芸歴57年目にして再ブレークし、73歳で活躍の幅を広げているおぼん・こぼん。今回、芸歴15年以上の芸人を対象にしたお笑い賞レース「G-1グランプリ(ジカタNo.1グランプリ)」の決勝および準決勝の総合司会を務めることが決定した(3月6日準決勝、4月10日決勝)。
大会を前に、改めて2人に“仲直り”前後について、反響や変化を聞いた。(前中後編の前編)

【写真】芸歴57年目にして再ブレークしたおぼん・こぼんの撮り下ろしカット

──昨年に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、2人を取り巻く環境は大きく変わったことと思います。「感動した」「泣いた」といった声も多かったはずですが、おぼん・こぼんさんはそもそも「人を笑わせる芸人」ですよね。予期せぬ反響に戸惑いもあったのでは?

こぼん まぁね。でも、こっちは最初から一貫して感動させようなんて考えはなかったわけだからさ。あくまでもそこは受け止め方の問題であって、勝手に世間の目が変わっただけなんですよ。僕ら自身はいたって普段通りで。

おぼん ひとつ言えるのは、今ってコロナの問題があるから、世の中全体がギスギスいがみ合っているでしょ? そういう時代背景だからこそ、「仲直り」というのが美談になったんじゃないかな。あの番組を観て、「疎遠だった家族と仲よくしようと決意した」とか「上司が憎くてケンカばかりしていたけど、やっぱり折れるところも必要だと学んだ」といった手紙やメールもたくさん届くのね。だけど、それは俺らが意図して伝えようとしたメッセージでは決してないから。

こぼん 「戸惑い」ということに関して言うと、今まで見かけなかったような若い人たちが浅草東洋館に大勢押しかけてきてソールドアウトになったときはビックリしたね。

おぼん みんなで食事していたらジャージを着た高校生がやってきて、「おぼん・こぼんさんですよね!」とか話しかけられたこともあるし。
あの子たち、高校サッカー大会のために地方から東京へ来たとか言っとったで。そんなこと、ちょっと前じゃ考えられへんよな。

こぼん 改めてテレビの力はすさまじいよ。

おぼん 今はネットの時代と言われるじゃない? 確かにそれは間違えていないんだけど、テレビの力が弱くなったわけじゃ決してないと思う。一度テレビで騒がれると、それがネットでどんどん拡散されていくようなイメージでね。

──さすがにお2人くらいのキャリアになると、急にチヤホヤされても浮き足立って天狗になるようなことはないでしょうね。

こぼん 天狗だなんてとんでもない! だって今回は別に自分たちの実力で騒がれているわけじゃないですから。ダウンタウンのファンが注目してくれたり、番組の面白さで興味を持ってくれているだけでね。こんなのブレイクとは言わないよ。

おぼん おぼん・こぼんというコンビは、スターなんかでは決してないの。だけど、名前がまったく知られていないという話でもないわけ。今回は番組のおかげで俺らのことを知らない人たちも知ってくれるようなったんだから、そういう意味ではチャンスを掴んだと言えるのかもだけど……。


こぼん このチャンスを活かせるかどうかは、結局、僕ら自身にかかっているということだよね。

おぼん 人間、死ぬまでに3回チャンスがあるって言われるじゃない? 振り返ってみると、あれがそうだったなと思い当たる節はある。1回目は高校生時代に素人番組で優勝して堀越学園にスカウトされたとき。俺ら、こう見えて堀越の芸能コース1期生だからね。

こぼん でも、そのあとはパッとしない時代が続いたの。キャバレー周りをしたり、タップダンスを踏んだり、日劇ミュージックホールや赤坂コルドンブルーに出たり……。

おぼん そんな中、突然やってきた2回目のチャンスが『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)に出演して、10週勝ち抜いたとき。そして今回の『水ダウ』が3回目のチャンスというわけ。

こぼん 『スタ誕』のときこそ、本当にブレイクしたと断言していいと思う。なにしろ生活が一変したからね。

おぼん 収入も増えたし、家も買えた。税務署も目の色を変えて乗り込んできたし。


こぼん 今だから言うと、最初は『スタ誕』に出演することを渋っていたんですよ。だって僕らはその時点である程度キャリアがあったから、素人と一緒にテレビに出る必要なんてないという考えだったわけ。普段テレビを観ていなかったから、どういう雰囲気なのかも知らなかったしね。それでも「海外旅行に行ける」とか「100万円もらえる」とか甘い話に釣られて出ることにしたの。

おぼん 結局、それは全部嘘やったけどな(笑)。

──女性からもモテるようになりましたか?

こぼん いい質問! はっきり言うと、もう入れ食い状態だよね(笑)。

おぼん あの頃はスマホもネットも盗撮もなかったからね。地方に行くと、出待ちしている女の子が大勢ワーキャー騒いでいるんだよ。それで自分が指さした子が黙ってついてくるわけ。

──昔の外タレに群がるグルーピーのような光景!

おぼん 当時、「ギゼ」という六本木のディスコによく行ってたのよ。B&Bやツービートなんかとね。すごかったよ。
うちらが店に入った瞬間、全員が踊るのをピタッとやめるんだから。それでVIPルームに向かう俺たちの姿をじっと見つめているの。とにかく漫才ブームの真っただ中だったから、勢いが半端じゃなかった!(中編に続く)

【中編はこちら】おぼん・こぼんが語る10年不仲でも解散しなかった理由「お金になるからですよ(笑)」

▽「G-1グランプリ2022」オフィシャルサイト https://jikata-no1.com/

▽おぼん・こぼん
オフィシャルサイト http://www.tobik.sakura.ne.jp/oboncobon.html
おぼん 
1949年2月2日生まれ
大阪出身
大阪福島商業高校卒
170cm 63kg

こぼん
1948年12月24日生まれ
大阪出身
大阪福島商業高校卒
160cm 56kg

 1965年 コンビ結成! 学生漫才としてデビュー
 1969年 NHK漫才コンクール努力賞受賞
 1970~80年   赤坂コルドンブルー出演
 1972年 フジサンケイグループ第3回演芸大賞ホープ賞受賞
 1980年 NTV「お笑いスター誕生」10周勝抜きグランプリ受賞

漫才協会出演スケジュールはこちら http://www.manzaikyokai.org/
編集部おすすめ