林芳正官房長官は22日、総理官邸の庭の一部に東京電力福島第一原発事故により放射線物質に汚染された土壌のうち「政府が決めた安全基準値(1キログラム当たり放射線が8000ベクレル以下=1秒間に崩壊する原子核の数)」をクリアした除染土(汚染土)を入れた現場を視察した。
基準値をクリアした土は公共事業に再利用できるなどとし、福島県内での汚染土除去土壌を福島県外で再利用し、除去汚染土の量を減量させる狙い。
除染土には半減期が30年という放射性物質「セシウム137」などが含まれており、1キログラム当たり放射線が8000ベクレル以下で安全とする基準についても、科学的根拠などに疑問を呈する専門家の声もある。
林官房長官は「政府が率先して復興再生利用に取り組んでいくことで国民に御理解をいただくことが大変重要と考えている。本日は4トントラック1台分の土壌がこの首相官邸でしっかり施工されていることが確認できた。今後の各府省庁の口火を切る取組みとして大変有意義であったと考えている」と再生利用に理解を求めた。
除染土と指定廃棄物は2045年3月までに福島県外で最終処分することを法定しているため、政府は対応に追われているが、最終処分場は現在も決まっていない。(編集担当:森高龍二)