電気料金が高騰し、新電力(電気小売事業者)の撤退や倒産で電力会社と契約ができない「電力難民企業」が増加しているようだ。2016年に電力の小売全面自由化が行われた後、新電力による販売量は順調に拡大してきた。
6月13日、帝国データバンクが「新電力会社事業撤退動向調査(6月分)」の結果レポートを公表している。これによれば、経産省の集計として、「電力小売業者の倒産や撤退などで契約の継続が難しくなり、大手電力会社等から供給を受ける『電力難民』企業が、5月に入り1万3045件発生」し、4月の5133件から倍増している。調達価格の高騰で利益確保が困難になった新電力の撤退や倒産が相次いでおり、「発電設備を持たない売電事業の限界も露呈している」とレポートは指摘している。
6月8日時点で契約停止を行った新電力会社は69社、倒産・廃業が19社、撤退16社、合計で104社となり、全体の15%が電気事業の停止・撤退となっている。3月末時点での同合計は31社であったから2カ月間で3倍超に急増したことになる。
停止・撤退を行った新電力の多くが自前の発電所を持たず、発送配電コストを圧縮し、割安な料金設定で顧客を獲得してきた。市場価格高騰で調達コストが高止まりし、採算維持が困難になった事業者が撤退、倒産・廃業を余儀なくされている。調達価格の上昇分を売電価格に反映させる動きが続いているが、調達価格の上昇幅を大きく下回っており、1月には赤字に転じ「逆ザヤ」状態となった。中でも「家庭用より安値に設定されている事業者向け特高・高圧分野では、既に逆ザヤが常態化している」ようだ。