【写真】インタビューを受ける真空ジェシカの川北茂澄
──普通だったらM-1本番までにできる限りライブに出演してネタを仕上げるところ、真空ジェシカは各ライブでド下ネタをやっていたそうですが。
川北 僕らが出るような地下ライブはお笑い好きなお客さんが来るので、M-1でやるようなネタは見飽きているんですよ。だから、ふざけて下ネタをやっていたんですけど、何回もやっていたら仕上がって。最終的にはそのネタが決勝でやるネタの候補に入ってきたんです。危ないところでした。
──ネタを仕上げるより、新鮮な状態でやりたいという気持ちもあるんですか?
川北 それもあります。やってる本人たちが飽きてしまうと、観ているほうも面白く感じないと思いますから。
──そのM-1では、「屈折のエリート」というキャッチフレーズもあって、知性を感じさせるネタで勝負するコンビだと誤解されました。
川北 それが本当に嫌で、「屈折のエリート」というキャッチフレーズも「変えられないですか?」と聞いたんです。僕はマニアックなことが好きなんですけど、「エリート」がつくと知識をひけらかしているように思われてしまうじゃないですか。でも、制作側が「これで行かせてください」と言うので、渋々納得して。
──『ラヴィット!』のゲスト出演で知的イメージが崩れて、結果的によかったんじゃないですか?
川北 イメージが変わった人もいたみたいですね。「ネタはしっかりしているのに、平場はしっかりしてないからビックリした」と言われましたから。M-1はM-1用のネタをやっただけで、普段の劇場ではめちゃくちゃふざけているんです。M-1のネタが名刺になってないという(笑)。
──『ラヴィット!』がふざけている番組なのに、「ふざけるな」と怒られるのもすごい話で。
川北 それにしてもスベッたということだと思います。世間の声は厳しいです。
──スベッたことは反省しているんですよね。
川北 もちろん反省してます。次に活かしこそしないですけど。
──(笑)。
川北 反省は毎回していこうと思ってます。
──(『ラヴィット!』で披露したギャグの)“逆ニッチェ”や“まーごめ”を、どうしてもやりたくなってしまう。
川北 基本的に自分が面白ければいいので、ウケてなくてもいいっちゃいいんですよ。
──(お笑いコンビの)カナメストーンやケビンスの山口コンボイまでいくとマニアックなのかなと。
川北 TBSラジオのポッドキャストで番組(『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』)をやらせてもらっているんですけど、現在、一時的に地上波で放送していて。ポッドキャストと同じノリでカナメストーンの名前を出したら、ディレクターに「地上波期間はカナメストーン禁止」と言われたんです。
──厳しいですね(笑)。
川北 でも、なぜか山口コンボイは許されてる。わけのわからないことをたくさん言ってると、抜け道もできるんですよ(笑)。
──そこには芸人愛があるんですか?
川北 まったくないです(笑)。ただ面白がっているだけ。
──『日曜サンデー』(TBSラジオ)では、爆笑問題さんが真空ジェシカの悪ふざけを理解してくれて。
川北 誰が見ても「これはダメだろう」という答案用紙を見せたら全部に「はなまる」がついて返ってきました。「『まーごめ』を言い続ける草の根運動は大切だよね」って。世間の人たちが日常的に「まーごめ」を使うようになるまで言い続けたいと思います。
──「まーごめ」は使い勝手がいいですからね。
川北 「まーごめ」はすべての言葉の代用になるんですよ。将来的に、日本の国語辞典は「まーごめ」と書かれた一枚の紙になりますから。
──川北さんは面白いことだけをやって売れたい気持ちがあるんですか?
川北 「ふざけてお金を稼げるっていいな」と思って芸人になったので、ふざけてないと意味がないと思うんです。
──テレビにおいては人柄が見えない状態でふざけると拒否反応があるんでしょうね。
川北 漫才でも「人柄が出てない」と言われることがあるけど、人柄を出そうと思って出すのも違うじゃないですか。それでもずっとふざけていようと思ってます。
──悪ふざけを貫いて、キャラクターが浸透すれば状況は違ってくるかもしれません。
川北 1回目で「こういう奴なんだ」とわかってもらえて、2回目に出た時はラクになるよと聞いているんですけど、今のところほとんどの番組が1回目のまま(笑)。厳しい戦いが続きそうです。
【あわせて読む】M-1決勝進出・真空ジェシカがボケ倒す、前代未聞の嘘つきインタビューに挑戦