【写真】ピン芸人としてブレイク中の吉住
──『THE W』での優勝後、反響はいかがでしたか?
吉住 いろんな方から連絡いただきました。事務所(人力舎)の先輩方のおぎやはぎさんとか、アンジャッシュさん、アンタッチャブルさん、東京03さん、一緒にライブに出ているような近い先輩も……。みんな社を挙げて喜んでくれてるな、って感じです。それは本当にありがたいですね。他にも地元の人とか、中学の友達が連名でおめでとうってお祝い送ってくれたり。こっちに関しては「意外と嫌われてなかったんだな」っていうのが率直な感想です(笑)。
──旧交を温められるとは思っていなかった?
吉住 そうですね。芸人を始めるときに、基本的に人間関係を断って「売れるまで帰ってこれないな」ぐらいのつもりで上京してきたので。どうやって私の連絡先を知ったんだろう、という人も結構いたりしたんですけど(笑)。
──『THE W』には18年大会にも出られていますが、2度目の出場にかける意気込みは大きかったでしょうか。
吉住 20年はNHKお笑い新人大賞の本選と、TBSラジオの『Laughter Night』という番組のグランドチャンピオン大会にも出させていただいたんですけど、どっちも優勝することができなくて。それから18年の『THE W』でも、決勝に出られたはいいけど、正直その後に仕事が増えたりとか、そういう変化がなかったんです。
むしろ、優勝できたときを見越して仮で入っていた仕事がバラシになって、「これ、ちょっとマイナスじゃない?」っていう(笑)。あの絶望を味わったので、昨年の『THE W』は、「優勝しなきゃ意味がない、とにかく優勝したい!」という、その気持ちだけで臨んだところがありました。決勝の後はこんなに景色が変わるのか……というか、まっすぐ前を向いて歩いていいんだ、という感じになりました。テレビで見ていた有名な人に会ったりして、「うわ、めちゃくちゃ芸能界じゃん!」って思ったり。
──新たな仕事で印象深いのは?
吉住 食レポへの苦手意識がすごいですね(苦笑)。テレビっておしゃれな店を取り上げることが多いから、私が今まで食べたことがないようなすごく複雑な味がすることがあって。辛いのか甘いのか、酸っぱいのかしょっぱいのか「もう分からん! ムズいムズい!」っていうときがありました。赤かったら辛い、とかもっとストレートに来てくれよって。出てくるコメントが「美味しいですね」ぐらいで(笑)。
一緒にロケした芸人さんたちはうまくボケるのに、私は何か言って営業妨害になったらどうしよう、とか考えちゃったりして何も言えなくなって、あとで落ち込んで号泣するという(笑)。もうちょっと勉強しないと、とは思っています。
──ちなみに、いやらしい話ですが、優勝賞金やその後の仕事での〝ビッグマネー〟はもう手元に?
吉住 いえ、まだお給料には反映されていなくて。
(中編に続く)
【中編はこちら】「THE W」優勝・吉住が明かす芸人への道、コント師を夢見るも進学校で親が大反対
【後編はこちら】「THE W」優勝・吉住が語る“誰も傷つけない笑い”「やりづらいと思うことも無いとは言えない」
▽吉住(よしずみ)
1989年11月12日生まれ。福岡県北九州市出身。『女芸人No.1決定戦THE W』2020優勝。ドラマチックなで独特な1人コントが持ち味。映画『私をくいとめて』に本人役で登場している。
Twitter:@YOSHIZUMI_2015