日本経済新聞社は、ファーストリテイリング、ソフトバンク、ファナックを、日経平均の225銘柄から除外してもいいのではないか。


 3月8日、東京株式市場は午前中から全面高になり、日経平均株価終値は前日比315.54円高の12283.62円と、大幅高で終了した。

日経平均は2月28日以来7日連続で上昇し、その間に1029円も上昇している。だが、この7連騰は3日前の3月5日に途切れても、全くおかしくなかった。


 3月5日は、東京市場のもう一つの代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)は、午後の取引ではずっと前日比マイナスが続き、終値も-3.63の988.62だった。東証1部の値下がり銘柄数は815で値上がり銘柄数738を上回っており、相場は全体的に「弱含み」と言えた。しかし、日経平均は31.16円高の11683.45円で終わっている。


 同様のねじれ現象は最近では2月22日の取引時間中にも起きている。

また、全く逆のパターンの「日経平均は値下がり、TOPIXはプラス」という現象も3月1日の取引時間中に起きており、さかのぼれば2月19日は終値までそれが続いている。
 


 なぜ、そんなことが起きるのか。


 日経平均は日本を代表する225種、TOPIXは東証1部全銘柄(3月8日時点で1710種)が対象で、銘柄数が異なる。また計算方法も、日経平均が増資や株式分割や権利落ち等の影響を調整した「修正平均株価指数」、TOPIXが浮動株基準を加味した「時価総額加重平均型株価指数」で、違っている。だから同じ日に一方がプラスで一方がマイナスになることは、理論的にはありうる。


 教科書的な解説には、「日経平均は株価が高い値がさ銘柄の株価変動の影響を受けやすく、TOPIXは時価総額が大きい銘柄の株価変動の影響を受けやすい」とある。


 だが、現状の日経平均株価の値動きは、その値がさ銘柄の中でも特に1種ないし3種程度の銘柄の株価変動に、きわめて大きな影響を受けていることをまず指摘しておこう。これは市場関係者の間では今さら言われなくてもわかりきったことなのだが、ファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>の3銘柄で、「日経平均寄与度御三家」とも呼ばれている。


 この3銘柄がどれだけ大きな影響を及ぼしているかというと、3月8日は「御三家」が揃って上昇して合計で日経平均を140円押し上げ、3銘柄の寄与度が上昇幅の約44%を占めた。3月6日はファーストリテイリングとソフトバンクの2銘柄で日経平均を115円押し上げ、上昇幅の約46%を占めた。3月5日はファーストリテイリングだけで日経平均を56円押し上げ、たった1銘柄の力で日経平均終値をマイナス25円からプラス31円高に変身させている。日経平均の続伸が途切れずに3月8日まで7連騰できたのは、5日のファーストリテイリングの大幅高の「魔法」のおかげと言う他はない。


 3月1日の午前中は、そのファーストリテイリングの「逆噴射」のせいで、TOPIXがプラスでも日経平均がなかなかプラスに浮上できないという全く逆のシーンもあった。


 「寄与度御三家」を日経平均から追放する。


 もちろん、魔法をかけたのはファーストリテイリングという企業自体でも柳井正会長でもない。証券コード9983の普通株式の売買により、日経平均を自らの思いのままに操ろうとする「勢力」である。それは日経平均が大きく上昇して目標数値を上回ったり、前日比プラスを維持することで何らかのメリットを享受できる勢力である。ここでは彼らを批判するのが目的ではないので名指しはしないが、非常に大きな資金力を持ち、主に日経平均先物のトレードで利益をあげている勢力とだけ言っておこう。


 彼らが「日経平均なんてチョロい」と思っているかどうかは知らないが、日経平均が寄与度御三家の大量売買でこのようにコントロールされてしまうというのは、厳然たる事実である。もし今、故意にこの3銘柄だけが集中的に売り浴びせられ、「日経平均300円安、TOPIX+10」といった強烈なねじれ現象が発生したら、どうなるだろう。TOPIXのプラスはろくに見てくれず、テレビのニュースは「今日の東京市場では株価が暴落しています!」と絶叫し、新聞は「アベノミクスついに破たん」「政局、重大局面へ」などと見出しに書くだろう。


 世界に配信される「Nikkei225」の株価指標は、実は1~3種の銘柄の株価変動にきわめて大きな影響を受けており、やろうと思えばコントロールも可能。そんな状態をこのまま放置したら、単なる株価指数の問題にとどまらず、日本の株式市場全体の信用にもかかわってくる。