国内の新型コロナウイルス感染者数も落ち着き始め、昨年や一昨年に比べて、穏やかなスタートを切った2022年。経済面も一時期の壊滅的な落ち込みからは脱却し、徐々に回復の兆しを見せている。
一方、改善が続いていた製造業は停滞気味となった。コロナ禍の影響による供給制約や、原材料価格の高騰が原因として考えられる。中でも半導体不足は世界的な問題となっている。
既に動き出している日本の企業もある。電子部品メーカーのロームは、需要が拡大するアナログLSI及びトランジスタの生産能力強化を図るため、マレーシアの製造子会社であるROHM-Wako Electronics(Malaysia) Sdn. Bhd.に新棟を建設することを決定した。
精密部品メーカーのスター精密は、工作機械を生産する海外2拠点の生産能力を増強することを決定した。2022年2月に中国工場、22年末をめどにタイ工場の生産能力を、各々3割ほど高める方針だ。同時に、今まで主に海外拠点が担ってきた1000万円前後の中低価格帯機種の製造について、役割分担を見直すことになった。
同じく精密部品メーカーの田中電子工業株式会社では、台湾の高雄市に3拠点目となる新工場を設立することを発表した。半導体の周辺部品であるボンディングワイヤを製造する同社では、素材として金よりもコストパフォーマンスの優れたPCCワイヤを製造している。家電や自動車のみならず、身の回りの電子機器にも用いられることが多く、今後の需要増が見込まれている。拠点を増やすことで、品質を落とすことなく、安定した供給が出来るよう体制を整えている。
2022年になっても引き続き懸念されるのは、残念ながら新型コロナウイルスだ。変異株として現れたオミクロン株が、世界で猛威を振るっている。いつ国内でも感染が拡大するかわからない。ただ、これまで何度も繰り返してきたように、感染が拡大すれば、いずれ減少に転じる。一時的な経済の冷え込みも、いずれ回復する。製造業と非製造業の両輪がスムーズに回転して初めて、スムーズな経済回復が実現する。