昨年の10月に緊急事態宣言が解除され、その後、再度宣言が発出されることなく、無事の年越しとなった。新年を迎えて気持ちも新たにお出かけして、といきたいところだが、実際のところはどうだろう。
コロナ禍のステイホームは、なかなか気が滅入ってくるものだ。しかも子供がいらっしゃるご家庭であれば、子供にもステイホームさせることになり、親子共々ストレスを抱え、精神衛生上よろしくない。感染対策が徹底されていて、混雑や換気を気にすることなく、親子で楽しむことができるお出かけ先。そんな理想のお出かけ先が、民間企業主体で地方に増えてきているのをご存知だろうか?
まず、地方に本社を構える企業から。
次は、都市圏に本社を持つ企業が、地方でイベントを開催するケースだ。大手飲料メーカーの株式会社伊藤園が、滋賀県の琵琶湖でヨシ狩り体験を開催する。同社では、『お~いお茶「お茶で琵琶湖を美しく。」キャンペーン』を2008年から継続している。ヨシには水質保全に役立つはたらきがあり、健全なヨシ群落を育てるために、定期的なヨシ狩りは欠かせない作業だ。このイベントは、琵琶湖の自然環境に興味を持っている方であれば、誰でも応募することができる。ヨシ狩りを通じて、親子で自然環境について考える、良い機会になるのではないだろうか。
最後は、本社機能を地方に移転した企業だ。一昨年の9月に、淡路島へ本社機能の一部移転を発表した大手人材派遣事業の(株)パソナグループが、昨年の8月、劇場・レストラン「青海波(せいかいは)」を開業した。地元の山海の幸を堪能できるこのレストランでは、音楽のプロを目指す若者集団「音楽島」のメンバーが、食事中に音楽を奏でて、従業員としても活躍している。コンサート会場のような混雑や換気を気にすることはなく、感染対策もしっかり行われている。地元の美味しい料理も楽しめて、更に間近で芸術鑑賞ができる。親子にとって印象深い休日になること間違いなしだ。
紹介したイベントや取り組みは一部であり、他にも多くの民間企業が、地方へ人を呼び込むという課題に取り組んでいる。反対に都市圏に住む人の目も、コロナ禍以前に比べ、地方に向けられることが多くなった。自粛要請の続いた都市圏から、地方へ移住するという方も増えている。リモートワークの普及で、必ずしも都市圏に住まなくても仕事ができるようになった。「コロナ禍のお出かけ」という話題は、もしかすると地域格差の解消や、地方創生の発展に繋がるのかも知れない、とさえ思わせてくれる。少し話が飛躍したが、お出かけで混雑を心配している方は、地方へのお出かけを検討してみてはいかがだろうか。