【写真】前田敦子、伊藤万理華らがクズ男に沼る女性を熱演、映画『もっと超越した所へ。』場面カット【8点】
パターンは様々、4人のクズ男に悩まされる4人の女性の物語。
クズ男って、そもそも相手だけが悪いのだろうか? 自分から現状を打開しようと考えたことがあったのだろうか? 恋愛ってこういうもの、男ってこういうものという固定概念こそが、クズ男を作ってしまうメカニズムではないのだろうか……。斬新な解釈、そしてネタバレ厳禁な着地点こそ本作の“超越”した所なのだ。
パワハラやDVといった、極度のクズ男というよりは、普通にいそうでいて、しかも自分がクズだと気づいていない、そんな絶妙なラインのクズ男たちだからこそのリアリティがあり、多くの人が、自分は? 自分の相手は? と、自身の恋愛を振り返ってしまうだろう。
今作で原作・脚本を手掛けているのは根本宗子。これまで『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(2015)や『ねもしすたぁ』(2015)でも脚本を手掛けており、女性の本音を切り取りながらも、「本当にそれでいいのか? 傷を舐め合うだけでいいのか?」といった、どこかシニカルで自虐的なテイストは今作でも健在。
結末も含め斬新な物語。それに加え演出も斬新だ。ほとんどのシーンが部屋の中、つまりワンシチュエーションで展開される。それもそのはず。
ちなみに根本宗子本人は、今まで手掛けてきた舞台作品の中で、今作こそ映画化のオファーがないだろうと思っていた作品だと語っている
そして個性的な俳優陣の演技にも注目してもらいたい。特に前田敦子の演技。前田敦子といえば、AKB48卒業後しばらくはどうしてもグループのイメージが付きまとっていたが、近年はドラマ、映画、そして舞台でハイペースに活躍しており、すっかり女優としての存在感を確立している。
AKB48の舞台裏に密着したドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』(2011)の中で、おもいっきりスッピン姿を披露しているのを観たときから、ただ者ではないと思ってはいたが、ここにきて急成長を遂げている。
古典からジャンル映画まで、無類の映画好きとしても知られているだけに、インスピレーション元が多いこともあってか、役の幅が広いのも強みだ。今年の8月に公開された『コンビニエンス・ストーリー』ではミステリアスな女性を演じ、12月公開の『そばかす』では、元AV女優を演じるなど、その役の幅は留まるところを知らない。
すでに2023年公開作品として、『そして僕は途方に暮れる』(東京国際映画祭、ワールド・プレミアにて先行上映)や『あつい胸さわぎ』といった新作が待機中と、前田敦子の勢いは増すばかりだ。
【ストーリー】
クズ男に沼る4人の女性――。家に転がり込んできたストリーマーの怜人をつい養ってしまう衣装デザイナー・真知子。意味不明なノリで生きるフリーター・泰造と暮らすショップ店員・美和は泰造に絶大な信頼を置いている。
▽『もっと超越した所へ。』
出演: 前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
監督:山岸聖太
脚本:根本宗子
原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』
10 月 14 日(金)、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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