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負けられない戦いがある!?『武士スタント逢坂くん!』第2話
逢坂総司郎(濱田祟裕)と緋村清人(森本慎太郎 / SixTONES)がふんどし姿で相撲対決――。【前話レビュー】『武士スタント逢坂くん!』まっすぐに好きなものを追う姿、一生懸命さになんだか泣けてきた第1話
7月26日からスタートしたシンドラ『武士スタント逢坂くん!』(日本テレビ系)。原作はヨコヤマノブオ『武士スタント逢坂くん!』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)、脚本は坪田文。
弟子入りが決定した前回。第2話は待望の初仕事! 消しゴムで下書きを消す作業を任されたのだが……。
漫画家の宮上裕樹(今井隆文)の手元をじっと見つめる逢坂。先生への敬意の念が強すぎて、作業を妨げてしまっていた。漫画でも読むように勧められると、吉田戦車の『伝染るんです。』を読んで号泣する逢坂。
逢坂の昂る魂に心動かされ、アシスタントとして採用したものの、原稿に触れさせることに戸惑っていた宮上先生。その心配は見事に的中……というよりは想像の斜め上をいくものだった。
江戸の時代にはなかった消しゴムの存在を知り、「消えたでござる!!」と感動する。「どんどん消してください」と宮上先生から手渡されたものの、「消す……!?」と目が泳ぐ逢坂。下書きとはいえ、尊敬する先生の絵を自らの手で消してしまう行為について葛藤していた。
原稿を前にどんどん呼吸が荒くなり、消しゴムを持つ右手を左手でおさえながら、「んーー!! ん!! んっんっ……」。息を吸ったり吐いたり、呼吸が早くなる。目をギュッと閉じ、のけぞりながら「先生!! 逢坂には、できません!!」。
デスクに突っ伏して涙する逢坂。それを隣で冷静に、少し冷ややかな目で見つめる緋村。
消しゴムがけだけでこの有様である。とにかく先生への敬意と漫画愛、思いが強すぎるのだ。宮上先生からの説明、説得でどうにか着手したものの、日の目をみることもなく、消される運命にある下書きにかつての自分とを重ねていた。
姿勢を正し、原稿に向き合う逢坂。スッと少し力んだ様子で斜め上方向に消しゴムを滑らせた。第1話でも真横にスーッと線を引いたように、逢坂の一投目は意外と思い切りがいい。
あれほど躊躇していた逢坂だったが、何回も消しゴムを滑らせると、どこか清々しい表情。
緋村清人の過去
第2話は、チーフアシスタントの緋村清人のアシスタントになるまでの経緯にも触れた回だった。グリーンのノースリーブシャツ姿でペンを持つ……さりげなくSixTONESでのメンバーカラーを身に着けているのが嬉しい。第1話でも、逢坂の登場によって宮上先生が楽しそうに仕事をしていることに気が付いた担当編集の丹内あたり(久保田紗友)。一方、緋村も逢坂が登場後の変化を気にかけていた。
宮上先生や担当編集の丹内、同僚の瀬戸水緒(長井短)も逢坂を面白がり、受け入れていた。

アトリエの中でも、冷静で常識的で、宮上先生と瀬戸とのバランスをとる存在。先生たちの変化、宮上先生の懐に入っていく様が面白くなかったのかもしれないが、逢坂の暴走ともとれる振る舞いに首を傾げる緋村。屋上での筋トレ、デスクでもリストウェイトを巻きつけ、筋トレにより一層力を入れていた。
アトリエを訪ねてきた丹内と宮上先生との打ち合わせに、興味津々の逢坂の前に立ちはだかった緋村。筋トレの甲斐あって、そう簡単には倒せない相手にみえたものの、逢坂は白目をむきながらも「要すべり」なる華麗な足運びで交わした。
「先生にとって大事な時間とわかりませんか?」――武士らしい俊敏な身のこなしだったが、緋村のこの一言でさらに取り乱し、もうひと波乱。この時の緋村は、このところ逢坂を意識しすぎたのか、口調が逢坂っぽく聞こえた。
