『月刊エンタメ』に連載中の「井上咲楽の政治家対談」、今回は新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣を務める河野太郎議員が登場。昆虫食の話題や、本誌掲載に先駆けて今一番気になるワクチンについて直撃した。
(前後編の前編)

【写真】初めて会う河野議員に緊張が隠せない井上咲楽&執務室の様子

河野 ごめんね、この部屋臭うでしょう。おやつにドリアン、食っちゃったもんで(笑)。

井上 いえいえ! ドリアン、お好きなんですか?

河野 うん、大好きなの。シンガポールに2年、駐在で住んでいて、その頃は夕飯がわりに食べていたんです。その話が広まったのか、外務大臣のときはいろんな国の大使館からドリアンが届いてね。ある日、外務省の大臣室でドリアンを食っていたら「ガス漏れです!」と騒ぎになって、警備の人が大臣室のドアを開け、「あ、ここだ……」となったことも(笑)。

井上 私は食べたことがないんですけど、廊下の時点で臭いが漂っていて何だろうと思っていました(笑)。でも私も今日、河野さんにドリアンと同じくらい栄養があるおみやげを持ってきました! コオロギです。

河野 すごい! これは揚げてあるの?

井上 フリーズドライ製法の昆虫で、コオロギが3種類入っています。私、昆虫食に興味があって、いろいろ食べては勧めているんですよ。

河野 やった、これ政務官にも勧めよう(笑)。僕は外務大臣だったとき、ラオスに行って向こうの外務大臣と会食したんだけど、そこで緑色のスープが出てきてね。
白いふわふわっとしたものが浮いていて、何だろう? と思いながらも口に入れたらおいしくて。のちのちラオスの外務大臣がアリのタマゴだって教えてくれたんですよ。

井上 さすが、昆虫食が文化なラオスですね! どんな味なんですか?

河野 フルーツを食べるアリのタマゴで、ほんのり甘かった。ほかにも竹の中に住んでいる尺取虫を油で揚げた料理も出てきたな。尺取虫がピーンっと体を伸ばしきっている状態で、目があって、小さな足が何十本もダーッとついていて、なかなかの見た目でね……。でも、「これはラオスの名物だ!」と勧められたので食ってみたら、カリカリに揚げてられて、塩味でおいしい。酒を飲む日本人なら、「これ、ビールに合いそう」と思うような感じだったな。

井上 いいですね~、おいしそう。

河野 なので逆にラオスの外務大臣がこっちに来たときは、お弁当にイナゴの佃煮と蜂の子かなんかを入れて出しました。蓋を開けてから爆笑していたね。

井上 昆虫食外交(笑)! 素敵ですね。コロナが収まったら、ラオスに行くのが私の夢の1つでもあるんです。
そこで、さっそくワクチンのことをうかがっていきたいんですが……。

河野 はい。どうぞ、何でも聞いてください。

井上 日本でも2月からワクチンの接種が始まって、医療従事者の皆さん、高齢者の方々と順に進んでいますが、私たち若者世代に届くのはいつ頃になりそうですか?

河野 まず、日本のワクチン接種は「予防接種法」という法律に則って行われるんですね。この法律で接種は市区町村が行うと定められていて、国はワクチンを届け、自治体をサポートする役割を担います。接種のスケジュールを決めるのは市区町村。地域によって早い、遅いが出てきます。というのも、今のファイザー製のワクチンは大雑把に言うと、1箱で1000人分なんですね。政府は1箱単位で-70℃に冷やし、市区町村にお届けします。例えば、人口の少ない村で村民が1000人以下、人口300人の離島にワクチンが1箱届いたとしましょう。その場合、医療従事者、高齢者という順にこだわらず人口300人のところに1000人分届いたんだから、全員に打とう、と。ワクチンが保存できる期間には限りがありますから、そのほうが効率的ですよね。


井上 なるほど。

河野 実際、沖縄の津堅島ではすでに16歳以上の全島民がワクチンを打っています。そういう地域もあれば、横浜市のように人口372万人となれば、お医者さんに協力をしてもらって一生懸命、全力投球していますと言っても全世代に接種が行き渡るのはそう簡単ではない。自治体によって早い遅いはこれからはっきりと出てきます。ですから、咲楽さんの質問の「いつ頃、若者世代に接種が始まるか?」に戻ると、1人ひとりの住んでいる自治体の環境次第というのが正直な答えになります。

井上 地域差が出てきます、と。

河野 これは仕方がないところなんです。早く打てるところに「他がまだだから待っていてください」とはいかないし、人口が多い市区町村で離島と同じスピードの接種も無理ですから。早い遅いが出るのはお許しをいただき、でもワクチンの確保はしっかりとできていますから安心してください。

井上 イギリスでは政府が、アストラゼネカ製のワクチンの接種を30歳以下の人には推奨しないと発表したというニュースがありました。副作用に対して不安な気持ちを持っている人も少なくないと思います。

河野 どんなワクチンにも副反応はあります。
むしろ副反応がないワクチンはたぶん効かないんだと思うんですよ。コロナのワクチンはインフルエンザのワクチンよりも副反応がきついです。ワクチンが働き始めると、8割から9割の人に注射した部分が赤くなったり、腫れてきたり、痛みが出て肩が上がりにくくなったり、といった副反応が出ます。ですから、外科のお医者さんは手術の前の日には打ちません。腕に違和感があると困るから。また、1回目の接種の後、1%くらいの人が翌日に38℃の熱を出しています。ただ、患部の違和感も熱も1日、2日で収まります。

井上 そうなんですね。

河野 ただ、2回目の接種後の方が副反応の出る確率が高く10%のくらいの人が38℃の熱を出します。出でも、それも1日、2日で下がりますし、腕の痛みもなくなります。また、腕の痛みが強ければ痛み止めを飲んでもいいし、熱が高くてだるいなら解熱剤を飲んでもいい。副反応でだるいねってこともあると思います。
でも、それはワクチンが働いているからです。

井上 副反応よりもコロナが怖いですもんね。

河野 このワクチンはコロナにかかっても症状が出ない、重症化しない、発症予防の効果が非常に高いんです。有効性は95%。インフルエンザのワクチンの有効率は50%程度なので、かなり効くワクチンです。だから、副反応は出るけど、承知した上で打ってくださいね、と。熱が出たり、腕が痛くなったりすることもありますけど、それは1日、2日でなくなります。コロナの症状が出ない方が個人としての利益も大きいですから打ってください、とお願いしています。

>>後編につづく

(文/佐口賢作)
▽井上咲楽(いのうえ・さくら
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。『アッコにおまかせ!』(TBS)、『おはスタ』(テレビ東京)、『めざまし8』(フジテレビ)などに出演中。2020年末の番組でトレードマークの眉毛をカットし大きな話題を呼んだ。

Twitter:@bling2sakura

▽河野太郎(こうの・たろう)
1963年1月10日生まれ、神奈川県出身。自由民主党所属衆議院議員。米ジョージタウン大学卒業後、1996年に初当選以来8期当選。外務大臣や防衛大臣などを経て、2020年から規制改革・行政改革、国家公務員制度、新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣。
Twitter:@konotarogomame
編集部おすすめ