【写真】伊野尾&神宮寺の新たな一面も、『准教授・高槻彰良の推察』撮影風景
8月21日(土)放送の第3話では、高槻が運営するサイト【隣のハナシ】に1本の動画が届き、鬼伝説が残る村に高槻たちは調査に向かうことに。そこで、額に穴が開いた髑髏が出るわ、毛皮を羽織り猟銃を手にした異様な姿の老人(久保酎吉)が怒鳴り込みに来るわ、無表情で赤子を抱いた女(奥村佳恵)が現れるわと、急に横溝正史的世界観をぶっこんでくるさすがの土ドラワールド。
ちなみに、その老人を演じる久保は、本作と同じオトナの土ドラ枠『その女、ジルバ』のブラジルパートで、池脇千鶴演じるジルバ夫妻の財産をだまし取った義兄・賀太郎役。赤子を抱いた女を演じる奥村は、9年前の昼ドラ『赤い糸の女』で主役の三倉茉奈につきまとう謎の女・芹亜役を演じていた。そんな東海テレビと縁の深い役者がゲスト出演する第3話では、洞窟が重要な場として登場。今回は、そのロケ風景や、伊野尾・神宮寺・吉沢の撮影秘話をレポートする。
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6月初旬、その日は晴れで気温は24℃と半袖の服で十分快適なロケ日和だったが、洞窟の中に入ると一気にひんやりとした空気を感じた。数日前の雨のせいで頭上のそこかしこの岩から水滴が落ち、足元がぬかるんでいる。この洞窟は不思議な形状をしていて今回、撮影のメインとなる場所は上部が円形状に空いているため、内部でスモークを焚くと、上空から差し込む光が幾筋も見えて、幻想的な映像美が作り出される。そこに伊野尾演じる高槻が本番用の衣装で現れたのだが…あれ?高槻先生の衣装がいつもの紺色ベースの英国風スーツじゃない!?
それについてスタイリストに話を聞くと「アウトドアのシーンなので今回はちょっと変わったものをと思い、スポーツ用ニッカポッカを選びました。ニッカポッカというと建築現場をイメージされる方も多いと思いますが、元はニッカーボッカーズと言って、ゴルフや登山の正装だったこともある伝統的スタイル。
この日、撮影したシーンは、高槻が調査のため3メートル超の脚立に登っていると“ある事”が起きて落下。下にいた尚哉が慌てて高槻を受け止めようとする、という場面だ。岩でゴツゴツする地面にマットを敷き、安全を管理するスタッフも入れて、入念な確認作業を進めていく。脚立に登った伊野尾に、スタッフが「大丈夫ですか?」と声をかけると「気持ちいい!」と余裕の一言を返す伊野尾。そして監督に「落ちる時、顔は少しカメラ側に向けた方がいいですか?」と質問し、まずは、その方向でやってみることに。マットがあるとはいえ実際に落下し、それを受け止める伊野尾と神宮寺に怪我があってはいけない。スタッフに緊張感が走る中、カメラが回り、いよいよ本番。
神宮寺を信頼し脱力した状態でフワリと落ちてくる伊野尾、そしてその伊野尾を受け止め一緒にマットに倒れこむ神宮寺。一連の演技が終わり、カットがかかると監督が神宮寺に「今、カメラ目線したでしょ?」とニヤリ。一発勝負のシーンだからこそ、神宮寺はきちんとカメラの位置を確認して演技していたのだ。そんな神宮寺にだからこそ、安心して身をゆだねた伊野尾。
ロケは3日間に渡って行われたのだが、筆者がお邪魔したのは最終日。鳥のさえずりや木々のざわめきが心地よい大自然でのロケ中、伊野尾も神宮寺もとてもリラックスしているように見えた。そんな中、今までのイメージとは違う新たな一面が浮き彫りに!!伊野尾のマネージャーに前日2日間の様子を聞くと、伊野尾はどうやら虫にハマっていたようで、昨日はダンゴ虫、今日はクモと撮影の合い間に見つけた虫を自分のスマホで写真を撮ってはジャニーズ事務所が運営する有料サイト「Johnny’s web」に「昆虫web」と題して投稿していたとか…ほぼ連日連夜の撮影で初座長として全集中する伊野尾にとって、虫“撮”りが息抜きの時間となったようだ。
神宮寺の新たな一面が見えたのは、尚哉が意識のない高槻を背負って、洞窟の出口へ向かう場面。ぬかるんで足元が悪い中、自分と同じぐらいの体格を持つ成人男性を背負って歩くのはかなり大変なはずなのだが、神宮寺はリハーサルで伊野尾をひょいと背負うと、ずんずん歩いて見せた。スマートな体格に似合わぬ意外な力持ちの一面を見せた神宮寺。その速さは監督に「もうちょっとスピードを落とせる?」と言われるほど。2人の画面での見え方を確認するため本番までに数回それは繰り返され、その度に伊野尾は「乗りま~す」と声をかけ、神宮寺の背中に飛び乗る。何度も背負うことになる神宮寺を気遣うように「俺、酔っ払っても、おんぶされたこと無いなぁ」などと軽口で笑わせる。そんな2人の微笑ましい光景の後は、いよいよ“衝撃の展開”の撮影シーンだ。
その前に昼食休憩をはさみ、佐々倉役の吉沢悠と老人役の久保酎吉も合流し、撮影が再開されたのは15時前。日没までの時間も迫る中、ピリピリするスタッフが出てきてもおかしくない頃だが(笑)大自然の癒しのお蔭か、元々このチームが持つ良い雰囲気のお蔭か、現場には笑いが絶えない。
今回の洞窟に入るには、傾斜度がキツく、苔や落ち葉で滑りやすい山道を下りないといけない。しかもその山道は数日前の雨の影響でぬかるんでいる撮影には適さない悪環境だった。カメラや照明などの機材を運ぶスタッフの苦労は半端なく、滑らないように一歩ずつ恐々下りても足を取られて滑って転ぶスタッフも続出。そこを、吉沢は“駆け下り”なければならないのだ。
大丈夫なのか!? 心配するスタッフと筆者。だがそんな心配は杞憂だった。我々の視線のその先で吉沢はリハーサルから本番まで1回も転ばずにそのシーンを撮り切ったのだ! 不思議に思った筆者が撮影後に「普段から体幹を鍛えていらっしゃるのですか?」と聞くと、吉沢は「ちょっと意識しましたね、ここで転んだらかっこ悪いなぁって(笑)。個人的に殺陣(たて)の稽古を続けてきたので体幹は鍛えている方だと思いますが今回、刑事役ということで、稽古の成果を発揮できるシーンがあって良かったです!」と、役では見せることのない、とびきりのビッグスマイルで答えてくれた。
三者三様の“新たな一面”を見せてくれた今回のロケ。洞窟シーンや“衝撃の展開”など見どころ満載の第3話「鬼伝説の怪」は、明後日8月21日23時40分から東海テレビ・フジテレビ系で放送される。惜しくも第2話「わら人形の怪」を見逃した方、または、もう一度見たいという方は、FODへ急げ!