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『おかえりモネ』第112回 顔を見合わせて笑い合う『あさイチ』の清原果耶と蒔田彩珠にほっとする朝

『おかえりモネ』第23週「大人たちの決着」

第112回〈10月19日(火)放送 作:安達奈緒子、演出:梶原登城〉

※本文にネタバレを含みます

※『おかえりモネ』第113回のレビューを更新しましたら、Twitterでお知らせします


新次、動く。亮(永瀬廉)が「俺、幸せになってもいいのかな」と言っていたと聞いた新次(浅野忠信)は9年間、出さずにいた美波(坂井真紀)の死亡届を出す決意をする。それによって下りた見舞金や保険金を亮の船の足しにしようと考えたのだ。嵐に巻き込まれた亮の無事を祈った時、浮かんだのは美波で、新次はとっくに彼女があの世にいると認識していたことを自覚する。今、生きている息子のために、妻の死を認める。父として、人間として、新次がようやく一歩踏み出した。

【レビュー一覧】『おかえりモネ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜第112回掲載中)

百音(清原果耶)は永浦家に新次を連れ来て、未知(蒔田彩珠)に亮を連れて来るように指示する。百音はこうやってバラバラになった人たちを繋げ、立派に人の役に立って入ることに気づいているだろうか。

永浦家に来た新次はいちごの入った箱を亜哉子(鈴木京香)に渡す。亜哉子は「こんな立派なものもらっちゃって」と箱の表面をなでる。このワンアクションが亜哉子らしい。大人の儀礼を心得ている。

儀礼といえば、ひさしぶりに、百音が生まれた時、嵐の中、亀島から本土に船を出してくれたのが新次だった話題が出る。この話が島では常に語られていて、そのたび、お決まりのようにその節はありがとうございましたと亜哉子や百音がお礼を言うことがドラマの序盤で描かれていた。

この回、ひさしぶりに亜哉子と百音が新次に「その節は〜」とやる。震災以後はそんなたわいのない儀式すらきっと減っていたのではないだろうか。予期せぬ災害は、たわいない日常の笑い事としての儀式すら奪っていく。たわいない日常の繰り返しがいかに幸福か、人は何かがあった時に気づくのだ。

どんな時でも決して欠かせないのは線香をあげること。これだけは永浦家に来た人たちがまず行うことである。線香をあげることが亡くなった人への思いやり。永浦家の雅代(竹下景子)は亡くなった人と誰もが思っている。亡くなった人を想い過ぎる愛の深さも尊いけれど、亡くなった人と認識されたほうが穏やかかもしれない。

でも簡単に割り切れないから、新次はずっと苦しんで来た。「ほんとごめんなもう」と亮と目を合わせずに言う新次。じわりと反応する亮。父と子は難しいから、容易に向き合って本音を言い合えないのだろう。

もうひとりの父と子といえば、龍己(藤竜也)耕治(内野聖陽)。仙台支店への栄転を前に銀行を辞めて永浦水産を継ぐと言い出した耕治を「海舐めてるのか」と叱りつける龍己だったが、内心は息子のことを思っている。ここまで勤め上げたのだからもったいないと考えていた。

この発想は龍己らしいのだと思う。龍己は亀島のトップ漁師として勤め上げた末に牡蠣の養殖をやっていて金賞まで上り詰めた。てっぺん獲るのが男の甲斐性みたいな感覚があるのだろう。

耕治はそういうマッチョな攻める感覚があんまりなく、だから音楽の世界では自由に演奏を楽しみ、金融の世界では堅実に保守的に勤めてきた(「金は大事だ。生き死にに関わる」というセリフがある)。内野聖陽のこれまで演じてきた役はどちらかといえばマッチョな――勝負の世界に生きるようなイメージなのだが、耕治は堅実派。そんな耕治が人生、一度、勝負に出ようとしていることが興味深い。

亜哉子は耕治を心配しつつ受け入れているようで、銀行を続けたほうがいいとは考えていない。理解ある妻である。今のところ各々の意見がすり合っていないだけで、誰もがあくまで善意であることに救いがある。


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NHK「連続テレビ小説」第104作目の作品。宮城県気仙沼市の離島・亀島で育った清原果耶演じるヒロインの永浦百音が、気象予報を通じて幸せな「未来」を届ける希望の物語。2021年5月17日~10月29日放送。

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