緋村は漫画家を志して上京したものの、漫画の持ち込みも上手くいかず。そんな時に出会ったのが宮上先生の漫画。作品に漫画家としての魂を揺さぶられた一人だった。右腕として先生を支えてきた、チーフアシスタントとしてのプライドもある。逢坂に勝負を持ちかけた。
「古来より、男と男の勝負は肉と肉のぶつかり合いと決まってるからですよ」という瀬戸の提案で相撲対決をすることになった二人。ふんどし姿の逢坂と緋村。地を揺らす四股踏みを披露した緋村。
二人とも目力ある真剣な表情で、引き締まった肉体美にうっとり……する間もなく、さっきまで取り乱した逢坂とは思えぬ顔つき。「春画を描くときに必要なのは依頼主の昂り、強い意志を勝ち取ること」。鋭い目つきに、春画師としての職人魂を感じた。

言葉ではなく、裸同然の相撲対決を通して心が通じ合った二人。逢坂が緋村の思いを汲んだのと同じく、緋村も逢坂の漫画に対する愛、真剣さを受け入れた。「どこまでも漫画(笑)」と笑う緋村。さっきまでの曇った表情からは打って変わって、瞳をキラキラと輝かせた良い表情だ。
思わず声に出して笑ってしまうポイントがいくつもあるなど、コミカルに描かれているのだが、逢坂と緋村のやりとりに最後は胸がジーンとした。最後にほどけたふんどしをビーチフラッグスのように掴んでいたのにまた笑い。濱田と森本の演技力が発揮された回だった。
これまでは暴走気味な逢坂と、それを冷ややかに見ていた緋村の構図があったが、今回の一件を通して関係性が変わったことで、第3話からは違った展開がみられそうだ。
「見える……見えまする! タコと、女人の時間が!」と、逢坂が描いた春画に時間や動きを伝える描写が加わったことで躍動感ある画になった。一枚絵と複数のコマ割りで描かれた漫画の違いも発見した逢坂。これから描く絵にも大きな変化がありそうだ。
(柚月裕実)
『武士スタント逢坂くん!』Kindle版 1〜6巻
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番組情報
『武士スタント逢坂くん!』第3話:8月9日(月)24:59〜
第4話:8月16日(月)25:04〜
主演:濱田崇裕(ジャニーズWEST) 森本慎太郎 久保田紗友 長井短 今井隆文
原作:ヨコヤマノブオ『武士スタント逢坂くん!』(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
脚本:坪田文 伊達さん
演出:渋江修平 大江海
音楽:近谷直之
編成企画:安島隆 河野雄平
コンテンツプロデューサー:岩崎広樹
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:諸田景子 長松谷太郎 中野有香
制作プロダクション:ギークサイト
製作著作:日本テレビ ジェイ・ストーム
(C)ヨコヤマノブオ・小学館/NTV・JStorm
番組公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bushi/
番組公式サイト:@bushi_ntv
第3話あらすじ
春画師である武士・逢坂くん(濱田崇裕)は、漫画家アシスタント権を賭けて、チーフアシスタント・緋村(森本慎太郎)と相撲という男同士の戦いを経て勝利!師匠の漫画家・宮上(今井隆文)、アシスタントの緋村、瀬戸(長井短)と表現の自由にあふれる令和の世を楽しく過ごしていた。しかし、逢坂くんは、宮上の担当編集・丹内(久保田紗友)を見ると胸がドキドキし、気になって仕方ない。
ある日、宮上と丹内と共に、漫画のシナリオ探しのために公園へ。丹内は写真が趣味で、宮上の資料写真をしばしば撮影しているという。逢坂くんは初めて見る「写真」に嫉妬。瞬間で画を切り取れるなんて……惨敗! 己、存在する価値なし!と立ち去ってしまう。スマホもない、帰り方もわからない逢坂くんはどこへ行ってしまったのか!?
柚月裕実
Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。
@hiromin2013