頻繁にやりとりをしていたので、編集者さんに本にできないか相談する前に「こんなことを考えてるんですけど、どうでしょうか?」というお話をしたら、「ぜひ。私も読んでみたいです」と言ってくださっていたんです。

お母様にも、お姉さまから聞いてくださって、「ますみさんが形にするのなら、ぜひ」みたいなお返事をいただいていました。だから、noteに記事を投稿したときも、すごく喜んでくださったというか、「細かいところまで覚えていて、弟のことをこんなふうに考えてくださって、本当に嬉しいです」といった内容のLINEをいただきました。

──noteの投稿を書いたことで、とにかく吐き出したかった気持ちには、どのような変化があったのでしょうか?

あさの 書いたことで、ちょっと落ち着いたというか。ずっと言葉にできなくて頭の中でグルグルしていたので、それには一段落がつきました。でも、頭の中ですごくたくさん「君」のことを考えてしまうという状況は変わらなかったです。

それに、いろいろな人からいただいたコメントや感想を読んで、ちょっと誤解して受け取っている人もいるなと思うこともあったので、もっと書きたいという気持ちになりました。noteに書いたものは、そんなに長い文章ではなかったので、特に。

──『逝ってしまった君へ』は、当初noteの姉妹サイト「cakes」で長期連載化される予定でしたが、紆余曲折があり、小学館から書籍として出版されることになりました。

あさの noteにはかなり短く書きましたが、実際には「君」が亡くなってから、彼にまつわることがすごくたくさんあったんです。遺品整理が3回あったり、お墓参りに行ったり。そういった経験や、そのときに感じたことを章立てて書いていこうと思いました。「cakes」の編集者さんにも、最初に「この章ではこんなことを書きます」というかなり詳細なプロットを作って送っていて、「それでいきましょう」という話だったんですけどね……。けっきょく、連載ができないことになり、小学館の編集者さんが声をかけてくださったんです。

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